180度ぺたーっと開脚するポーズは見た目もきれいで、身体が健康的であることの象徴、というイメージがありませんか?
スポーツやヨガをしている方なら多くの方が憧れ、挑戦してみるポーズなのではないでしょうか。
しかし、その健康的に見える180度の開脚のポーズにデメリットがあると知っていましたか…?
特に成長期を過ぎてから、180度の開脚を目指し過度なストレッチをしてしまうと、靭帯や軟骨を痛めるなどのデメリットが発生してしまいます。
さらにそれは老後の脚の関節にも影響し、足に力が入りづらく歩きにくい原因にもなってしまうのです!
歳を取っても自分の脚で元気に歩きたいですよね。
もし今180度開脚のポーズを目指してストレッチを頑張っている!という方はこれから紹介するデメリットを頭の隅に置いていただき、同時に正しいストレッチと股関節周りの筋力アップの方法を覚えていただけたら幸いです。
開脚は90度開けば十分!180度開脚することのデメリットとは?
多くの方がペタッと180度開脚することは体に良いこと!と思っているのではないでしょうか。
私もその一人で、体は柔らかければ柔らかいほどいいんだと思っていました。
ところが人間の股関節の正常な可動域は90度前後といわれているので、両脚を開いて90度になれば十分な柔軟性を持っていることになるのです!
(股関節周辺の骨折を経験されている方は可動域が狭くなっている可能性があるので、無理に開く必要はありません。あくまでも目安です。)
個人差はありますが、脚を開いて直角になるくらいでちょうどいいので、これしか脚が開かないから私は体が硬いんだ…と思っていた方も実はそんなことないんです。
逆に180度も開脚してしまうと、正常な股関節の可動域の2倍もの開脚をしてしまっているわけなので、股関節への負担がものすごいのです。
骨と骨の間でクッションの役割を果たしている軟骨がすり減ってしまったり、骨と骨をつないでいる靭帯を傷つけてしまうなどのデメリットが発生してしまいます!
もちろん開脚のストレッチ自体は、体に悪いわけではありません。
ケガの予防になったり、血行が良くなったり、体の疲れを癒したりと適度なストレッチがもたらしてくれるメリットもたくさんあります。
しかしそこで注意したいのは人によって必要な柔軟性がバラバラだということです。
体にいいから!と無理に柔軟性を高めようとしてストレッチを頑張りすぎてしまうと、かえってケガにつながってしまうデメリットもあるのです。
関節の正常な可動域を超えて骨と骨が離れてしまうと脱臼になってしまいますし、関節が可動域を超えて動いてしまうと靭帯を傷つけて捻挫になってしまいます。
でも、子どもの頃からバレエや体操などで身体が柔らかい人たちもいますよね。
実は大人の骨は骨と軟骨がはっきりと分かれているのですが、成長期の子どもの骨は骨と軟骨の境界があいまいで、全体的に柔らかいのです。
なので、この成長期に過度な負担をかけて徐々に股関節の可動域を広げると、骨と軟骨の構造自体が少しずつ変化して180度の開脚ができるようになるのです。
このような特殊なスポーツをしてきた人たちは年を重ねても開脚のポーズが簡単にできちゃうみたいですね。
もちろん大人になってからでも180度開脚のポーズができるようになる方もいます。
それは生まれつき筋肉や筋肉を包む膜が柔らかかったり、股関節が外側に向きやすいなどの体質が関係してくるようです。
誰でも180度の開脚ができるようになるとは限らないんですね。
そして成長期を過ぎた大人の骨は先ほど紹介した通り、骨と軟骨にはっきりと分かれています。
骨の中には血管が通っているので、骨折しても骨はくっついて治ります。
しかし、軟骨の部分には血管が通っていません。
なので、無理な開脚のストレッチによって軟骨が一度すり減ってしまうと、元通りになることは困難なのです。
180度開脚のポーズをかっこよく決められるようになりたい!と思っていても、このようなデメリットがあるなら…と少し考えてしまいますよね。
科学的には証明されていない!180度開脚によって美脚になれるは嘘?
これって実は、科学的には証明されておらず、直接的な関係はないのです!
ショックですよね…私は長い間美脚になれると信じて、180度を目指して開脚のストレッチを続けてきたのでこの事実を知ったときは正直落ち込みました(笑)
やはりストレッチだけでなく、筋トレも一緒に行うのがいいみたいですね。
老後にもデメリットが?関節が柔らかすぎると歩きにくくなる?
たしかに適度な柔軟性は、ケガ予防のために必要です。
しかしそれが柔らかすぎてしまうと、老後に歩行困難になってしまう可能性があるのです。
筋肉は靭帯を守るサポーターのような役割をしています。
この筋肉のサポーターが過度な開脚によって伸びてしまった靭帯を守っています。
しかし、40歳を過ぎたあたりから加齢とともに筋肉を作っている「筋繊維」という繊維状の細胞が集まったものが減少していきます。
筋肉量が多くサポーターがしっかりしているうちは大丈夫なのですが、年を重ねるとともに筋肉量が減って靭帯を守っていたサポーターが薄くなってしまうと、関節が不安定になってしまいます。
そしてそれが股関節だと脚に力が入れにくくなり、歩きにくい、転倒しやすいなどのデメリットが発生してしまうのです。
身体が柔らかければケガも少ないし、健康でいられると思っていた方も多いのではないかと思いますが、柔らかすぎるのも考え物ですね。
開脚ストレッチは気持ち良いくらいが丁度いい!痛みを感じたら即中止を!
適切な開脚のストレッチは骨盤周辺の筋肉をほぐし、血行を良くしてくれます。
しかし、早く股関節を柔らかくしたい!と最初から痛いと感じるくらい無理にストレッチをしていませんか?
そのストレッチ、ケガのリスクもありとても危険です。
ではどのようなストレッチが一番良いのでしょうか?
ストレッチは気持ち良いと感じる程度に!
早く柔らかくなりたいからといって、痛みを感じるほどストレッチをしてしまうのは絶対にNGです!
伸ばすどころか、筋肉が縮んでしまい逆効果になってしまいます。
開脚のストレッチだけに関わらず、ストレッチの基本は強く痛みはしないけど、適度な伸びを感じるような、イタ気持ち良いと感じるところまで伸ばすのが一番です。
少しづつじっくり、じんわりと伸びていることを感じながら伸ばしてみましょう。
ここで長時間伸ばしすぎるのもNGです。だいたい1回3分くらいを目安にしてくださいね。
大人になってしまうと関節は変化しませんが、筋肉などが伸ばすことによって必要に応じて変化していくので、今までよりも柔軟性がアップすることは可能です。
伸ばした時にプルプルと筋肉が震えてしまう場合は伸びが強すぎなので少しゆるめてくださいね。
伸ばした時に強い痛みを感じたら、即中止すること!
ストレッチをしたときにビリっとした強い痛みを感じたことはありませんか?
実はその痛みは神経が刺激を受けた証拠なんです。
そのような痛みを感じたまま無理にストレッチを続けるのは非常に危険です!
そのまま伸ばし続けてしまうと神経組織が傷ついてしまいます!
強い痛みを感じた場合は、即ストレッチを中止するようにしてくださいね。
もしもそのまま強い痛みが長期間続くようでしたら、病院の受診をおすすめします。
開脚のストレッチと同時に股関節周りの筋トレでバランスを
開脚のストレッチばかりをしてしまうと、柔軟性ばかりが高められてしまい、股関節の安定性が保ちにくくなるデメリットが発生してしまいます。
こうなってしまうと、若い世代でもケガにつながる可能性がでてきます。
なので、股関節の可動域を広げるだけでなく、脚やお尻などの周辺の筋肉を鍛えることも大切です。
股関節周辺の筋肉を鍛えることによって、安定性が保たれ、バランスの良い身体になりますよ。
おすすめの股関節ストレッチ&筋トレ
股関節を柔らかくしたい人におすすめのストレッチ
初心者向け
1、床に座って、両方の足の裏を合わせたままそれを身体の方に引き寄せる。
2、その体制のままヒジを使ってヒザをゆっくり床の方へ押していく。
※この時に背中は丸めずに、真っ直ぐを意識します。脚はしっかり身体の方に引き寄せるようにしてください。
より負荷をかけたい人向け
1、天井にむかって脚を真っ直ぐ向け、お尻とかかとを壁にしっかりつける。
2、下っ腹に力を入れながら、ゆっくり脚を開いていく。痛い!と感じる手前で止めてそのまま5秒程キープする。
*内ももがしっかり伸びていることを意識しながら行ってください。
*つま先を立てながら行うと、脚の裏側の筋肉にも効きますよ。
3、ゆっくり脚を元の位置に戻す。この動作を2、3回繰り返す。
毎日少しずつ行うことで、股関節が柔らかくなっていきますよ。
股関節周りにおすすめの筋トレ
ワンレッグレイズ
1、仰向けで寝たまま、片足を床から少し浮かせる。手は体の横に置く。
2、膝を伸ばしたまま脚を天井の方向にゆっくり持ち上げる。
3、もう無理!と思うところまで行ったら、ゆっくり元の姿勢に戻る。この時足は少し浮かせたところで止めて、床につかないように。
左右各10回×3セットが目安です。
レッグアブダクション
1、横に向きに寝転がり、下側の腕をバンザイにして頭を乗せる。体を支えるようにして上の手は胸の前に置く。
2、両脚をまっすぐにのばしたまま上側の脚を天井の方向にゆっくり持ち上げる。つま先の向きは正面に。
3、ゆっくり元の姿勢に戻る。おろした脚は下の脚につかないように気を付ける。
左右各10回×3セットが目安です。
ワンレッグスイング
1、横向きになり片ひじで体を支え、下側の脚のひざを曲げる。
2、上側の脚はひざを伸ばしたまま、脚の高さは床と並行くらいで前後にスイングさせる。上側の手は上半身がブレないように骨盤のあたりに置く。背中は丸めず腰は反らないように気を付ける。
左右各20秒×3セットが目安です。
ファイヤーハイドランド
1、四つん這いの姿勢になって、手は肩の真下に、膝を腰の真下に来るようにする。つま先は地面につけておく。
2、片方のひざの角度を動かさないように、真横にゆっくり持ち上げる。この時、体がねじれないように気を付ける。
3、お尻の真横まで上げたら、ゆっくり元の姿勢に戻る。
左右各10回×3セットが目安です。
それぞれの名前はカタカナで覚えにくいかもしれませんが、この4つのトレーニングの動きさえ覚えてしまえば、バランスよく股関節の筋肉を鍛えることができます。
回数はあくまでも目安なので、初心者のかたは少ない回数から始めて徐々に回数を増やしてみてください。
私は次の日筋肉痛になりました…。
180度開脚のポーズにはデメリットが⁉靭帯や軟骨を痛めるかも!のまとめ
・人間の股関節の正常な可動域は90度前後なので、それだけ開けば十分。
・無理に開脚をすると脱臼や捻挫のような状態になってしまう危険がある。
・無理な開脚で軟骨がすり減ってしまうと元通りになることは困難。
・180度の開脚できるようになっても美脚は手に入らないと科学的に証明されている。
・股関節が柔らかすぎると老後に関節が不安定になり、歩きにくさや転倒などの危険がある。
・痛みを感じるほどストレッチをしたり、長時間伸ばしすぎるのは絶対にNG。痛みを感じたら即中止する。
・開脚だけに関わらず、ストレッチはイタ気持ちいいと感じる程度に。
・開脚のストレッチと股関節周りの筋トレの同時に行うことでバランスのよい身体に。
180度開脚することのデメリットを紹介してきましたが、いかがでしたか?
ケガの可能性や老後に支障が出てしまう可能性も紹介しましたが、関節の可動域の範囲内での開脚ストレッチは身体に良いものです。
脚の開き過ぎや、伸ばし過ぎに注意しつつ、同時に股関節周りの筋トレをすることで年齢を重ねても健康な身体を維持することができるといいですね。