今や3Dプリンターは家庭用も販売され、昔と比べるとより身近なものになりました。
海外では3Dプリンターで家をつくる技術が研究され導入が進んでいます。
日本で3Ⅾプリンターの家をつくるには3つのデメリットがあります。今回はそのデメリットを解説します!
3Dプリンターで家はつくれる!?日本の実用化にクリアしたいデメリットとは
日本でも3Dプリンターを使用した家づくりの実用化に向けていろんな企業が研究、開発が始まっていますが、本格的に家を作るには3つのデメリットがありまだ実用化には至っていません。
日本で3Dプリンターを使用した家をつくるには、そのデメリットをクリアにすることが課題になっています。
3Dプリンターは3次元データから立体的な物体を作り出す機械です。
家庭用も販売されているというのも驚きです。今や10万以下で買えるものもあるんだとか!
3Dプリンターは樹脂を材料にスマホカバーやアクセサリー、フィギィア、家電製品の破損してしまった部品など、小さなものには対応しているけれど、コンクリートを材料に大きなものを作れるイメージがない人も多いのではないでしょうか?
そうなんです。
海外では、コンクリートや天然素材を使って3Dプリンターで家を作る技術が研究、開発され実際に建築、販売が進んでいます。
国によって使う材料、方法やデザインの違いはあるようですが低コスト、短い期間で建築できるということで非常に注目されています。
近い将来、日本で実用化されれば3Dプリンターの家が当たり前になるかもしれません!
改めて、3Dプリンターの家をつくる上で日本でのデメリットをお話していきます。
基礎工事とは地面と建物の間のつなぎの部分の【基礎】を造るための工事です。
家の土台の部分なので、とても大事な場所になります。
デメリット①日本の家の基礎工事に対応していない
基礎の部分は鉄筋コンクリートでつくられます。
ですが、3Dプリンターではコンクリートを積み上げていくことはできても、鉄筋を入れたコンクリートに対応していません。
日本は地震大国ですから、耐震性がとても重要ですよね。
3Dプリンターの技術で、現在の基礎工事よりも耐震性も優れ、強固なものをつくることができれば未来の家づくりは大きく変わっていくと思います。
デメリット②住宅設備の工事に対応していない
3Dプリンターでは建物の構造をつくることはできますが、電気やガス、水回りの住宅設備までは対応していないため、別で住宅設備工事が必要になります。
デメリット③日本の建築基準法に対応していない
3Dプリンターでつくる家は日本の建築基準法に対応していないため、実用化はできません。
日本は地震や台風などの自然災害がとても多い国なので、家をつくる上では基盤がとても重要で、鉄骨の太さやコンクリート材料の種類など、規定が細かく決まっています。
3Dプリンターでつくる家はその基準を満たしていないので現在はまだ、実用化が難しいのです。
3Ⅾプリンターでどうやって家をつくるの?
3Ⅾプリンターで家をつくる方法は3つあります。
家の建設予定地へ巨大な3Ⅾプリンターを設置し材料を積み上げていく方法
この方法ではコンクリート材料を下からどんどん積み上げてつくっていきます。人手も3Ⅾプリンターを操作する人と数人の作業する人が入れば人件費も抑えられます。
そして、何より数か月かかる家が数時間または1日、数日で完成してしまいます。
ただ家を建てる場所に巨大な3Ⅾプリンターを設置するにはそれなりのスペース必要です。
狭い場所に家を建てることの多い日本では、そんな巨大な3Ⅾプリンターを設置することは現実的ではないかもしれません。
砂のような素材に凝固剤を入れて固めたものを掘り出して形成していく方法
砂のような素材といっても実際に使われる素材はいろいろで、建築方法やその素材によって工法に違いがあります。
固めたものを掘り出すという工法は強度においては他の方法の方が利点があるため、主流ではありません。
あらかじめ3Ⅾプリンターを設置した工場で建築に必要なパーツをつくって現地で組み立てていく方法
家をつくる上で必要なパーツを工場で用意できることで材料の調達に時間がかからないことと、現地に巨大3Ⅾプリンターを設置する必要がないことが利点です。
日本で3Ⅾプリンターの家をつくる場合、この方法が合っているのではないでしょうか。
3Dプリンターでつくる家は日本ではいつ実用化されるの?
今は建築基準法の改正がなければ3Ⅾプリンターを使った日本の家づくりはできません。
3Ⅾプリンターの家が本格的に実用化され、当たり前になるのはまだ先になるのでしょうね。
ですがみなさん!朗報です。
日本の建築基準法の範囲外の「3Ⅾプリンターでつくった家」があるのをご存じですか?
引用:SUMOジャーナル
2022年3月、愛知県小牧市に3Dプリンターの家が完成したというニュースが話題になりました。
手掛けたのは兵庫県西宮市にある「セレンディクス」というベンチャー企業です。
完成までに要した時間は23時間12分という驚異のスピード。広さは10平米、そして価格はなんと300万円。
名前は「Sphere(スフィア)」。完成したのはプロトタイプだそうですが、今後は主にグランピングで利用できるように建設、販売を予定しているのだとか。
これは、建築基準法に基づき、建物をつくる上で通常は建築確認申請というものが必要なのですが
申請が必要がない場合があります。
・建築確認申請が不要になるのは以下の場合です。
1. 10平方メートル以下の建築物であること。
2. 増築・改築・移転であること。(新築の場合は不可)
3. 防火指定のない地域(防火地域・準防火地域以外の地域)であること。
引用:ダイヤ工務店
「Sphere(スフィア)」は用途がグランピングであることと10平米以下のため、建築基準法の対象外として扱われ、建築確認申請不要、ということなんですね。
そしてもうひとつ!
2022年2月、群馬県渋川市に日本初「3Dプリンターを使った建築許可を得た建築物」がつくられています。こちらを手掛けたのは神奈川県鎌倉市のベンチャー企業「Polyuse(ポリウス)」。
こちらの会社は建設会社と共同して建設用3Dプリンターなどの先端技術を活用したサービスの開発をされています。
この建物は株式会社MAT一級建築士事務所が設計されたもので、倉庫としてつくられました。
材料にモルタルを使用、3Dプリンターでつくった壁のパーツを鉄筋と組み合わせることで、建築基準法の問題をクリアし許可が下りて17平米の建物を完成させたとのこと。
現地での組み立て自体にかかったのは2日、内装まで終えるのに1か月ほどで完成。
日本の建築基準法の改正がないと難しい…とお伝えしていますが、この技術でさらなる発展を期待してしまいます。
本当に近い将来、3Ⅾプリンターでつくる家が当たり前になるかもしれませんね。
3Ⅾプリンターの家は海外ではどれだけ進んでいる?
海外での3Ⅾプリンターの家づくりの研究は日本よりもはるかに進んでいます。日本はまだまだこれからという感じです。
今回は3Ⅾプリンターの家づくり先進国を3か国、ご紹介いたします。
オランダ
3Ⅾプリンターの家づくりの先進国のひとつ、オランダでは2021年に3Ⅾプリンターで賃貸住宅がつくられました。
オランダは世界的に見ても建築基準が高い国だそうです。
そんなオランダで世界で初めて3Ⅾプリンターの賃貸住宅が完成し、現在はすでに入居者もいるようです。
材料はコンクリート製で強度と耐久性に優れています。進んでいますね!
世界で初めて自治体から居住許可を得た、3Dプリンターでつくられたこの地区全体の計5件からなる家の賃貸契約は、すでに満了となったようです。ですがなおも、この物件を見学に来る人は絶えず、日に何十人もの人が行き交っているそうです。このように低コストかつ美しさを兼ね備えているところを考えると、すぐに近所全体がこのようなカタチで建設ラッシュとなるかもしれません。日本でも、こんな物件が欲しいところですが、それには、さらなる耐震性強度を増すための研究が必要となるでしょう。
この家本体の建築期間は5日間というのですからびっくりです。
そして、「世界で初めて自治体から居住許可が得られた」ということがすごいところ。
日本の現状では法律の問題でここまではまだ難しいですね。
気になりますよね。
家賃は2LDKで月800ユーロ(約10万円)だそうです。
※2021年時点での金額です。
アメリカ
アメリカでは2021年、世界で初めて3Ⅾプリンターでつくられた一戸建てが一般販売されています!
アメリカのテキサス州オースティンにて、建設会社「ICON」が手掛けています。
素敵ですよね。こちらもかかった時間は5~7日間。建築にかかる日数が早いのは3Ⅾプリンターでつくる家のメリットのひとつですね。
イタリア
イタリアで2021年7月に完成した3Ⅾプリンターの家は世界初の大型クレイハウス「TECLA」。
現地の粘土や砂、米の藁やもみ殻、灰などを原料にした自然素材のエコハウスです。
およそ200時間かけて完成。
家を気候条件に適応させるようにつくられていて、たとえば建築場所が多湿な気候であれば換気をよくし、高温の気候であれば密封性を高めて室内を涼しく保つような家をコンセプトになっているそうです。
引用:AMP
まさに今、世界が目罪している「持続可能な」「ずっと続けていける」というサステナブルな社会に繋がるプロジェクトだと思いませんか?
3Dプリンターで家はつくれるの⁉日本におけるデメリットは3つ!まとめ
私は去年家を購入しましたが住宅ローンが…致し方ないですね。
もし、3Ⅾプリンターの家づくりが当たり前な世の中になったら、今までよりも安く家が買えるようになったら。
家が欲しいけどお金が無くて買えないとか、住宅ローンで生活が苦しくなるとか、そんな悩みはなくなるのでしょうか…?
そんな世の中になるのも近いかもしれませんね。みなさんが家を買おうとするときには、気軽に家を買えるようになっているといいですね!