雨の種類は日本語ではどうしてこんなに多いのでしょう?
学校の教科書を読んでいても雨の種類が沢山でてきますよね。
なんとなくはわかるんですけど、具体的に、どんな種類の雨があって、
どういう雨のことを指すのかがわかればいいのに。
この記事は、そんなあなたのために書いた記事です。
日本語の雨の表現が多いのは何故なのでしょう?
日本語における雨の表現が多様で豊富な理由は、日本の気候、文化、そして言語の特性に深く根ざしています。
以下にその理由をいくつか挙げてみます。
- 気候の多様性: 日本は四季がはっきりしており、特に梅雨(じゅんさい)と呼ばれる雨季には連日続く雨があります。また、台風のシーズンには大量の降水があります。このような気候条件は、さまざまな種類の雨を経験することから、それぞれに名前をつける文化が育まれました。
- 農耕文化の影響: 日本は古来より米作りが盛んな農耕国です。農作物の成長には水が不可欠で、雨が農業に与える影響は非常に大きいです。そのため、雨の量や種類によって作物の状態が左右されることから、細かく雨を表現する言葉が発展しました。
- 詩的表現の豊かさ: 日本文学では、自然とともに生きる心情がよく表現されています。特に古典文学においては、雨を詩的な表現で描写することが多く、季節感を象徴する重要な要素とされています。このため、雨を表す言葉には独特の美しさがあり、多様な表現が存在します。
- 言語の細分化: 日本語は、自然現象や感情を非常に繊細に表現する言葉が豊富です。雨に関しても、その強さ、時間、影響などを細かく表現するための多くの言葉が存在します。例えば、「霧雨」、「小雨」、「土砂降り」、「横殴りの雨」など、状況に応じた表現が可能です。
これらの理由から、日本語には雨を表す表現が非常に多く存在し、それぞれの言葉が日本の自然、文化、
そして人々の生活と密接に関連しています。
雨の種類の一覧を季節ごとにまとめてみました!
春の雨の代表例について
春雨(はるさめ)・・・中国料理に使われる春雨と同じ字を使いますが、
雨を指す場合には、3月下旬から4月頃掛けて、長い時間いつまでも降り続く地雨のような
雨のことを指します。。
春霖(しゅんりん)・・・春霖の霖の字が、雨冠に林という珍しい文字を使いますが、
この「霖」(りん)という漢字は長雨を指します。春雨と同じように、春に降るしとしとと
長い雨のことを指します。。
五月雨(さみだれ)・・・「さみだれ」、と読んだり、「さつきあめ」と読んだりしますが、
旧暦5月に降る長雨のことを指します。旧暦の5月というのは、5月下旬から、
7月頭ぐらいであることが多いので、梅雨の別名とも言われていまっす。
五月の「さ」と「水垂(みだ)れる」の「みだれ」を掛け合わせて合わせてできた言葉と
言われています。
夏の雨の代表例について
梅雨(つゆ、ばいう)・・・よく知られている梅雨のことです。
6月から7月上旬にかけて長く降る雨のこと。
梅の実が熟す時期に降ることからこの名がある言われて。
黴雨(つゆ、ばいう)・・・これも同じように「つゆ」とか「ばいう」と読みます。
意味する雨はいわゆる梅雨のことを指します。
「黴」という漢字は「かび」という文字となっていて、古来中国ではカビの時期の雨を
黴雨と呼んでいたという説があります。
流石にカビでは語感が悪いので、同じ時期に実がなる梅の字を使うようになった
という説があります。
夕立(ゆうだち)・・・夏の夕方に突然降り出す、あの大雨ですね。一過性であるところに
特徴があります。雨が降っているときに、辺りが白くなることから「白雨(はくう)」と
呼ばれる場合もあります。
秋の雨の代表例について
秋雨(あきさめ)・・・秋雨前線と言った風に使われますが、意味はそのまま、秋の長雨という
意味合いになります。
秋霖(しゅうりん)・・・春の雨のところで「春霖」という雨をご紹介しましたが、
それの秋版です。秋の長雨の意味合いで、秋雨と同様ですね。秋の長雨はこれ以外に「すすき梅雨」
といった呼ばれ方をする場合があります。
時雨(しぐれ)・・・時雨(しぐれ)模様といった使われ方をしますが、秋から冬に掛けて、降ったり
止んだりする、にわか雨のことを指します。ちなみに、にわか雨というのは、漢字で俄雨と書きま
す。
冬の雨の代表例について
凍雨(とうう)・・・冬の寒い時期に、透明あるいは半透明の氷が雨のように降る様を表します。
厳密に言うと、雪が一度溶けて、また、凍って雨のように降る様になります。
氷雨(ひさめ)・・・冬に、空から降ってくる氷の粒、もしくは、冬に降る冷たい雨のことを
指します。面白いことに、氷雨(ひさめ)は俳句の世界では、夏の季語になっています。
これは、俳句の世界では氷雨(ひさめ)というのは、雹(ひょう)のことを指していて、
雹は夏に降るとされているからです。
雨の表現 種類 降り方による種類の分け方について
季節ごとに、雨の呼び方、種類も様々ありますが、その降り方によって、様々な名前が
ついていつ場合もありますので、整理してみましょう。
豪雨(ごうう)・・・集中豪雨として使われる場合が多いですね。激しく、大量の雨が降る様を表しています。
驟雨(しゅうう)・・・急に初めて、すぐに止んでしまう一過性の雨を言います。にわか雨や、夕立と
同意語と言っていいでしょう。
英語では「rain shower」といいますので、語感としてはわかりやすいですね。
篠突く雨(しのつくあめ)・・・「篠(しの)」は細くて群がって生える竹や笹の一種で、
篠突く雨「篠突く」というのは、この篠が束になって突き下ろされるような、勢いを現しています。
細い竹や笹が、束になって雨のように降り掛かってくる、そんなイメージの雨になります。
村雨(むらさめ)・・・村雨(むらさめ)の露もまだひぬ~ の百人一首の句で知られている、
村雨ですが、意味合いとしては「群れた雨」のといった意味で、それほど激しい雨です。
ひとしきり降って、すぐに止む雨のことを指します。「群雨」「叢雨」と書かれる場合もあります。
長雨(ながさめ)・・・ながさめと読んだり、ながあめと読んだりしますが、長期間に渡って
降ったり止んだりする雨のことを指します。
霖雨(りんう)・・・これで「りんう」と読みます。春霖とか秋霖のところで出てきた漢字が
使われています。長雨と同じように、何日も降り続く雨のことを指します。雨冠に林。。
そういえば、林って、なんとなく雨のイメージありますよね。
俄雨(にわかあめ)・・・なかなか、この漢字を使って、俄雨と書かれる方は少ないと思いますが、
漢字で書くと俄雨になります。突然降り始めて、急に降りやむ雨のことを指します。
天気予報でもよく使わる表現ですよね。
霧雨(きりさめ)・・・一応、0.5mm未満の微小の水滴が降る雨とされていますが、
あまり0.5mmというのはこだわる必要もなく、霧のように細かい雨が、音もなく降る様を
現しています。
糠雨(ぬか雨)/小糠雨(こぬか雨)・・・霧雨と同じ意味の細かい雨です。そう言えば糠の粒も、
細かったですね。
地雨(じあめ)・・・一定の強さで長時間に渡って、振り続ける雨のことを指します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。雨の表現って、本当にいろいろありますよね。
俳句とか、小説を読んでいると、作者が情景に合わせて、雨の種類を使い分けているのが
よく分かると思います。
あれ、この、雨ってどんな雨なんだろうと思ったら、そのままにせずに、きちんと調べてみるのが
おすすめです!