朝起きると、しばらく手がこわばって指が曲げにくくなった経験はありますか?
もしくは、今現在その症状に悩まされていてこの記事に辿り着いたかもしれません。
毎朝指が曲がらない症状が続くと、何か大きい病気の兆候なのではないかと不安になりますよね。
特に、手指のこわばりで真っ先に思い浮かぶのは関節リウマチではないでしょうか。
確かに、朝起きると指が曲げられないのはリウマチの初期症状のことがありますが、必ずしもそうとは限りません。
例えば、産後や更年期の女性にも朝指が曲がらない経験をする方が多く、それはホルモンバランスによるものなのです。
この記事では、関節リウマチをはじめ、似たような症状の出る病気を紹介しますので、ぜひご自身の症状と見比べながら読み進めてくださいね。
朝起きると指が曲がらないのは関節リウマチの初期症状?
関節リウマチとは?どんな症状が出る?
関節リウマチは、簡単に言うと「免疫の異常により自分が自分の組織を誤って破壊してしまい、関節の骨が変形してしまう病気」です。
朝起きた時に指がこわばっていても、しばらくすると良くなってくるとついそのまま放置してしまいがちですが、リウマチは早期発見・早期治療することで進行を抑えることができるので、気になることがあれば早めに受診することが大切です。
ココをチェック
腫れは比較的柔らかいのが特徴で、特に、手指の第二関節と指の付け根に症状が出る方が多いようです。 また、「細いものを握りにくい」「家の鍵を開けにくい」「ペットボトルの蓋が開けにくい」などの症状があれば要注意です。 症状が進行すると、全身に倦怠感が出たり、微熱が長期間続くようになります。 関節リウマチは左右対称に症状が出るという特徴があるので、どこか一箇所の関節だけにこわばりや痛みがある場合は、「回帰性リウマチ」の可能性があります。
朝起きてから30分くらい指が曲がらない(曲げにくい)症状が続いたり、腫れていませんか?
発症しやすい人
関節リウマチの治療法は?
症状の強さや進行度合いによって「薬物療法」「リハビリテーション」「手術」を段階的に使い分けていきます。
【薬物療法】消炎鎮痛薬・抗リウマチ薬・ステロイド・生物学的製剤など
関節の腫れや痛みを抑え、 関節破壊の進行を抑える
【リハビリテーション】運動療法・温熱療法
軽い運動をして関節の可動域を広げたり、温めることで痛みやこわばりを和らげる
【手術】滑膜切除術・機能再建術
炎症を起こしている滑膜を取り除いたり、既に関節破壊されてしまった関節を人工関節に置き換える
関節リウマチは、症状が進行してしまうと完治は難しいと言われています。
完治は難しくても、症状がほとんど気にならなくなり、病気をコントロールできている状態(寛解)を目指すのが治療の目的となります。
朝起きると指が曲がらない時、他にどんな病気が考えられる?
朝起きると指が曲がらなかったり指のこわばりを感じる病気・疾患はいくつかあります。
特に、産後や更年期のホルモンバランスの乱れによって起こるものや、発作的に一時的に起こる痛みやこわばりに悩む女性は多いです。
回帰性リウマチ
原因はまだよく解明されていませんが、急性の関節炎・関節の周りの炎症を繰り返すのが「回帰性リウマチ」です。
リウマチという名前がつくので、悪化すると骨が変形して治らないのでは!?と不安になりますが、回帰性リウマチは回帰という名前の通り、比較的短期間の間に症状が出たり治ったりを繰り返します。
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突然、関節がうずくように痛み、数時間〜数日で治ります。 一番発症しやすいのが手指ですが、全身の関節どこでも発症する可能性があります。 レントゲンを撮影しても、特に異常は認められません。 再発の間隔は不定期で、1年の間に数回〜10数回くらいが多く、症状が治まればまた何事もなかったかのように普段通りに戻るのが回帰性リウマチの最大の特徴です。 再発の時は同じ箇所ではなく、別の関節に移動して症状が出ることが多いです。
発症しやすい人
治療法
- 非ステロイド系の鎮痛剤・抗炎症剤で対症療法を行う
- 発作を繰り返す場合は、抗リウマチ剤を使用することもある
回帰性リウマチは、発症の期間が短いため関節の破壊や骨の変形は起こりません。
非ステロイド剤で寛解する人も多いですが、何年にも渡って再発を繰り返す場合は「関節リウマチ」に移行してしまうことがあります。
ドゥケルバン症候群(腱鞘炎)
親指を広げる・反らすなどの動きをすると痛みが出るのが特徴の「ドゥケルバン症候群」。
いわゆる腱鞘炎と呼ばれるもので、産後や更年期にホルモンバランスが乱れることにより、親指側の腱鞘に炎症が起きるものです。
産後は頻繁に赤ちゃんの抱っこをするので、特に腱鞘炎になりやすいと言われます。
更年期は、ホルモンバランスの乱れに加えて親指を使いすぎると症状が出やすいので注意してください。
ココをチェック
もしその時に親指側の手首が痛かったり親指が曲げにくかったりすると、ドゥケルバン症候群(腱鞘炎)の可能性が高いです。 ひどくなると親指の付け根がぽっこりと腫れてくることがあります。
親指を中に入れてグーを作り、手首を小指側に曲げてみてください。
発症しやすい人
治療法
- 基本的には、湿布やテーピングをしたり、ギプスで固定したりして安静にすることが第一!
- 痛みが強い場合はステロイド注射が効果的
- あまりにも長期に症状が続いたり、再発を繰り返す場合は手術をすることもある
ドゥケルバン症候群(腱鞘炎)は数週間〜数ヶ月以内に改善することが多いのであまり心配はいりません。
ただし、痛みが強かったりあまりにも長引く場合は受診しましょう。
私自身も産後6ヶ月目くらいに突然親指が動かしにくくなり、子供を抱っこできないほど痛くなりました。
乳児を育てながらの安静は難しく、一時期は親指側の手首にビー玉のような腫れが現れるほどでしたが、サポーターをつけて極力手首を曲げないように意識しながら生活することで、5ヶ月で回復しました!
ばね指
指の腱を支える「腱鞘」部分に炎症が起こるのが「ばね指」です。
簡単にいえば指の腱鞘炎で、短期間に指を使い過ぎた時に発症しやすい疾患で、指の付け根に腫れ・こわばりが現れ、手を開いたり閉じたりしにくくなります。
初期のばね指であれば、安静にすることで自然治癒するこが多いため、正しくケアすればさほど恐れることはありません。
ただし、症状が悪化しているにもかかわらず放置しているといずれ指が動かなくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。
ココをチェック
指の付け根あたりが腫れぼったくなり、指が曲がらない(曲げにくい)と感じますか? 特に中指と薬指に発症することが多いです。 一度手指を閉じた後、再度開くのが難しく、無理に開こうとすると「カクン!」と指が跳ねる感覚がある場合は、ばね指の可能性があります。 「朝起きると指が曲がらない・開かない」と感じる方が多いですが、そこから数時間指を使うと症状が改善するため、日中は比較的問題なく過ごすことができます。 しかし翌朝になればまた同じ症状が出るか、さらに強い症状が出やすいのが特徴です。
発症しやすい人
治療法
- テーピングやギプスなどで固定し、安静にすることが第一!
- 超音波や低周波治療を行う(かなり効果がある)
- 腫れや痛みが強い場合はステロイド注射
- 重症化した場合は、手術で炎症部分を切除する
ばね指の予防には、ストレッチやマッサージが効果的です。
ストレッチは関節が固くなるのを防ぎ、マッサージは血行促進促進に繋がります。
変形性指関節症
手指の軟骨が何らかの理由で擦り減って、骨同士に摩擦が起こることで骨に小さなトゲができ、強い痛みが出るようになるのが「変形性指関節症」です。
症状が進行すると、関節が変形して指が伸ばせなくなってしまいます。
特に指の第一関節と第二関節・親指の付け根に発症しやすいのが特徴で、発症部位によって「へバーデン結節」「ブシャール結節」「CM関節症」と呼ばれます。
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指の第一関節の曲げ伸ばしがしにくく、ゴツゴツとした腫れがあり痛みを伴う場合は「へバーデン結節」かもしれません。 第二関節に同様の症状を発症したものを「ブシャール結節」と呼びます。 ブシャール結節はへバーデン結節よりも発症頻度は低いのですが、第二関節が変形するととても不便になります。 また、何かをつまむ動作や蓋を開ける動作をした時に親指の付け根に痛みがあり、出っ張るように骨が変形している場合は「CM関節症」の可能性があります。 関節の腫れは関節リウマチと似ていますが、変形性指関節症の腫れは硬いのが特徴で、血液検査やレントゲン画像でリウマチとの鑑別が可能です。
発症しやすい人
治療法
- テーピングやギプスで患部を固定し、使いすぎを防止する
- 湿布薬や塗り薬、飲み薬を使い、炎症や痛みを抑える
- 改善が見られない場合は、骨を削る手術
変形性指関節症は、発症してすぐに骨の変形が起こるわけではありません。
動かしにくいのを自覚しながらも長い間放置してしまうことで、数年かけてゆっくりと骨が固定されていきます。一度固定されてしまうと二度と戻らないので、少しでも異変を感じたら早めに受診しましょう。
女性ホルモンの1つである「エストロゲン」が不足すると発症しやすいとも言われています。
大豆イソフラボンはエストロゲンと同じ働きをする「エクオール」という成分を作るために役立つので、予防のためにも積極的に摂取していきたいですね!
朝の指のこわばりを感じたら何科を受診すればいい?
ここまで、朝起きると指が曲がらないと感じる病気を5つ紹介してきました。
全てに共通するのは、気になる症状があれば早めの受診が大切ということです。
リウマチの症状に当てはまる症状がある場合
かかりつけ医に相談してから専門医に紹介状を書いてもらうこともできなくはないのですが、実は関節リウマチの診断はとても難しいため、診断には専門的な知識が必要です。
もしリウマチの症状に当てはまる症状が多い場合は、直接リウマチの専門医を訪ねることが改善の近道です!
- リウマチ科
- 膠原病科
- リウマチの専門医がいる整形外科
- リウマチの専門医がいる内科
やみくもに受診しても、医師に専門知識がなければ結果的に遠回りすることになります。
「○○科」に絞って探すのではなく、科にかかわらず「リウマチの専門医がいるかどうか」が重要です。
リウマチ専門医が探せるサイトがありますので、気になる方は下のボタンから検索してみてくださいね。
リウマチの症状に当てはまらない場合
リウマチの症状に当てはまらない場合は、免疫系の問題ではなく骨や腱鞘での炎症が考えられます。
そのため、まずは
- 整形外科
を受診しましょう。
自分ではリウマチではないと思っていても自己判断は危険ですから、リウマチの知識がある整形外科だと更に安心ですよね!
朝起きると指が曲がらないのは関節リウマチ!?他の病気の可能性は?まとめ
ここまでで、ご自身に当てはまる症状はありましたか?
朝起きると指が曲がらない症状が出る病気はたくさんありますが、大きく分けて「自己免疫疾患」か「それ以外か」によって、受診する科は異なります。
リウマチ専門医を受診
自己免疫疾患によるもの
- 関節リウマチ
- 回帰性リウマチ
整形外科を受診
女性ホルモンの低下や指の酷使によるもの
- ドゥケルバン症候群(腱鞘炎)
- ばね指
- 変形性指関節症
指のこわばりを感じても必要以上に恐れる必要はありませんが、「このくらいなら平気だろう」と自己判断せずに、早めの受診を心掛けてくださいね!