最近書店に行くと、数多くの美術および、美術史に関する書籍が
並んでいます。美術史を学ぶとあらためて言われると、どの辺りから
とっかかったら良いのか分かりづらい部分もあるかと思います。
そこで、おなじみの書籍や、美術に関する情報をまとめてみました。
Contents
美術史に関する代表的な書籍
最近は、グローバル企業と呼ばれる世界的な企業が、経営幹部に美術を学ばせることが
多くなっています。この辺りのご発言が多いのが、コンサルタントであり作家でもある
山口周さんでしょう。
プレジデント等にも寄稿されていて、美術を経営幹部が何故学ぶかということが、
理路整然と書かれています。
曰く、これまでの経営は統計や過去の数値の積み重ねを分析していけば、
経営が成り立っていたが、これからの経営は過去を分析しているだけではだめで
新しい発想が必要になるとのこと。
この辺りのことは、山口周氏著の「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
経営における「アート」と「サイエンス」 」(光文社新書)に細かく記載があります。
この本以外でも、山口周氏は、経営と美術についての執筆をいろいろなところで
されているので、まずは、取っ掛かりの一冊として読んでおくべき書籍でしょう。
山口周氏の独学への哲学について
山口周氏の独学へのこだわりというのは、かなり強いものがあって、
多分、山口周氏の一番人気のある書籍「知的戦闘力を高める独学の技法」の中に、
どのようにして独学で知識を習得していくかということが記載されています。
こちらも読んでみると、独学ってどうやったらいいんだろうという悩みが解決されると
思います。
世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」も必読でしょう
木村 泰司著の上記書籍、随分長いこと書店の見やすいところに並べられていました。
ということは、売れているかつ読みやすい。
売れてなくて読みにくい本は、書店は取りやすいところに置かないものです。
書籍の内容としては、西洋の美術史のベーシックなところを、順を追って
執筆されていると言って良いでしょう。
作者の木村泰司氏のプロフィールは、1966年生まれ。米国カリフォルニア大学バークレー校で
美術史学士号を修めた後、ロンドンサザビーズの美術教養講座にて WORKS OF ART 修了。とあり、筋金入りです。半端な素人はお相手できません。こういう方の考えを書籍を通じて触れることができるというのはありがたいことです。美術に対して、美しいというイメージだけではなく、その裏には、政治的な意図とかその当時の権力者の意図があったという話を聴くと、それまでの美術に関するイメージも変わってくるのではないでしょうか。
美術検定は美術史の独学に効果的なのでしょうか?
世界遺産が検定になったころから、世の中、いろんな検定ができてきたような気がします。美術の世界にも「美術検定」というものが存在します。いろいろな検定があり、知識をある程度の形にまとめるためには、いわゆる検定は結構有効です。こんな検定なんて、とっても意味ない!とかこんな検定、いつでも取れる!とか言う人は、世の中多いのですが。キチンとある程度の時間を確保して、一定の知識水準を得るための検定は受かった人と、受からなかった人、受けなかった人の間には、厳然たる溝があるとと言っていいでしょう。でもって、美術検定ですが。
美術検定ってどんな検定ですか?
2003年に、美術出版社主催で「第1回アートナビゲーター検定試験」として開催されました。意外と古い検定になります。その後、2007年に、「美術検定」と名称が変更となり、美術館連絡協議会・読売新聞社・美術出版社との共催(~2012年)で 「美術検定」が開催されるようになりました。なぜ、ここに読売新聞?というのは気になるところですが、まあ、そんなこともあるのでしょう。各級毎に、基本問題集があるのは、どの検定でもよくあること。4級~1級までのレベルがあり、
4級 西洋美術・日本美術の名作を知る
西洋美術・日本美術史の中から、代表的な作品や作家などについて問われる。
3級 西洋美術・日本美術の基礎的な歴史的な流れを理解する
西洋美術・日本美術史に登場する作品や作家だけでなく、美術の動向や形式、時代背景など、歴史的な流れについても問われる。
2級 幅広い美術に関する知識や情報、美術鑑賞の場の社会的役割や歴史などを理解する
西洋美術・日本美術史の基本的な知識や情報を始め、建築工芸や技法、写真映像、現代美術、美術館など幅広い美術史の知識と、美術鑑賞の場の役割や機能、現状に関する実践的な知識が、それぞれマークシート問題で問われる。
1級 美術や美術鑑賞の現場に関する知識、情報を基に自分で解釈・思考し、明確に伝達できる
美術鑑賞の場の役割や機能、現状に関する知識をはじめ、鑑賞をする視点からの作品描写や、より楽しい鑑賞のためのアイデアなど、実践的な現場で求められる能力が記述式問題で問われる。と分類されています。2級、1級くらいまで行くと、美術史については、かなりの知識を得ることができるでしょう。でも、山口周氏の書籍から考えると、インプットをするのは当然、その知識を、どのように使っていくかという話になりますから、検定を目標に勉強するのは大いに結構ですが、その先の、学んだ知識をどのように活用するかといった点も念頭に置きながら、勉強に励んでいきたいところです。