「カテーテルが体外に出ないのは便利だけど、皮膚の下に埋め込むなんて怖い…」とCVポートの留置に迷っている方へ、デメリットとメリットを分かりやすくまとめました。
実際に埋め込んだ方の口コミや感想もレポートするので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
CVポートのデメリットとは?大きく4つ紹介
CVポートとは、中心静脈カテーテルの一種で正式には「皮下埋め込み型ポート」と呼ばれます。患者さんの必要なときに、体外から接続して薬剤などを投与できる小さな器具です。
これにより点滴のたびに血管に針を刺す痛みを感じることがなくなります。
CVポートって何で出来てるの?
100円玉程度の「セプタム」と呼ばれる薬剤を投与する本体と、薬剤が通る「カテーテル」で構成されています。
引用 メディコン
埋め込む場所は、鎖骨の下の血管からカテーテルを挿入し、胸の上あたりの皮膚の下にポート本体を埋め込むことが多いです。
引用 メディコン
留置後は本体のセプタムから専用の針で薬剤を投与し、カテーテルを通って血管内へ入っていきます。
引用 メディコン
費用はいくらかかるの?
費用は3割負担で、CVポート【挿入は約55,000円】、【抜去は約5,000円】です。
挿入や抜去にかかる時間は?
挿入は外来で日帰りでも可能ですが、患者さんの状態によって、1泊から2泊の入院でおこなうこともあります。手術自体は1時間前後です。
CVポート留置後はすぐに使うことができ(種類によっては数日後の場合もあります)、針を刺す回数は最大2000回、年数にすると5年前後使用することができます。
CVポートが必要なくなった場合は10分程度で手術で取り除きます。
使用しない期間がある場合は、4週間に1度や3ヶ月に1度(使用するポートの種類によって異なります)の頻度で「フラッシュ」と言って生理食塩液で洗浄し消毒をします。
デメリットはどんなこと?
局所麻酔で1時間前後の外科的手術が必要
一番大きなデメリットとしては、外科的な手術が必要なことです。鎖骨の場合、約2cmほどの一本線の傷ができます。
Youtubeのすきなもんちゅーぶさんのチャンネルでは、CVポートを入れて6ヶ月後の傷の状態等も紹介されているので、参考にされてみてください。
合併症が起こる可能性がある
合併症の事例としては感染や、カテーテル破損、ポート露出、ポート反転などがあります。中でも一番多く発生するのが感染です。
ある病院のデータでは、およそ10%の割合で感染が発生しており、栄養目的での留置の場合に多く感染が発生したという結果がありました。
感染が発生すると身体的にも経済的にも患者さんにとっては負担になってしまうので、2020年に発売された抗菌作用を持つCVポートの運用に期待を寄せているということでした。今後、データが蓄積されて合併症が改善されることを祈るばかりです。
乳がん検診(マンモグラフィー)への影響がある
CVポートを留置すると、マンモグラフィーを受けられない場合があります。
実際に「医師から乳がん検診は、健診とエコーでお願いしてくださいと言われたので検査が心配」という方もいました。破損の危険性が危惧されるようです。危険はほとんどない、という医師も居るので、主治医と十分にご相談された方が良いでしょう。
逆に、マンモグラフィーを受ける病院側で「CVポートを留置している方は検査できません」と注意書きをしている場合も多くあります。
乳がん検診への影響が心配な方は、CVポートを鎖骨ではなく上腕に留置することで、マンモグラフィー検査も可能になります。
栄養目的の場合は消化機能が低下する恐れがある
栄養補給目的での使用は、消化機能の低下が懸念されます。
できれば、消化管が使えるのであれば、栄養は胃腸からの摂取が推奨されています。しかし、状態が悪くなってからでは、CVポートの留置も困難になってしまいます。
脱水などで血管が浮き出ず、ルートの確保が困難になってしまい、CVポートどころか通常の点滴すらも患者さんへの負担が大きくなります。
その時の患者さんの身体的負担よりもCVポートを挿入する方がメリットが大きいと考えられる場合には、患者さんの余裕がある時に、CVポートの留置を考えた方が良いかもしれません。
CVポートのメリットとは?調べてみるとメリットの方が多かった
メリット
- 自由に腕を動かすことができる
- カテーテルを気にすることなく入浴できる
- 日常生活に制限がなく、服装も気にしなくて良い
- 確実に血管に針をさせるので肉体的にも精神的にも負担が少ない
- すべての点滴に対応している(薬剤投与・輸血・採血)
- 鎖骨だけでなく腕や足にも留置可能
- 消毒管理をしていれば感染率は低い
- 在宅患者さんにも適応できる
- 長時間の薬剤投与でも入院の必要がない
実際の口コミ
意識があり会話しながら1時間で造設終了。局部麻酔の注射が痛い程度で終わりました。
なんと言っても点滴がスムーズに済み、精神的に楽でした。
鎖骨下から埋め込み5年間ほど使用しました。血管が細くなかなか腕から上手く針が刺せることが少なかったので、ポートを埋め込んだ方が安心して治療ができました。
車のシートベルトは気にならないだろうか、バッグの肩ベルトは大丈夫だろうかと、さんざん心配しましたが、今のところ一度も不都合はないです。
普通に生活できてます。先日からスイミングも開始しました。
なんと言ってもメリットは、日常生活に支障がほとんどないということでした。皮下に埋め込むので痛そうに思いますが、痛みも少ないという声が多かったです。
「宇宙人に何か埋め込まれた感があって面白かった」なんていう声も。
また、ある病院では、看護師さんへ終末期がんの患者さんに関してアンケートをとったところ、61人中54人が中心静脈ルートとしてふさわしいものにCVポートをあげており、更にそのうち41人が「早めに医師にルート確保をして欲しい」と答えています。
その利点について、やはり「入浴などで針を外す必要がないこと」「患者さんへ針の穿刺という苦痛を与えずにすむ」という声があがっていました。
生の現場のスタッフからこのような声が上がっているということは、CVポートのメリットが大きいと言えるでしょう。
【参考】実際にこんな方がCVポートの留置を選択しています
「社会生活を送りながら、外来で長期的に化学療法を受ける方」は、CVポートを選択される方が多いようです。
他にもこんな方が選択しています。
CVポートを留置した方
- 経口摂取が困難で胃ろうに抵抗がある方
- 高カロリー輸液での治療が必要な方
- 継続的な点滴療法をおこなう方で血管確保が困難な方
デメリットとメリットを紹介しましたが、明確な選択基準がある訳ではありません。
選択基準のポイント
- 患者さんの年齢
- 患者さん自身のセルフケア能力
- ご家族のサポート力
- 訪問看護などの利用の有無
- 生活スタイル
- 治療内容・治療目的
などを総合的に考慮し、その方に合った選択をすると良いでしょう。
外来で注射がうまい看護師さんが居たので、毎回その方を指名して点滴をしてもらっていたので、医師には勧められましたがCVポートの留置はしませんでしたという方もいました。
医師に勧められたからと言って、必ずしも留置の必要がある訳ではない、ということですね。
「 CVポートのデメリットとは?【迷ってる方必見】口コミや感想まとめ」のまとめ
まとめ
- CVポートの一番のデメリットは外科的手術が必要で2cmほどの傷が残ること
- CVポートの一番のメリットは日常生活に支障がないこと
- 特に社会生活を送りながら外来で化学療法を受ける方がCVポートを利用している
- 医師に勧められたからと言って必ずしもCVポートを留置する必要はない
- 患者さんの状態や環境を総合的に判断して決める必要がある
「体の中に何かを埋め込むのは怖い」…と思っている方も多くいらっしゃると思いますが、デメリットを調べてみると、メリットの方が多かったように思います。
お風呂に入ることも、スポーツも可能で日常生活にほとんど支障はありません。
耐久性も通常は2〜3年は問題なく使用でき、メーカーによっては8年間使ったという方もいました。
感染症のリスクも低く、不要になったらいつでも取り出し可能なので、点滴が精神的苦痛になっている場合や、病気が原因でQOLを低下させないためにも、選択肢の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。
私も自分や家族に長期的な点滴の必要が生じた場合には、CVポートの留置を前向きに検討してみようと思いました。
最後になりましたが、病気で苦しむ方に、少しでも笑顔が増えることをお祈りしています。