みなさんはゲノムという言葉を聞いたことがあるでしょうか?難しい言葉に聞こえるかもしれませんし、私もよく知りませんでした。
ゲノム編集とは遺伝子の並びを変化させることにより、異なった形質を作り出すことです。
現在の医療にゲノム編集技術が使われていたり、それにより人間に与えるデメリットを紹介していきます。
Contents
ゲノムとは?ゲノムについて簡単に説明します
ゲノムとは一体なんなのでしょうか?
全ての生物には、それぞれの体内にその生物をかたちを作るための設計図のようなものを持っています。
その設計図は人なら人の、鳥なら鳥の、花なら花の、それぞれ固有なものであり、そこに書き込まれている情報はそれぞれ違うものです。
なので、人は鳥にはなれないし、鳥は人になれないのです。
ゲノムは親から子へ受け継がれているDNAの並びのことです。生物の形成を決定するために必要な全ての遺伝情報のことです。
ゲノムを説明する上で欠かせない3つのことを説明していきたいと思います。
DNA
生物の設計図(遺伝情報)はDNAの並びで表され、形や性質を決める全遺伝情報が書き込まれています。
DNAは、拡大してみると糸状に見えたDNAは二重らせん構造でくさりのような形をしています。
設計図は、細胞の中にあるDNAからできており、ヌクレオチド分子の並びで表されます。
生物の遺伝によって受け継がれる特徴、形や性質(形質)を決める全遺伝子が書き込まれいます。
DNAの核の中のは染色体があり、この中のDNAが遺伝子として働いています。
ヌクレオチドとは?
ヌクレオチドとは糖・リン酸・塩基が結合したものの総称(基本構成単位)です。
この糖・リン酸・塩基が結合するとDNAなどのような核酸になります。
遺伝子
遺伝子とはDNAの中で遺伝情報を伝える領域のことです。親から子へ生物の特徴を伝える情報そのものです。
人間の体を作るのに必要な設計図に相当するもので約3万個の遺伝子があると考えられています。
そして、人間の体は細胞の核と呼ばれる部分に染色体があり、この中のDNAが遺伝子として働いています。
遺伝情報を持っている部分と持っていない部分があり、持っている部分のことを遺伝子と呼びます。
染色体
染色体とは、人間の体は37兆個の細胞でできています。
染色体は遺伝情報がつまったDNAが太く折りたたまれたもので、親から子へ受け継がれれる、多くの遺伝情報がつまっています。
例えば、ヒトの染色体は46本(23対)あり、父親と母親からそれぞれ1本ずつ受け継いだものが対になっています。
ちなみに、この内の23対目は男女を決める染色体です。
ゲノム編集技術について
ゲノム編集とは一体どういうことなのでしょうか?
遺伝子の塩基配列の狙った箇所に変化を生じさせ、変異させることにより遺伝子の働きを変化させることがゲノム編集技術です。
DNAを切る酵素を使い、ゲノムの狙ったところを切り、間違った修正を起こさせたり、新しい遺伝子情報を入れたりすることです。
ゲノム編集の最大の特徴は狙った DNAを切るということです。
ちなみに、DNAの切断、修復は日常的に起こっており、この修復がうまくいくと遺伝情報はもと通りになり、遺伝子の情報は切られる前と同じに戻ります。
まれにこの修復がうまくいかないことがあり、DNAの塩基が1つ抜けて、遺伝子が機能しなくなることがあります。
こうすると今までにない特徴を持った生き物を作り出すことができます。
DNAを切らずに書き換えるゲノム技術も開発され、利用されつつあります。
塩基配列とは
先ほどから塩基、塩基配列などの言葉が出てきましたね。ゲノム編集を説明するのには必要なので解説しますね。
塩基には、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、という4種類あります。AとT、GとCと決まった組み合わせで対になり、それを塩基対といいます。
これらの4種類の並びが塩基配列といい、この塩基配列(DNA配列)の中に遺伝子情報が書き込まれています。
例えば、遺伝子の塩基配列が変わるとDNAをもとに作られるタンパク質のアミノ酸配列も変わり、タンパク質や働きも変わってしまいます。
つまり、塩基配列が変わってしまうと、遺伝子情報が変わり、違う働きをするようになるってことですね。
ゲノム編集技術と病気治療について
ゲノム編集と医療にはどんな関係があるのでしょうか?
また、どういう治療に役立っているのか、みていきたいと思います。
がんゲノム医療とは
遺伝子情報により、がんの個別化治療の1つです。
主にがんの組織を使って、たくさんの遺伝子を同時に調べ、遺伝子異変※を明確にします。
それにより、ひとりひとりの体質や症状に合わせて治療などをする方法です。
→がんの組織などを使い、1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」をして、遺伝子の変化に対応した薬も使われています。
※遺伝子変異…細胞の中の遺伝子が何らかの原因で後天的に変化することや生まれ持った遺伝子の違いのこと。
遺伝子治療
遺伝子が壊れていたり、遺伝子が足りない患者には遺伝子治療が有効なため将来を期待されている治療法です。
遺伝性疾患と呼ばれる、遺伝子に異常が見つかった時に試されます。
遺伝子の塩基配列に異常があり、ある種のたんぱく質が作られないことで起こる疾患を根本的に治すには遺伝子レベルでの治療が必要であると考えられています。
健康なヒトから取り出した正常な遺伝子を細胞の核のDNAに組み込み、もとの細胞を特殊な方法で増やして、もとの身体に戻す方法です。
体内で正常な遺伝子が働き、今まで作られなかったタンパク質が作られることにより、病気が治ります。
ゲノム編集技術を人間の医療に使うデメリットは?
治療目的の場合
オフターケット異変という、本来狙った場所とは違う場所を切断してしまうことにより、予期していなかった、危険が生まれてしまう可能性がないとは言えないことです。
また、オフターケット異変が発生することにより、がん化のリスクもあります。
がん遺伝子の活性化、あるいはがんを抑制している遺伝子が活動しなくなる可能性があります。
治療目的で体細胞に適用する場合はリスクがあるため、それを最小限にする技術開発が進められています。
生殖細胞に適用する場合
生殖細胞とは次世代に遺伝子情報を伝える役割を持つ細胞のことです。精子、卵子のことを言います。
日本では生殖細胞に適用することは、禁止されています。
それは、生殖細胞に対する発育などに未解明な部分が多いことと、次世代に対する予想できない影響があるからです。
日本では、「遺伝子治療など新章研究に対する指針」により、ゲノムの技術を生殖細胞に使うことは禁止されています。
ゲノム編集技術とは?人間の病気治療に使うとデメリットがある?まとめ
- ゲノムとは体内にその生物をかたちを作るために必要な設計図のようなもの
- DNAの核の中のは染色体があり、この中のDNAが遺伝子として働いでいる
- 遺伝子とはDNAの中で遺伝情報を伝える領域のこと
- 染色体は遺伝情報がつまったDNAが太く折りたたまれたもので、親から子へ受け継がれれる多くの遺伝情報がつまっている
- 塩基配列の狙った所に変化を生じさせ、変異させることにより遺伝子の働きを変化させることがゲノム編集技術
- ゲノム編集技術はがん医療や遺伝子治療で使われている
- オフターケット異変など医療で使うときはデメリットもある
いかがでしたでしょうか?
聞き慣れない言葉も多く出てきたかもしれません。
人間としてあるための情報を書き換えることにより、病気やがんの治療に効果があることはすごい技術だなと思いました。
ゲノムは狙って変化させる技術であり、まだデメリットはありますが、改善してどんどん技術が上がっていくと思います。
そうなれば、もっと効率よく、また多くの人に認知される治療法になっていくのかなと思いました。