「看護師になりたい」「どの学校に行ったら看護師になれるの?」
看護師になりたいと思っても、看護学校も様々な種類がありますから、どんな学校に行くか悩みますよね。
そのため、今回は看護師になりたいと思っているみなさんやお子さんが看護師になろうとしているという方のために、
5年一貫看護高校を含む看護師になるための進学先についてまとめました。
5年一貫看護高校はデメリットが多いの?メリットはなに?
看護学校というと、看護専門学校や大学の看護学科などを思い浮かべる方が多いかと思います。
ですが、5年一貫看護高校があることをご存知ですか?
5年一貫看護高校ってどんな学校で、どんなメリットやデメリットがあるんでしょうか。
5年一貫看護高校ってデメリットが多い?
どんな学校にもメリット・デメリットがあります。当然5年一貫看護高校もデメリットがあります。
5年一貫看護高校のデメリットを見てみましょう。
5年一貫看護高校のデメリット
- 中学生のうちに進路を決定しなくてはならない。
- 他の科の高校生より、勉強に忙しい高校生活になる。
- 給料が安い
- 最終学歴が高校卒業になる
看護専門学校や看護大学は、高校を卒業した後の進路になりますが、5年一貫看護高校は中学卒業後に通う高校になります。
そのため、看護専門学校や看護大学に通う人と比べて、早い段階で進路を決定しなければなりません。
看護師は簡単になれる仕事ではありません。
高校の勉強にプラスして看護の専門的な勉強をしますので、辛い実習や日々の課題、テストに追われ、勉強が忙しい日々を過ごすことになります。
5年一貫でのカリキュラムとなりますので、高校の3年間は普通科目(高校の勉強)と看護の基礎科目、その後の2年間の専攻科では教養科目と看護の専門科目を学びます。
そのため、「絶対に看護師になる!」という強い意志が必要です。
「看護師になろうかな」「看護師になるのもいいかもな」という程度の覚悟では、その後の専門的な勉強や実習についていけなくなります。
また、基本給が低くなるのもデメリットの一つです。最終学歴も5年一貫看護高校の場合は「高等学校卒業」になります。
5年一貫看護高校にメリットはないの?
5年一貫看護高校は他の進学先に比べて、給与や学歴の部分ではデメリットが目立つかもしれません。
ですが、5年一貫看護高校にはメリットもあります。
5年一貫看護高校のメリットを見ていきましょう。
5年一貫看護高校のメリット
- 最短で看護師になれる。
- 5年間同じメンバーで過ごすので仲間との絆が強くなる。
- 費用が安い。
5年一貫看護高校のメリットは、最短で正看護師の受験資格が得られることでしょう。
早く看護師になりたい人にとっては一番のメリットだと思います。
また、5年間クラスメンバーは基本的には変わりませんので(実習グループは変わります)仲間との強い絆が生まれます。
看護専門学校も大学の看護学部や看護学科でも、だいたいは1クラスか2クラスなのでメンバーはほぼ変わりません。
ですが、看護専門学校や大学の看護学部や看護学科よりも長い期間同じメンバーで過ごす5年一貫看護高校は、よりお互いを知ることができます。
また、辛い実習や大変な勉強を乗り越えることで、強い絆ができます。
費用面でも一番安く済むのが5年一貫看護高校になります。そのため、学費の不安がある人にとっても強いメリットになるのではないでしょうか。
そもそも5年一貫看護高校ってどんな学校?
5年一貫看護高校は、高校3年間の看護学科と2年間の専攻科を合わせたカリキュラムになります。
看護学科から専攻科へは入学試験等はありません。
5年のカリキュラムを修了すると、看護師の国家試験の受験資格が得られます。
国家試験に合格すれば看護師になることができますので、5年一貫看護高校を卒業すれば20歳で看護師になれます。
看護専門学校は21歳で卒業ですし、大学の看護学部や看護学科では22歳で卒業なので、
20歳で卒業できる5年一貫看護高校が看護師になるための一番の近道です。
しかし、すべての高校の看護学科でこの過程があるわけではありませんので注意が必要です。
5年一貫看護高校なのか、3年制の看護科なのか、よく確認する必要があります。
3年制の高校の看護科は「准看護師」の受験資格を得ることが出来ます。
一般的に看護師というのは「正看護師」を指します。正看護師は国家資格ですが、准看護師は都道府県の資格になります。
准看護師は仕事内容は正看護師と変わりないことが多いです。
ですが、大きな病院では准看護師は看護業務ではなく看護助手として雑務をすることもあります。
准看護師になるには准看護師の受験資格が得られる3年制の高校へ、正看護師になるには正看護師の受験資格が得られる5年一貫看護高校へ進学する必要があります。
5年一貫看護高校以外の看護師になる道は?専門学校や大学はどういうところ?
看護師になるための進路としては、5年一貫看護高校の他に、看護専門学校や大学の看護学部や看護学科があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
5年一貫看護高校以外の進路①:看護専門学校
高校を卒業した後、3年間通います。私も看護専門学校を卒業しています。
看護専門学校は、3年制ですので大学に比べると1年分学費が安く済みます。
また、看護専門学校の2年生の半ばから3年生の12月まではほぼずっと実習になるので、実習は多いです。病院付属の学校が多いので就職も有利です。
実習病院にそのまま就職する場合が多く、即戦力として働ける実践力を養うことができます。
5年一貫看護高校以外の進路②:大学の看護学部や看護学科
通常の大学と同じで、一般教養科目を学ぶことが出来ますので、幅広い分野の学習ができます。
また、大卒になりますので学士を取得できます。
保健師や助産師の受験資格が得られる学校もありますので、保健師や助産師に興味がある方は受験資格が得られる学校なのかどうかを確認しましょう。
昇進においては、大学の看護学部や看護学科を卒業していると一番有利で、病院によっては大学を卒業していないと管理職になれないところもあります。
出世に興味がある方はそのあたりも考慮して進学先を選ばないといけませんね。
5年一貫看護高校と専門学校や大学の費用は違う?
費用に関しては、学校によってかなりバラつきがあります。
5年一貫看護高校と専門学校や大学では費用はどう違う?
5年一貫看護高校は高校の費用と2年間の専攻科の費用になりますので、他の進学先に比べると比較的安くなります。
看護専門大学や看護大学に関しては、高校の費用と進学する3年間の専門学校の費用または4年間の大学の費用がかかります。
また、大学も私立なのか公立なのかによってかなり金額が違いますし、入学金もユニフォーム代もバラバラです。
聴診器や血圧計など、実習で使うものも購入しなくてはいけません。実習先の病院が近くにない場合は、実習に行くための交通費もかかります。
費用に関しては、受験する本人よりご家族が気になる部分だと思います。
私の場合、学費や生活費をどうしていたかを紹介します。
費用はどうしたの?私の場合!
私は、親から一切援助を受けずに看護専門学校を卒業しました。
学費や生活費は高校生の時にアルバイトをしてためたお金と奨学金で支払いました。一人暮らしをしていましたが、その生活費も援助も受けずに生活していました。
奨学金についても金利の低いところや返済が免除されるところもありますので、いろいろなところを検討してみるといいと思います。
私は2か所から奨学金を受けていて、一つは「就職するなら返済は免除」、もう一つは「5年働いたら返済免除」というものでした。
そのため、就職してから返済に追われるということもありませんでした。
奨学金は、産休・育休中は返済を待ってくれたり、働く場所が限定されてしまうところもあります。
また、奨学金を借りたために就職してからお給料の半分以上を返済に当てなければならない場合もあります。
そのため、奨学金を利用する際はどんな制限があるのか、返済はどのようにしていくのか、免除の条件などを確認しましょう。
5年一貫看護高校を卒業した場合のお給料は?専門学校や大学のお給料とは違うの?
お給料に関しては、仕事のモチベーションにも関わります。同じ仕事をしているのに「自分だけ給料が低い」ということもあり得ます。
お給料の額はお住いの地域や、職場によって違いますので、就職前に確認しましょう。
お給料が一番高いのはどの進路?
お給料が高い順に、大学の看護学部や看護学科、看護専門学校、5年一貫看護高校となります。
就職先によっても金額は変わりますので一概には言えません。
一例として、私が勤めていた大学病院では、初任給が大学卒で23万、専門学校卒で20万、5年一貫看護高校卒で18万程度でした。
大学卒と5年一貫看護高校だと5万も差が付いちゃうんですね。
ただし、これは初任給での違いです。
年齢で考えると、働き始めるときは大学卒だと22歳、専門学校卒で21歳、5年一貫看護高校卒で20歳です。大学と5年一貫看護高校で2年違います。
5年一貫看護高校を卒業した場合、その分長く働けるので、勤続年数が長くなりますから昇給金額によっては大学卒に収入が追いつく可能性もあります。
また、職場によっては基本給にそれほど大きな差はないところもあります。
ホームページに記載されている病院もありますので、就職するときは色々な病院を調べてみると良いと思います。
基本給以外の手当てはどうなの?
正看護師の資格を取って働くと、基本給のほかに手当てがつきます。
資格手当と呼ばれますが、これは大学卒業でも専門学校卒業でも5年一貫看護高校卒業でも変わりません。
そのほか、夜勤手当、遅番や早番の手当ても卒業学校で差はないので、お給料の違いは基本給での差だけになります。
准看護師の場合は、正看護師よりも資格手当は安くなりますので注意してください。
その他の手当てとしては、交通費がどのくらい出るのかや住宅手当などがあります。
ご自分が就職しようとしている病院等がどのような手当てがあるのかを確認したほうがいいと思います。
また、手当てとは少し違いますが、ユニフォームの支給があるのかどうか、クリーニングしてくれるのかどうかも一緒に確認しましょう。
私の友人が勤める病院ではユニフォームは購入することになっていて、普通に買うよりは安くなっているようですが入職時に支払いが発生するそうです。
クリーニングしてくれないところであれば、自宅に持ち帰って洗濯する必要がありますので、入職前に確認しましょう。
【保存版】5年一貫看護ってデメリットが多い?看護師への道を紹介!のまとめ
- 5年一貫看護高校は高校3年間と専攻科2年間の5年一貫したカリキュラムになっている。
- 5年一貫看護高校のデメリットは、中学生で進路を決定しなくてはいけないこと、基本給が安いこと、最終学歴が高校卒業となること。
- 5年一貫看護高校のメリットは、最短で看護師国家試験の受験資格が得られること、学費が安いこと、5年間同じ仲間と過ごすことで仲間との絆が強くなること。
- 学費等の費用は5年一貫看護高校が一番安く、次いで専門学校、大学となっている。
- 看護師の給料は、大学卒業が一番高く、次いで専門学校卒業、5年一貫看護高校卒業となっている。
- 諸手当ては5年一貫看護高校でも大学でも変わらない。
いかがでしたか?
5年一貫看護高校のメリットやデメリットを中心に、看護師になる道について紹介してきました。
それぞれの学校にそれぞれのメリット・デメリットがあります。
同じ5年一貫看護高校でも学校によって特色が違いますので、学校見学・オープンキャンパスなどに参加してみると良いと思います。
お給料面での違いなどはありますが、正直申し上げて、一緒に働く側としては大学卒業でも5年一貫看護高校卒業でも何も変わりません。
卒業先がどこなのかが話題になるのは新卒の時だけで、他は誰がどこの学校を卒業したかなんて聞かれることはほぼありません。
5年一貫看護高校は、一見デメリットが多いようにも見えますし、看護専門学校や大学の看護学部や看護学科に比べて給料や待遇面で劣る部分があることは事実です。
ですが、5年にわたってしっかり看護の勉強ができますし、早く働き始めることもできます。
看護師は、大変な仕事です。
病院に限らず、基本的には人の生死にかかわる場で働くことになります。毎日のように人が死んでいくこともあります。
人が死ぬ姿、苦しむ姿を見続けなければならないことに、なぜ自分は看護師になんてなったのかと後悔するようなときもあるでしょう。
ですが、それ以上に看護はとても楽しいです。自分の工夫次第でいろいろなことが出来ます。
大切なのは、自分がどんな看護をしたいのかという「看護観」です。
どんな学校に行ってもどんな場所で働いても、自分の「看護観」を見つけてください。
そういう点では5年一貫看護高校の5年間はとても有意義なものになると思います。勉強で忙しくなると思いますが、恋愛ができないとかアルバイトができないとかそんなことはありません。
「看護師になりたい」
そう思っているみなさんと、看護の現場でお会いできることを楽しみにしています。