牛すじカレーや牛すじの煮込みって美味しいですよね。あのプルプルでトロトロの食感って他にはなかなかないですよね。
ただ、牛すじはもともと固い部位です。
その固い部位をプルプルでトロトロの食感にするにはとにかく時間と手間がかかります。
うちには圧力鍋もないし、一度挑戦してみたけど時間がかかりすぎて…
美味しいんだけど、牛すじだけだと満足しないし、手間と時間が見合わなくて…
時期によってはずっと煮込んでいるのも暑くて、作る頻度も下がってしまいますよね。
でも、この調理時間が少しでも短縮できたら、牛すじを使った料理のハードルが少し下がるのではないでしょうか。
そこで今回は"牛すじを柔らかくする時短の調理法"をお伝えしていきますね。
牛すじを柔らかくする時短の調理法と下処理方法
普通のお鍋で牛すじの煮込みを作ろうと思うと合計2時間くらい煮込むことになり、その間外出が出来ないとなると作ることができる日も限られてきます。
また、下処理を怠ってしまうと料理全体が臭くなってしまったり、料理の色が悪くなってしまうので下処理を省くわけにはいきません。
普段使いの調理法として、時短調理法を知っておくと、そこまで料理に時間を割けない日でも牛すじを使うことができますよ。
牛すじを柔らかくするにはお酢が便利
こちらは、圧力鍋を使わない方法です。
肉のタンパク質を分解してくれるあるものと一緒に煮込むだけというとても簡単な方法です。そのあるものとは『お酢』です。
長時間煮込んで牛すじを柔らかくする仕組みは、らせん状に巻かれたコラーゲンの分子が熱によってほぐれることにあります。
お酢はコラーゲンの分子をほぐして柔らかくしてくれる効果もあります。
タンパク質を分解してくれるものは他にもたくさんありますが、その中で特に『お酢』がおすすめな理由はコラーゲンを柔らかくしてくれるというところです。
この方法だと、煮込み時間はたったの30分です。
お酢を使った下処理で牛すじを時短で柔らかくする
- 牛すじを一口大より少し大きいくらいのサイズに切る。
- 水200㏄、酢50㏄と牛すじを入れる。
牛すじが浸るくらいのにしたいので、お鍋の大きさによってはこの割合で分量を増やしてください。
- あくを取り除きながら弱火で30分ほど煮る。
- 湯を切ってアクと余分な脂を洗い流す。
ただ、少し酸味を感じるので、この時短調理法は味の濃い料理に使う場合におすすめします。
牛すじを柔らかくするには圧力鍋が便利
圧力鍋を持っていたら使ってるよ…という方も多いと思うのですが、やはり圧力鍋は最強の時短調理法です。
火からおろして放置できるので、鍋に付きっきりということもなく、暑い時期にも調理しやすいですよね。
圧力鍋を使って牛すじを時短で柔らかくする
- 圧力鍋に牛すじ、規定量の水、皮ごと輪切りにした生姜、酒100㏄、長ネギの青い部分を入れを入れて火にかける。
- 圧力がかかったら、お使いの鍋の指定の時間火にかける。
- 火を消して圧力が抜けるまで置いておく。
- 湯を切ってアクと余分な脂を洗い流す。
- 牛すじを一口大より少し大きいくらいのサイズに切る。
牛すじを柔らかくする基本の下処理方法
こちらは牛すじを柔らかくする基本の下処理方法です。時短の下処理方法と比べてみてくださいね。
牛すじを柔らかくする基本の下処理
- 牛すじを鍋に入れ全部浸るくらいの水を入れ火にかける。
- 沸いたら弱火で10分くらい茹でる。
生の牛すじは固いので、まずはそのまま茹でましょう。
- 湯を切ってアクと余分な脂を洗い流す。
- 牛すじを一口大より少し大きいくらいのサイズに切る。
- 下ゆでに使った鍋を洗い、そこに牛すじと牛すじが全部浸るくらいの水、皮ごと輪切りにした生姜、酒100㏄、長ネギの青い部分を入れ火にかける。
- あくを取り除きながら弱火で1時間ほど煮る。
牛すじの煮汁には美味しい牛のエキスが溶け出しています。
また、牛すじのコラーゲンはゼラチンとなって煮汁に溶け出しているので、煮汁ごと楽しめる料理にするのがおすすめです。
そのままスープに使ったり、牛すじをおでんに使うのであればそのままおでんの出汁としても利用できます。
煮汁を再利用しなくて良いという方は、臭みを消して柔らかくするだけであれば米のとぎ汁で代用可能ですよ。
皮ごとの生姜や長ネギの青い部分がない場合にも、米のとぎ汁での代用は使えますね。
この後におでんにしたり、煮込みにしたりといった調理に入るので、普通のお鍋だと下処理も含めると合計2時間くらい煮込むことになります。
今日は料理に時間を割こうという日には基本の調理法で作ってみるのも良いですね。
基本の下処理方法と時短の下処理方法の違い
まずは時間を比べてみましょう。
- 基本の下処理方法:茹で時間・煮込み時間で1時間超
- 時短の下処理方法:茹で時間で30分程度
30分超の時短になりますね。
次に工程を比べていきましょう。
- 基本の下処理方法:茹でる→洗う→調味料や香味野菜などを加えて煮るという工程
- 時短の下処理方法:調味料や香味野菜などを加えて煮る→洗うという工程
時短の下処理方法の方が、時短だけでなく工程も少なくて済むので、普段使いの調理法として知っておくと良いですね。
誤解していませんか?牛すじの知られざる魅力
カロリーも高そうだし、食べるのは飲みに行った時くらいにしておこう
脂で胃もたれしそうだから今日はやめておこう
なんて思っている方、意外と多いんじゃないでしょうか。
牛すじを誤解しています!!
ここからは牛すじの知られざる魅力をご紹介していきます。
そもそも「牛すじ」ってどこのことを指すの?
牛すじとは基本的には牛のアキレス腱の部分のことですが、スネやネックなどの筋のついた固い部分も含まれます。
『すじの入った肉』の総称なので、同じパックの中に見た目の違うものが入っていることもよくあることです。
牛すじがプルプルでトロトロになる仕組みは?
牛すじは固いものなので焼いて食べるのには向きません。
では、そんな固くて焼いてだととても食べられない牛すじがどうやってあそこまでプルプルでトロトロの食感になるのでしょうか。
牛すじを柔らかくする仕組みは、3本の糸がらせん状に巻かれた縄のような形をしているコラーゲンの分子が長時間の加熱によってほぐれることにあります。
それが1本ずつバラけて、1本ずつバラバラになり、糸まりのような形に変形して水に溶けやすいゼラチンになります。
肉のコラーゲンは約65℃で収縮を始めて固くなり、75~85℃でゼラチン化して柔らかくなります。
このように肉のコラーゲンが分解されてゼラチンになり、プルプルでトロトロの食感になるのです。
牛すじのプルプルって?正体はコラーゲンです!
牛すじってプルプルで、脂っこく罪な食べ物だと思っていませんか?脂が多くて高カロリーというイメージがある牛すじ。
それ、誤解です。
じつはあのプルプルは脂ではなくコラーゲンです。コラーゲンなので脂はほとんど含まれていません。
一見脂っこく感じてしまう牛すじは実は意外と低カロリーなんです。
コラーゲンは牛の場合だと、肩、スネ、ネック、テールに豊富に含まれています。
牛すじはコラーゲンの集合体のような魅力的な食べ物です。
それにコラーゲンは人間の体内のタンパク質の1/3を占めている栄養素でもあり、筋肉を作ってくれる大切な役割をしています。
コラーゲンの多い食材を食べることにより、骨粗しょう症や関節炎にも効果があり、爪や髪の毛などの質的改善にも影響を与えると言われています。
そんなコラーゲンの美容や健康に効果が期待できる1日あたりの目安量は5,000mg~10,000mgと言われています。
牛すじの100gあたりのコラーゲンは4,980mgなので、牛すじ100gだけで1日に摂りたいコラーゲンを摂取できますね。
牛すじ100gあたりのコラーゲン4,980mgって多いの?
牛すじの100gあたりのコラーゲンは4,980mgです!
と言われても、正直ピンとこない方も多いと思います。
ですので、コラーゲンが多いと言われている食品と比較して、どのくらい多いか確かめてみましょう。
コラーゲンを多く含む食べ物
食材 | 食材100gあたりの コラーゲン量(mg) |
フカヒレ(戻したもの) | 9,920 |
はもの皮(皮のみ) | 7,660 |
うなぎのかば焼き | 5,530 |
牛スジ | 4,980 |
鶏軟骨(胸) | 4,000 |
はも(皮あり) | 3,560 |
豚白モツ | 3,080 |
はも(肉のみ) | 2,540 |
さけ(皮あり) | 2,410 |
鶏砂肝 | 2,320 |
さんま開き | 2,230 |
鶏手羽元 | 1,990 |
しらす干し | 1,920 |
さんま(皮あり) | 1,820 |
参考 ネスレコラーゲンノート
食品100gあたりのコラーゲン多い順に並んでいるのですが、上位にはかなり高級なものがラインナップされていますね。
コラーゲンはずっと身体にとどまるわけではないので定期的に摂りたいものですが、フカヒレや、はもの皮や鰻のかば焼きで必要量を摂るのはお財布に優しくないです。
そうなってくると安いところだと100g100円前後、高いところでも100g200円もしない牛すじはかなりコスパが良い食材ですよね。
値段だけでなく、もう一点見逃してはならない点は脂質量です。
食材 | 食材100gあたりの コラーゲン量(mg) |
食材100gあたりの 脂質量(g) |
うなぎのかば焼き | 5,530 | 21.0 |
牛スジ | 4,980 | 4.9 |
はも(肉のみ) | 2,540 | 5.3 |
さけ(皮あり) | 2,410 | 4.1 |
引用 キューサイ株式会社
コラーゲンの美容や健康に効果が期待できる1日あたりの目安量は5,000mg~10,000mgを鰻のかば焼きで摂ろうとするとどうしても脂質量が多くなってしまいます。
はもやさけで同量のコラーゲンを摂ろうと思っても、脂質量は牛すじの倍くらいの量を摂ることになります。
脂質の理想的な摂取量は、成人で50g程度と言われていて、ここには調理に使う油やバターなども含まれてきます。
調理に使う植物油大さじ1で12gの脂質になるので、すぐに50gに達してしまうので、食品で摂る脂質は出来るだけ抑えたいですね。
そうなってくるとやはり牛すじはとても効果的にコラーゲンを摂れる魅力的な食品ですね。
牛すじは低脂質高たんぱくでダイエット食材の優等生
また、牛すじの三大栄養素ですが、牛すじには炭水化物は含まれておらず、タンパク質と脂質のみです。
また、その多くがタンパク質なので、炭水化物と脂質を気にせずタンパク質がたくさん摂れる食材なのです。
(100gあたりで比較) | カロリー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
和牛バラ肉 | 517 | 11 | 50 | 0.1 |
和牛サーロイン | 498 | 11.7 | 47.5 | 0.3 |
和牛肩ロース | 411 | 13.8 | 37.4 | 0.2 |
和牛もも肉 | 246 | 18.9 | 17.5 | 0.5 |
和牛ヒレ | 223 | 19.1 | 15 | 0.3 |
牛すじ | 155 | 28.3 | 4.9 | 0 |
参考 カロリーSlism
お肉屋さんでよく見かけるお肉と比較してみましたが、タンパク質の多さも脂質の少なさも圧倒的1位です。
他のお肉でタンパク質をたくさん摂ろうとすると、脂質もたくさん摂ることになり肌荒れに繋がったりするので、タンパク質をたくさん摂りたいときは牛すじがオススメです。
牛すじは脂っこくて罪な食べ物と誤解していた方が多いと思いますが、真逆です。
コラーゲンを含むタンパク質の多さや脂質の少なさだけでなく、お財布への優しさもどれをとっても魅力的な食べ物なのです。
コラーゲンは食べても本当に意味がないの?
コラーゲンは食べても本当に意味がないの?
いいえ、最近の研究で口から摂取したコラーゲンが有益な効果を示すことがわかっていますよ。
コラーゲンは食べても意味がないと長年言われ続けてきました。
コラーゲンを食べることと他のタンパク質を食べることは同じことだと考えられていて、コラーゲンは体内で特別に機能はしないと考えられていたためです。
しかし、最近の研究で口から摂取したコラーゲンが身体に有益な効果を示すことがわかってきました。
コラーゲンは食べても他のタンパク質と同様にアミノ酸に分解されて吸収されると考えられていましたが、実は一部はコラーゲンペプチドとして体内で特別な機能を果たしていたのです。
口から摂取したコラーゲンの一部はコラーゲンペプチドとして小腸で吸収され、血液中に移行して全身の細胞に運ばれます。
この全身の細胞に運ばれたコラーゲンペプチドが新しいコラーゲンの合成に関わるシグナルを発すると言われています。
そのため、口からコラーゲンを摂取することは、体内のコラーゲンを増やすことに繋がるのです。
そしてそのコラーゲンペプチドは、筋肉や骨にも影響を与えてくれます。
- コラーゲンペプチドの摂取と運動→筋力が増加
- コラーゲンペプチドの摂取とリハビリテーション→除脂肪量と骨格筋量の変化量が良い方に大きくなる
- コラーゲンペプチドの摂取とカルシウムとビタミンDの摂取→骨代謝へのプラスの効果
(いずれもコラーゲンペプチドの摂取をした場合となしの場合で比較した結果)
食べても意味がないと言われてきたコラーゲンですが、最近は研究が進み、健康や美容に有益な効果を示すことが分かってきました。
ですので、コラーゲンを多く含む食べ物を意識しながらバランスの良い食生活を心掛けて、健康と美しさを手に入れましょう。
牛すじを柔らかくする時短の調理法は?コツは下処理にあり!まとめ
- 牛すじを早く柔らかくするには『お酢』が便利
- 牛すじを早く柔らかくするには『圧力鍋』が便利
- 牛すじの基本の調理法だと煮込み時間は2時間
- 牛すじの時短の調理法だと30分の時短だけでなく工程も減る
- 牛すじとは牛のアキレス腱の部分の他にスネやネックなどの筋のついた固い部分も含まれる
- 牛すじのプルプルはコラーゲンで脂はほとんど含まれていないので低カロリー
- 牛すじ100gだけで1日に摂りたいコラーゲンを摂取できる
- 牛すじは炭水化物と脂質を気にせずタンパク質がたくさん摂れる食材
牛すじはコラーゲンを効果的に摂れるコスパ最強食材なので、時間をかけてでも定期的に食卓に並べたいですが、煮込み2時間は現実的に厳しいですよね。
この時短テクを使えば、牛すじがもう少し気軽に食卓に並べることができる食材になるかもしれませんね。