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「肌色」が言い換えられたのはいつから?人種差別問題を徹底考察!

「肌色」という言葉が現在言い換えられ、使用されていないことはご存じでしょうか。

私がその衝撃の事実を知ったのは、数年前当時幼稚園児だった子どもとクレヨンを使って

お絵描き遊びをしていた時の事でした。

私:ねえ、そこにある肌色のクレヨン貸して!

 

 

 

子:はだいろ?

 

 

 

私:うん!これこれ!(肌色のクレヨンを手に取って)肌色でしょ?

 

 

 

子:え?ちがうよー!それ、うすだいだいだよ~!

 

 

 

私:う、うすだいだい???

 

 

 

 

軽くカルチャーショックを受けた感覚でした。

一瞬子どもの勘違いかなんかだろうと思ってしまいましたが、

確かに私が手に取っている肌色のクレヨンには「うすだいだい」と書かれていました。

いつの間にかクレヨンの「肌色」が「うすだいだい」という名に改名されていたようなのです。

一体、いつから慣れ親しんできた「肌色」は別の名前へと変わってしまったのでしょうか。そして、なんのために。

調べてみるとそこには知られざる理由があったのです。

 

 

肌色は言い換えられ何と呼ばれるようになったのか

慣れ親しんできた「肌色」という言葉。

私が衝撃を受けた「うすだいだい」という呼称の他にも別パターンの呼称もあるようです。

 

薄橙色(うすだいだいいろ)

 

そもそも「橙色(だいだいいろ)」がどんな色かご存知ですか?

だいだい‐いろ【×橙色】

赤みがかった黄色。オレンジ色。
[類語]オレンジ色蜜柑色柿色

 

引用 (コトバンク『デジタル大辞泉』)

 

薄橙色はこの橙色を薄めた色なので、なんとなく肌色と呼ばれていた色に近くなる感じがしますよね!

ちなみに薄橙色は洋名で「Light Orange」というそうです。

 

ペールオレンジ

ペール‐オレンジ(pale orange)

淡いだいだい色。肌色

引用 (コトバンク『デジタル大辞泉』)

ペールオレンジは英語表記すると「Pale Orange」となります。

はて、「Pale」とは日本語でどんな意味だろうと思って調べたところ「淡い」「薄い」という意味があって、

白色にヴィヴィットな明るい色を少々混ぜたような明るく薄い色を示す用語としても用いられるのだとか。

先の「薄橙色」とは似て非なるものなのか?

なんだか色彩感覚って、難しい。

 

ベージュ

ベージュは「薄橙色」「ペールオレンジ」のように「肌色」を言い換えたというよりは、

肌の色を表現するために使われる色名の1つという認識でいいと思います。

ベージュは元々馴染み深い色名ではないでしょうか。

お化粧をする方は化粧品のファンデーションにも「ベージュカラー」なんていうのがあるので馴染み深いかもしれません。

そんなベージュ、調べてみると

ベージュ(〈フランス〉beige)

薄くて明るい茶色。漂白染色もしていない羊毛のような色。

引用 (コトバンク『デジタル大辞泉』)

 

先に上げた、「薄橙色」と「ペールオレンジ」はどちらかというとオレンジ系の印象でしたが、

ベージュは茶系の色になるようですね。

ちなみにベージュはフランス語なのですね!

表記すると「beige」となります。

 

なぜ「肌色」の言い換えの呼称は1つだけではないのか。

それは大手文具メーカーによって表記が異なるからのようです。

では、一体いつから大手文具メーカーは「肌色」の表記を変更したのでしょうか。

以下に続きます。

 

 

肌色が言い換えられるようになったのはいつから?

「肌色」が「薄橙色」や「ペールオレンジ」などに言い換えられるようになったのは、いつからなのかお伝えする前に、

時を遡って、そもそも「肌色」という言葉自体いつどこからやってきたのかを少しだけお伝えします。

 

肌色は「宍色(ししいろ)」と呼ばれていた

「宍色(ししいろ)」とは、現代ではあまり聞きなれない言葉ですよね。

しし‐いろ【×宍色】

獣肉のような色。黄みがかったピンク色

引用 (コトバンク『デジタル大辞泉』)

 

「宍色」は江戸時代以前に肌の色を表す言葉として用いられていた呼称のようで、獣の肉の色という意味があるのだそうです。

なんだかちょっと怖いな~

 

 

 

やがて仏教が広まり、肉食を禁じるようになったため「宍色」は「肌色」へと変化したのだそうです。

 

色にも歴史があるんだね!

 

 

 

さて、こうした時代背景の中で生まれた「肌色」という言葉。

誕生したのが随分と昔だったことがわかりました。

そしてさらなる時代の変化を経て「肌色」という言葉も変化することになるのです。

 

肌色が言い換えられたのは20年以上前のこと

時を現代に戻しまして

再び「肌色」が言い換えられたのはいつからかというお話です。

大手文具メーカー各社が、肌色を言い換えたのは2000年(平成12年)前後のことです。

『ぺんてる』は、「ペールオレンジ」に。

『サクラクレパス』、『トンボ鉛筆』、『三菱鉛筆は「うすだいだい」へと変更しました。

同時期に変更したのは市場の混乱を避けるためと言われています。

 

もう今から20年以上も前に「肌色」の呼び方が言い換えられていたなんてびっくり!

 

 

 

私はたまたま小さい子どもがいて、画材を目にする機会があったから知った事実ですが、

そうでなければきっと肌色が言い換えられていた事はこの先も気が付かなかったでしょう。

特に私以上の世代には当たり前のように根付いていた「肌色」という言葉。

歴史的にも長く使用されていたこともわかりました。

なぜ、そんな「肌色」は言い換えられることになったのでしょうか。

 

それには気づきもしなかった理由がありました。

 

 

肌色が言い換えられるようになったのはなぜ?

 

「肌色」って一体誰の肌の色?

背景にあったのは人種差別問題でした。

たしかに、世界中を見回すと人の肌の色というのは実に多様であり、一つの色で表すことはできませんよね。

同じ人種どうしであっても全く同じではないですよね。

それにも関わらず「肌色(はだいろ)」という呼称は、人の肌の色に対する固定観念を与えかねない呼称だと問題になり、

議論されることとなったのです。

 

当たり前のように「肌色」と呼んでいたあの色は、言われてみれば日本人の肌の色に近く

日本人である私にとっては、さほど違和感を感じる呼称ではありませんでした。

もちろん私の中で「肌色」という言葉を使用するにあたり、

人種差別的な感覚はありませんでしたが、

人間の肌の色はこの色だ!と、私自身の中でも無意識に根付いていたように感じ、

思い切り固定観念に縛られていたことに気が付き、はっとしました!

 

ちなみに、海外では「肌色」を表す言葉はないのだそうです。

そもそも、相手の肌の色に対して発言する事自体が差別的だという意味でタブーとされているからです。

私を含め日本は人種差別に対する意識が世界から見ると残念ながら低いのかもしれませんね。

 

また、このような世の中の流れで改革を迫られている言葉が他にもありました。

 

「肌色」のほかにも言い換えを迫られる言葉「美白」

透き通るような美白肌。

そんな肌に憧れて一度は「美白化粧品」といった商品を手にとった方も多いのではないでしょうか。

しかし、この「美白」という言葉も「肌色」同様、人種差別問題に対する意識の変化から削除される動きが出ていたことはご存じでしたか?

日本で「肌色」の言葉が言い換えられるようになった2000年(平成12年)の同じ頃、

イギリスの『ユニリーバ』など大手化粧品メーカーが「美白」という商品の販売停止や表現の取りやめを行ったのです。

理由の1つとしてあげられたのが、

美白=白い肌が美しいとされる、良いものとされる

といった、ここでもやはり「白い肌が良しとされる、優位である」といったような固定観念を植え付けられる懸念から

「美白」という言葉が危惧されたのだと考えられます。

 

え〜!「美白」という言葉も人種差別問題に繋がるなんて正直びっくり!

 

 

 

おそらく、「白い肌」に憧れるのは個人の自由だと思うのですが

「白い肌」を優位な立場にするような社会的な働きが良くないということなんですよね!

「美白」という言葉を生み出した人も、当たり前のように使ってきた私たちも

決して人種差別をしていたつもりはないでしょう。

しかし、その言葉によって疑問や怒り、不快に感じる人がいるのだということは

無視してはいけないのかもしれません。

そんなつもりなかったー!気がつかなかったー!

といったセリフだけ残して目を背けてはいけない問題なのかもしれませんね。

気がつかないところで、だれかを悲しいきもちにさせてるかもしれないんだね

 

 

 

こうした動きが進んでいくことは賛成ですが、

その代わり今まで人々が作り上げてきた言葉やモノといった文化が失われるということも忘れてはいけない事実ではないかと思います。

慎重な行動が必要ですよね。

 

みんなの「肌色」に合わせた商品やプロジェクト

「肌色」や「美白」など人種差別問題の影に失われた言葉やモノもある一方、そうした背景から新たに登場した商品やプロジェクトもあります。

これもまた私にとっては気づかなかった新たな発想だと思います。

 

クレヨラ 肌色 色えんぴつ 24色 カラーオブザワールド 世界のお友達

引用 (Amazon『クレヨラ 肌色 色えんぴつ 24色 カラーオブザワールド 世界のお友達』)

アメリカの大手画材メーカー『クレヨラ』から発売された、とても可愛らしいパッケージに入った24色の色鉛筆セット。

しかしこの24色、よく見てみるとどれも世界中の様々な人種の「肌色」なんですね!

多様性が当たり前となる時代、みんなそれぞれ違っているのが普通なんだよって事

お絵描きをしながら学べちゃう色鉛筆です!

もう「肌色」は1つじゃないんだって事がすぐに理解できますよね!

 

資生堂マイ・クレヨン・プロジェクト

引用 (資生堂マイ・クレヨン・プロジェクト)

お次は日本を代表する大手化粧品メーカー『資生堂』のプロジェクトです。

実際に子どもたちの「肌色」をサンプルにしたクレヨンを作製し、子どもたちはそれぞれの自分だけの「肌色」クレヨンで絵を描いて互いの個性を認め、大切にしていくことを学べる教育ツールです。

画像では見えにくいですが、クレヨンの1つ1つに「◯◯色」と書いてあり、「◯◯」の部分がお子さんの名前になっているんですよね!

クレヨンの色を並べて見ただけでも子どもたちそれぞれの肌の色が違うことが一目でわかりますよね!

自分だけの色、自分だけの個性を大切に。

相手だけの色、相手だけの個性も大切に。

 

多様性のあり方を学ぶことができる素敵なツールです。

 

 

「肌色」が言い換えられたのはいつから?人種差別問題を徹底考察! ーまとめー

  • 「肌色」は言い換えられ、「薄橙色」「ベールオレンジ」「ベージュ」などと呼ばれるようになった。
  • 「肌色」が言い換えられるようになったのは2000年(平成12年)前後。
  • 「肌色」が言い換えられるようになった理由は人種差別の問題があったから。

子どもが使っていた「うすだいだい」のクレヨンから人種差別問題を考える事になるとは想像していませんでした。

私の中で当たり前だと思っていた「肌色」は固定観念に縛られていたものだと気づいた反面、

根付いてきた「肌色」という言葉の文化が失われた事に少し寂しさを感じたのも正直なところです。

多様性を認め合っていくこれからの時代、1人1人が考え方を変えていかなければいけないと思いますが

培われてきた1つの文化が失われる事にも繋がりかねないので、慎重に考え行動する必要があると感じました。

本当に難しい問題ですが、これからは私自身も目をそらさずに向き合っていきたいです。