トンボと聞くと、オニヤンマの様な爆速で飛ぶ種類や、サラサヤンマの様にホバリングしながら飛ぶ種類を思い出しがちですが、ハグロトンボという種類を知っていますか?
7月~8月のお盆の頃に現れて、線が細く、フワフワと優雅に飛ぶ姿は、とても美しく、見惚れてしまいます。
小さい頃、住んでいた田舎の川には、ハグロトンボがいて、可憐に飛んでいる姿を「精霊さんみたいだな。」と思いながら、いつも見ていました。
全身が黒いトンボは、縁起が良くて「神様トンボ」とも言われています。なぜ縁起がいいのか、神様トンボと言われているのか、というのも気になりますね。
今回は、そんなハグロトンボについて調査していきます!
※虫の画像がありますので、閲覧の際はご注意ください。
ハグロトンボは珍しい?地域によっては絶滅危惧種
ハグロトンボは、一般的に言えば珍しくないです。
環境省のレッドリストでは、至って普通のトンボですが、地域のレッドリストを見ると東京では絶滅危惧Ⅱ類、青森では準絶滅危惧種に指定されています。
環境省の絶滅危惧種のカテゴリーを見てみましょう。
絶滅危惧種
絶滅(EX) | 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅(EW)* | 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 |
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)* | 絶滅の危機に瀕している種 |
絶滅危惧ⅠA類(CR)* | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
絶滅危惧ⅠB類(EN)* | ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの |
絶滅危惧Ⅱ類(VU)* | 絶滅に危険が増大している種 |
準絶滅危惧(NT) | 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
情報不足(DD) | 評価するだけの情報が不足している種 |
絶滅のおそれのある地域個体群 | 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
*印のあるものは、絶滅のおそれがある種(絶滅危惧種)です。
自然の少ない東京の都心では、ハグロトンボを見つけるのは難しそうですね。
ですが、自然豊かな奥多摩の方へ行けば、多摩川などでハグロトンボを見かけるがことできます。他にも、小さいカエルやフサフサの毛虫もいたりします。
レッドリスト
レッドリストとは、絶滅の恐れがある野生動物の種類のリストのことです。
国際的にはIUCN(国際自然保護連合)作成していて、国内では環境省と地方公共団体、NGOなどが作成しています。
動物について
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、汽水、昆虫類、淡水魚類、陸・淡水産貝類、
その他無脊椎動物
植物について
維管束植物、蘇苔類、藻類、地衣類、菌類
海洋生物については、一部の種類を除き、絶滅の評価を行っていませんでしたが、平成24年度から海洋生物のレッドリスト作成を開始しました。
レッドリストは概ね5年ごとに全体的な見直しをしています。
生息、生育の状況が悪化してしまい、再検討が必要な種類については、次期を定めずに必要ならば改訂することにしています。
ハグロトンボの生態について
トンボ目カワトンボ科
アオハダトンボ属
日本では、東北、本州、四国、九州に生息。
大きさは、57㎜~67㎜でやや大型。
オスは、お腹がキラキラしたエメラルドグリーン、メスは黒褐色の色をしています。
ヤゴの大きさは、22㎜~26㎜で、色は淡い褐色です。
羽化してからは、一旦水辺を離れて林地へ移動します。成熟すると川に戻り産卵期に入ります。
産卵は、単独静止型で水面近くの植物内に産卵しますが、稀に潜水産卵することもあります。
ハグロトンボが神様トンボと言われる由来
ハグロトンボは「神様トンボ」として、神の使いや先祖の使いとして信じられてきました。
他にも、「仏トンボ」や「極楽トンボ」という異名もあります。
神様トンボ
なぜ、神様トンボと言われるのかというと、それはハグロトンボの動きに関係しています。
ハグロトンボは翅(はね)を休める時、翅を閉じたり開いたりを繰り返します。
その行動が、人が手を合わせる動きに似ていることから、神様トンボと呼ばれるようになりました。
神様とつくだけあって、仕事運や恋愛運、金運など、様々な幸運があなたの所へ訪れるかもしれませんね。
勝ち虫
これはトンボ全体のことですが、素早く飛び回って、後退せずに前に突き進んでいく虫なので、戦国時代から「勝ち虫」と呼ばれて、縁起のいい虫と伝えられています。
肉食で攻撃的=強いというイメージを持たれ、武将にも好まれた虫です。
徳川四天王である本田忠勝の兜や甲冑にもトンボがあしらわれていたり、愛槍・蜻蛉切(とんぼぎり)も、この槍を立てて置いておいた時に、先端に止まった虫が真っ二つに切れてしまったことから、この名前がついたとされています。
また、農耕を生業とする日本では、田畑荒らす害虫を食べてくれるので五穀豊穣、穀霊の象徴として、大切にされてきたようです。
現代のように、肥料や農薬なんてなかった時代には、ありがたい存在だったんですね。
ハグロトンボはスピリチュアルな神様トンボ
神様トンボと呼ばれるハグロトンボは、スピリチュアル的にどんな効果があるのでしょうか?
幸運を運んでくる
実は黒いトンボは、西洋では魔女の使い、悪魔の使いとして忌み嫌われています。
対照的に、日本では幸福の使いとされています。
特に、トンボが元気に飛んでいる夢を見ると、幸運が来ると言われ、物事がスムーズに進んだり、運命の人に出会える可能性が高くなると言われています。
新しい友達が出来たり、恋人ができたり、ステキな出会いが訪れるといいですね。
良い変化を与える
トンボはヤゴの間を水の中で過ごします。
そして、羽化した後、空へ飛んでいきます。見た目の変化や環境の変化が大きく変わるため、良い変化をもたらす虫だと言われています。
ご先祖様の生まれ変わり
黒いトンボは昔から神様の使いとして大切にされてきました。
お盆の時期になるとよく見かけるため、「ご先祖様の魂がトンボになって帰ってきた」と言われています。
そうやって、いつも私たち子孫を見守ってくれていると思うと、とても温かい気持ちになりますね。
dragonfly(ドラゴンフライ)
トンボを英語でいうとドラゴンフライと言います。
「ドラゴン=竜」がベースとなっています。
西洋では、ドラゴンが「災いをもたらす邪悪な存在」とされているため、トンボも悪魔のような存在と言われています。
嘘をつくと口を縫い付けられてしまう、あるいは耳を縫い付けられるをいう迷信もありました。
細長い見た目から日本では、国土と似ていて親しまれていますが、西洋では針のように見えることから、「魔女の針」「悪魔の針」などという別名も付けられています。
ハグロトンボ以外の縁起のいい虫たち
トンボの他にも縁起のいい虫がいます。
日本だけでなく海外でも縁起物として知られている虫たちを紹介していきます。
テントウムシ
テントウムシは世界各国で神様の使い・幸せの象徴として、幸運を運んでくれると言われています。
「テントウムシが止まると幸せがやってくる」「病気に苦しむ人に止まると病を持って行ってくれる」とも言われています。
正に、幸せの化身ですね!
日本でもキーホルダーやブローチなど、いろいろな物に使われるテントウムシですが、漢字は「天道虫」と書きます。
高い所や指の先端に登ると、太陽に向かって飛んでいく様子から、そう名付けられました。
タマムシ
タマムシの別名は「吉丁虫」。吉丁とは、良いことが起こる前触れという意味です。
その美しく七色に輝く姿から、古来より縁起のいい虫として慕われています。
タマムシの翅は死後も色褪せることはないで、装飾品などに使われています。
また、昔は着物がたいへん高価な物だったことから、タマムシをタンスに入れておくと着物が増える、お金が増えると言われていたり、不運や邪気を排除してくれて、不幸が起きなくなり、幸せを引き寄せやすくなると言われていました。
コガネムシ
結構お馴染みの虫ですね。コガネムシ=黄金虫と書きます。
その名の通り、金運アップを図ってくれる虫と言われています。金運以外にも、精神性や神聖の象徴ともされているので、縁起がいいと言われています。
因みに、コガネムシとカナブンは似ていますが違う生き物です。
コガネムシは葉っぱを食べますが、カナブンは樹液を吸って食事をします。
他にも、顔を比べてみると、丸っこいのがコガネムシ、四角いのがカナブンになります。
参照:ミツモア
蝶々
蝶々は、卵、サナギ、成虫へと成長していきます。
その全く違う姿に変わっていくことから、亡くなった人の魂の化身とも言われ、「再生」「復活」の意味として知られています。
仕事など何か人生において失敗したとしても必ず再生できるという意味が込められています。
あなたの目の前にチャンスが迫っている!ということを、蝶々が教えてくれていますよ。
チャンスを確実に掴むためにも、もう一度チャレンジしてみて下さい。きっと努力は実るはず!
ハグロトンボは珍しい?幸運のトンボの生態・レア度を調査!まとめ
いかがでしたか?
幸運のトンボは、かなりご利益のありそうなトンボでしたね。
・黒いトンボは全体的に運気を上げてくれるありがたい虫
・トンボは西洋では縁起の悪い虫
・7月~8月に出てくるので、ご先祖様の生まれ変わりと言われている
・ハグロトンボは、地域によっては絶滅危惧種
・国全体の視点からは一般的なトンボ
ハグロトンボは、自然の多い場所へ行けば出会えるかもしれませんね。
見かけた時は、捕まえずに写真を撮って保存しておくのをオススメします。
何か良い事があるかもしれませんよ。