風邪をひいた時に、病院で口の中の診察や首の触診をされたことはありませんか?これは扁桃腺の炎症をチェックするためのものです。
扁桃腺とは、舌の付け根の両側にあるリンパ組織のことです。風邪などによって、扁桃で病原体が増殖し炎症が起きることを、扁桃腺炎(扁桃炎)と言います。この扁桃腺炎、繰り返し発症する場合には「口蓋扁桃摘出術」という手術をして、扁桃腺を取り除く場合もありますが、この手術にはメリット・デメリットがあります。
今回は、扁桃腺除去手術の経験者の私が、体験談を交えながら扁桃腺炎と手術についてご紹介します。手術を迷われている方はぜひ参考にしてください!
扁桃腺除去手術を大人になってからするデメリットは?
・扁桃腺除去手術のデメリット1 入院が長め
・扁桃腺除去手術のデメリット2 術後の痛み
・扁桃腺除去手術のデメリット3 歯がかけるリスク
・扁桃腺除去手術のデメリット4 術後の出血リスク
・扁桃腺除去手術のデメリット5 全身麻酔によるリスク
扁桃腺除去手術のデメリット①入院が長めなので予定を合わせるのが大変
扁桃腺除去手術では一般的に、7〜10日の入院が必要となります。出血や傷口の治癒状態によっては入院が長くなるケースもあり、術後も出血のリスクを抑えるためにしばらくは安静に過ごす必要があります。
このため、手術は長めに休みを取れる時期に行うことをおすすめします。
扁桃腺除去手術のデメリット②術後の痛みが辛い
術後は傷口がしっかり治るまで2週間程度、喉の痛みがあります。特に術後すぐは痛みがひどく、水分や食事を飲み込むのはかなり辛いです。
扁桃腺除去手術のデメリット③歯がかけるリスクがある
全身麻酔をかけること、口腔内の手術であることから、手術器具が歯に当たって歯が欠けてしまうリスクもあります。手術用のマウスピースを装着することで予防することができます。
扁桃腺除去手術のデメリット④術後の出血リスクがある
手術後のリスクで一番怖いのが、術部からの出血です。扁桃腺を取り除いた傷口には白いかさぶたができるのですが、このかさぶたがはがれてしまった時に出血することがあります。
出血による大量の血液が気管に入ると呼吸ができなくなってしまうため、術後出血の際は緊急手術が必要になります。
扁桃腺除去手術のデメリット⑤全身麻酔によるリスクがある
扁桃腺除去手術の際には全身麻酔をかけますが、全身麻酔には様々なリスクがあります。具体的には、喉の痛み、かすれ声、誤嚥性肺炎、気管支痙攣、悪性高熱症、アレルギー、肺塞栓症などがあります。
また、10万例に1例程度で死亡例も確認されています。非常に稀ではありますが、リスクは0ではないことを理解しなければなりません。
扁桃腺除去手術を大人になってからするメリットは?
・扁桃腺除去手術のメリット1 急な炎症がなくなる
・扁桃腺除去手術のメリット2 扁桃腺の細菌による病気のリスク軽減
・扁桃腺除去手術のメリット3 扁桃の肥大による呼吸や食事障害の改善
扁桃腺除去手術のメリット①急な炎症がなくなる
扁桃腺除去の最大のメリットはなんといっても急な炎症や高熱がなくなることです。熱や腫れで数日寝込むことも急遽耳鼻科にかかることもなくなります!
扁桃腺除去手術のメリット②扁桃腺の細菌による病気のリスク軽減
慢性糸球体腎炎(IgA腎症)とは、習慣性扁桃腺炎によって引き起こされる、血尿・蛋白尿などが認められる疾患です。
IgAとは扁桃腺で作られている免疫物質の一つですが、慢性的な扁桃腺炎によりタイプの違うIgAが出現します。これが腎臓の糸球体に沈着することで炎症を引き起こします。
扁桃腺を摘出したうえで、糸球体の炎症を抑えるステロイド投与を行う治療法が有効です。
扁桃腺除去手術のメリット③扁桃の肥大による呼吸や食事障害の改善
繰り返す扁桃腺炎によって扁桃が肥大していると、呼吸や食事を妨げる原因にもなります。
いびきや睡眠時無呼吸症候群が起こって睡眠の質が低下することで、日中の眠気による集中力の低下、免疫力の低下につながります。手術によってこれらが改善されます。
扁桃腺炎はどんな症状?!扁桃腺炎の原因はなに?!
扁桃腺は舌の付け根の両サイドにあるリンパ組織です。口や鼻から侵入する細菌やウイルスに対する免疫作用を担っていますが、扁桃腺の働きは幼少期をピークに、大人になるにつれて低下していきます。
扁桃腺が腫れる原因は様々ですが、風邪や疲労、ストレスによる免疫力の低下などによって炎症を起こし、様々な症状を引き起こします。
扁桃腺炎の症状としては、喉の痛み・腫れに加えて、発熱、全身の倦怠感などの風邪のような特徴があります。症状が進行すると、痛みで飲食ができない、首を動かせない、腫れにより口開けづらくなるなどの症状も表れます。
このような炎症を急性扁桃炎といい、これを何度も繰り返すと慢性化し、習慣性扁桃炎となります。
扁桃腺除去は大人になってからでも本当に必要なの?!
一般的に、一年に3〜4回以上扁桃腺炎を繰り返し、学業や仕事に影響を及ぼしていることが手術を行う目安と考えられています。
また、扁桃腺が肥大して生活に支障がある場合や、腎炎などの病巣感染の原因となっている場合も扁桃腺除去が勧められています。
【体験記】扁桃腺手術は辛いけどやってよかった!入院期間や費用を公開
実は、私も年に何度も扁桃腺炎を繰り返していたため、大人になってから、扁桃腺除去手術を体験しています。結果から言うと、手術を受けてよかった!と心から思っています。
メリット・デメリットだけで見るとメリットが少ないように見えますが、「定期的に急に体調を崩して予定が崩れる」という心配がなくなるというだけで、手術を受ける価値は十分あると思います!
病院によって違いがあるとは思いますが、私の入院や手術について書いていきますので、手術を検討中の方の参考になると嬉しいです。
【扁桃腺除去手術・体験記①】習慣性扁桃炎
私は一度、入院一歩手前の重めの扁桃腺炎になって以降、軽めのものも含めると年10回程は扁桃腺炎を繰り返していました。
症状は高熱や喉の腫れ・痛みで、常に急な体調不良に怯えていました。そして、「これからの人生でどれだけ扁桃腺炎で時間を無駄にするんだろう…」と考え、長期休みを利用して扁桃腺を取ることにしました。
【扁桃腺除去手術・体験記②】入院まで
入院までは2回病院に行きました。
1回目は、かかりつけの耳鼻科からの紹介状を持って診察に行き、入院日の決定をしました。入院に関する説明などもこの日に受けました。
2回目は、手術の1ヶ月ほど前に術前検査のために行きました。これは全身麻酔が問題ないか調べるための検査になります。この日にマウスピースの歯型取りもしてもらいました。
【扁桃腺除去手術・体験記③】入院期間
私の場合、入院期間は当初の予定通り、1週間でした。平均が7〜10日なので、ちょうど平均的な日数でした。
【扁桃腺除去手術・体験記④】手術の流れ
入院1日目は入院の手続きを済ませて安静に過ごし、2日目の朝に手術をしました。手術着に着替え、手術室まで自分で移動しました。
全身麻酔は噂通り本当にあっという間で、鎮静で視界がグルグルっとしたあと、すぐに麻酔で眠ってしまいました。手術自体は1〜2時間ほどですぐ終わったと思います。
手術後は摘出した扁桃腺を見せてもらいました。が、麻酔で意識朦朧だったので覚えていません…。
【扁桃腺除去手術・体験記⑤】手術費用
私の手術費用は約13万円でした。平均10〜15万円のようなので、ちょうど平均的な金額ですね。
ベッドはプラス料金を払って4人部屋の窓際にしてもらいました。プラス料金は病院によっても変わってくるとは思いますが、外が見えた方が気持ちも部屋も明るくなる気がしたので、個人的には窓際のベッドをオススメします。
【扁桃腺除去手術・体験記⑥】術後の痛み
術後はかなり痛かったですが、終わりの見えない扁桃腺炎の痛みよりかは耐えられる痛みでした!術後すぐは定期的に痛み止めの点滴をしてもらい、その後は痛み止めの薬で対処、2週間ほどで喉の痛みはすっかり無くなりました。
喉の痛みも辛いですが、術後しばらくは舌に麻痺が残っていて、食事や会話の際に違和感がありました。また、術後は1週間ほど微熱が続いて少しだるさもありました。
【扁桃腺除去手術・体験記⑦】術後の食事
手術日の夜は絶食で点滴で栄養を補い、次の日の朝ごはんから食事が出ました。初めは五分粥からスタートし、食べられると、全粥、米飯となっていきます。
飲み込む際にはかなり痛みがあるので、一口ずつ頑張って飲み込む必要があります。特にパン系の食事は飲み込みにくいので、注意が必要です。
食べにくい時のために、ゼリーなどを持っていくのも良いかもしれません。
扁桃腺除去手術にデメリットはある⁈大人になってからの手術体験記まとめ
扁桃腺は口腔周辺の免疫作用を担う器官ですが、大人になるにつれて働きは弱まります。扁桃腺が年に3〜4回腫れる場合は切除を考えた方が良いでしょう。
扁桃腺除去手術のデメリット
・入院が1週〜10日と長め
・術後の痛みがかなり強い
・歯がかけるリスクがあるため、マウスピース装着がオススメ
・術後の出血により、命を落とす危険性もある
・全身麻酔による副作用のリスクがある
扁桃腺除去手術のメリット
・急な炎症がなくなる
・扁桃腺の細菌による慢性糸球体腎炎などの病気リスク軽減
・扁桃の肥大による呼吸や食事障害の改善
体験談
・入院は7日
・手術費用は13万円
・術後はかなり痛い!けれど扁桃腺炎よりはマシ!
・手術をやって楽になった、本当にやってよかった!
いかがでしたか。
扁桃腺除去手術の体験談も踏まえて、扁桃腺炎についてご紹介してきました。この記事が扁桃腺除去を迷われてる方の参考になれば嬉しいです。