イクラは何の卵でしょう?
何も考えずに「きれいだな」と思って食べていました。
美味しさに目覚めたのは北海道で食べてからです。
あまりの美味しさに目からうろこが落ちました。
自分の中でイクラのランクがグーッと上がった瞬間でした。
イクラは「鮭」の卵です。
「鮭」といっても「秋鮭」です。
なぜ「秋」に限られるのか。
イクラには「鮭イクラ」と「鱒イクラ」があります。
えっ、どういうことでしょう?!
「イクラ」はロシア語です。
何ですって!?
不思議な話がたくさんある「イクラ」。
知るほどに魅力的に見えます。
他にも普通に食べている魚卵はたくさんあります。
何の卵か、産んでくれた魚のこともちょっと知ったらさらに美味しく頂けそうです。
イクラは何の卵でしょう?!鮭イクラと鱒イクラの違いについても解説!
イクラは秋鮭の卵!
「イクラ」は「秋鮭」の卵です。
11月頃、鮭は産卵のために川の上流に向かいます。
「鮭の遡上」のシーンをテレビで見ることもありますね。
産卵が近い鮭の卵は粒が大きく、川が硬くなります。
ですから、産卵期に入る前の9月から10月に獲れた鮭の卵が美味しいそうです。
特に「銀毛」と呼ばれる、産卵のために遡上する前の鮭の卵(イクラ)が美味しいです。
鮭の体が銀色になる「秋鮭」です。
イクラは脂のりが良く、味も良いとされます。
産卵が近い秋鮭は「ブナ毛」と呼ばれ、体の色が濃くなります。
脂質が少ない特徴があります。
ところで「鮭」と「鱒」はかなり近い仲間だとご存じでしたか。
「鮭」は川で生まれて海へ下り、産卵で川に上ります。
「鱒」は一生を川で過ごします。
どちらも「サケ目 サケ科 サケ属」です。
海の方が良質な栄養を吸収できるので、「鮭」は体が大きくなり身も美味しくなります。
なぜ、わざわざ川を遡上して産卵するのか?不思議に思っていました。
それは…
他の魚より産む卵の量が少なく、しかも卵は大きくて目立つ色をしています。
つまり、天敵の目に留まりやすいですよね。
そこで、天敵の多い海を避けて、川に上って産卵するのだそうです。
どのくらい卵が少ないかというと、
産卵数は次のような数字になります。
アナゴ | 10,000,000 | 1千万 |
タイ | 7,000,000 | 700万 |
サバ | 1,400,000 | 140万 |
アジ | 500,000 | 50万 |
イワシ | 100,000 | 10万 |
サンマ | 9,000 | 9千 |
鮭 | 3,000~4,000 | 3千~4千 |
いかに鮭の産卵数が少ないかわかります。
しかも、鮭以外の魚は「産んだらそのまま」ですが、鮭は上流の川底に穴を掘って卵を埋めます。
全身傷だらけになった鮭をテレビで見たことがあります。
その後、産卵した鮭は死にますから、命がけの産卵です。
「鮭」も「鱒」も魚の中では珍しく、海と川(淡水)両方に生活圏がある、という変わった性質を持っています。
「鮭イクラ」と「鱒イクラ」があります!
9月から10月に獲れる鮭の卵が「鮭イクラ」。粒が4ミリから6ミリと大きく、うまみが強く味わいは濃厚です。
「鱒」からとれるのが「鱒イクラ」。粒が3ミリから4ミリと小さく、あっさり味です。こちらは回転寿司や、コンビニとかスーパーのおにぎりやお弁当に使われます。
「鱒イクラ」の方が安いです。「マスコ」ともよばれます。
「鮭イクラ」の方が美味しいという人もいますが、どうでしょうか。
昔は明らかな違いがあったといいますが、保存方法が格段に良くなった今、「わからない」という人もいます。
買うときは「鮭イクラ」「鱒イクラ」、表示を確認してお好みのものを買うと良いですね。
食べ比べてみるのも楽しそうです。
味や食感は好みですが、まずは鮮度が大切ですね。色味が赤過ぎず、黒っぽ過ぎず、きれいなオレンジ色のものを選びましょう。
イクラの味付け3種類
味付けは3種類あります。「醤油イクラ」と「塩イクラ」「生イクラ」です。
一般的に食べられているのは「醤油イクラ」ですね。
「塩イクラ」だとイクラ本来の味を引き出せるといいます。
「生イクラ」はお寿司屋さんなど板前さんが自家製で味付けをするところへ流通しています。
イクラはロシア語?!
「イクラ」はロシア語です。
日露戦争で、ロシア兵がキャビアの代用品として食べたことによるそうです。
日露戦争は1904年(明治37年)から1905年(明治38年)にかけて大日本帝国とロシアの間で起こった戦争ですね。戦場となったのは主に満州南部や遼東半島です。
ロシアでは鮭に限らず魚卵をすべて「イクラ」というそうです。
日本では、魚の卵巣から取った筋子と、粒状のもの(イクラ)を区別する名前は当時はなかったそうなのです。
ロシア人が粒状にした鮭の卵を「イクラ」と呼んでいたのを見て、それを見た人から「イクラ」という言い方が広まった、といわれます。
ここで「筋子」と「イクラ」がそれぞれ名前を持ったのですね。
しかし、今のような食べ方が伝わったのは大正時代だといいます。
ロシアの製法で保存のきく「塩漬け」を、樺太の水産試験場が作ったそうですよ。
そんな歴史が…。興味深いですね。
イクラにはどんな食べ方がある?美味しさの決め手とは⁉
イクラはアツアツの炊き立て白ご飯に乗せて食べたいな!イクラ丼ですね。
おにぎりに入れたり乗せたりして…。
もちろん、ちらし寿司にも良いです。きれいでしょうね。
筋子なら、食べやすい大きさにほぐして食べましょう。
どちらも美味しそう。
熱は加えない方が美味しいそうですよ。
パスタに入れる人もいるようですが、加熱しすぎないように調理した方がより美味しいようです。
キャビアはパンやクラッカーに乗せたりしますが、イクラもパンと合いそう。
この場合は鱒イクラが食べやすいかも…。見た目もおしゃれなカナッペになります。
チーズとの相性も良いそうだから、好みのチーズを薄く切って乗せましょう。
彩りがきれいでしょうね。ペパーミントを乗せたら、最高。
ポテトサラダに乗せたらどうでしょう。
グッと豪華になりますね。
器にも凝って、いつもの「どっさり」ではなく少しずつつぎ分けてみましょうか。
すり大根に乗せても美味しそうだし、要するに何に乗せても様になりますね。
宮城県には「はらこめし」という郷土料理があるそうです。
お酒、砂糖、しょうゆをさっと煮て、煮汁でお米を炊くのだとか。
それに「イクラ」を乗せていただくそうです。
なんて、美味しそう。宮城県に行きたくなりました。
郷土料理は、食材が豊富にあるからできるのですよね。
うらやましい!!
イクラの美味しさの決め手
イクラの美味しさは味付けももちろんありますが、あの「食感」でしょうね。
口の中でプチッと弾けて、コクとうまみが飛び出してくるあの「食感」。
他の魚卵より粒が大きいだけに「弾ける感じ」がたまりません。
弾けるのは品質が良い証拠です。
大きく立派に育った鮭、その健康な卵、自然の恵みを獲ってくださった漁師さん、ていねいに加工してくださった職人さん、すべてに感謝です。
イクラをどこで買いますか?産地によって味が変わります!
引用 最北の海鮮市場
魚屋さんやスーパーに行ったからといって必ずしもイクラが買えるわけではありませんよね。
イクラの産地ならできるかもしれませんけど。
今は「通信販売」という強い味方があります。
何といっても産地で一番おいしい季節のものを一番おいしい状態で送ってもらえるのですから。
送料は付いても、現地に足を運ぶことを思えば安いものです。
現地で食べる楽しみも、もちろんありますけどね。
というわけで、「イクラのしょうゆ漬け」を注文しようかな、と思っています。
イクラの産地
イクラは北海道で食べて感動したのですが、他にも産地はあります。
青森県、岩手県、宮城県、新潟県の順に水揚げが多いです。
イクラが獲れる場所がオホーツク海側か、太平洋側かでも味わいが異なるそうです。
また、ロシアからの輸入物もあります。輸送の都合上、冷凍します。それを日本で解凍して味付けをし、保存のために再度冷凍するそうです。その過程で味が落ちる、という話もあります。
味がわかる人にはわかるのでしょうね。
イクラの他にもおいしい魚卵のいろいろ
筋子 | 鮭・鱒の卵。卵巣の膜に入ったままのつながっている状態のもの。未成熟の卵巣を塩漬けしたもの
成熟したものをの粒を取り出してバラバラにほぐしたものが「イクラ」 |
鮭はサケ目サケ科サケ属、鱒はサケ目サケ科で日本語名に「マス」がつく魚 |
数の子 | ニシンの卵巣。「子孫繁栄」を願ってお正月料理に入っている | ニシンはニシン目ニシン科。別名「春告魚」 |
たらこ | スケソウダラの卵巣を塩漬けしたもの | スケソウダラはタラ目タラ科 |
とびこ | トビウオの卵を味付けしたもの | トビウオはダツ目トビウオ科 |
からすみ | ボラの卵巣を塩漬けして乾燥させたもの
中国で高級な墨である「唐墨」に似ているからこの名前がついたとか |
ボラはボラ目ボラ科 |
キャビア | チョウザメの卵を塩漬けしたもの | チョウザメはチョウザメ目チョウザメ科
名前に「サメ」がついているが「鮫」とは系統が違う
|
それぞれに美味しいものばかりです。
キャビアは高級品のイメージがありますね。
最近は日本でも「チョウザメ」の養殖がされているようです。
どんどん流通されて、お手頃価格で食べることができるようになったら良いなと思っています。
「イクラは何の卵?!美味しい時期は?!鮭と鱒の不思議な関係も!!」のまとめ
- 「イクラ」は秋鮭の卵です
- 鮭イクラと鱒イクラがあります
- イクラの味付けは3種類あります
- 「イクラ」はロシア語です
- イクラの美味しい食べ方がたくさんあります
- イクラは鮮度が命です
- イクラの他にも美味しい魚卵がたくさんあります
いかがでしたか?
今度お寿司屋さんに行ったら「鮭イクラ」か「鱒イクラ」かわかりそうです。
何も知らずに食べるより、ちょっと味わい方が深くなるかもしれません。
旅に出ようか、通信販売で買おうか、悩む楽しみができそうです。