大切な印鑑が欠けてしまったということはありますか?
そして印鑑が欠けたときの対処について知っていますか?
印鑑が欠けることは、日常生活でそこまで多くはないと思います。
だからこそ、思いがけず欠けてしまったとしたら、どうしたら良いか分からず不安になってしまいますよね。
私は元銀行員なのですが、欠けた印鑑についてお問い合わせをいただくことがよくありました。
中には名前が判別できない程欠けてしまっている印鑑をお持ちの方も。
それでは、印鑑が欠けてしまったとき、どうしたらよいのでしょうか。
また、欠けた印鑑は修理することができるのでしょうか。
印鑑の用途別に、必要な手続きについて解説していきます。
印鑑の欠けは有効の場合とそうでない場合がある!
欠けた印鑑は、印鑑の用途によって有効かそうでないかが変わります。
この記事では、実印、銀行印、認印のそれぞれについて、印鑑が欠けても有効かどうかを解説していきます。
実印登録している印鑑は欠けたら使えない!
実印とは、各市町村で印鑑登録を行った印鑑です。
主に住宅や車の購入をしたときの契約手続きなどで使用します。
実印を登録すると、各市町村の窓口で、登録した印鑑の印鑑証明書を発行できるようになります。
実印は、この印鑑証明書の印影と全く同じでなければいけません。
印鑑が少しでも欠けてしまうと、実印としての効力を失ってしまいます。
そのため、新しい印鑑で登録し直す必要があるのです。
大切な実印が欠けてしまったら、各市町村の窓口で実印の再登録ができますので、早めに対処するようにしましょう。
<実印の再登録に必要なもの>
- 欠けた印鑑
- 新しい印鑑
- 本人確認書類
- 印鑑登録証(カード)
登録費用が別途かかる場合があります。
各市町村によって必要なものが異なる場合があります。
ご心配な方は手続き前にお住いの各市区町村に確認してください。
銀行印は欠けても有効な場合がある!
銀行印とは、金融機関に届出をしている印鑑です。
現金の引き出しや振込など、金融機関の窓口で手続きをするときに使用します。
銀行印は、欠けてしまっても金融機関によっては使用可能です。
ただし、名前部分に傷がある場合は使用できません。
実は、すでに欠けている印鑑をこれから銀行印にすることも可能です。
私が勤めていた銀行では、「思い入れのある印鑑だから」と欠けた印鑑を銀行印にするお客様が実際にいらっしゃいました。
ですが逆に、持ってきた印鑑の欠けが大きくて、手続きができなかったお客様もたくさん見てきました。
新しい印鑑を作るのは、思ったより時間がかかります。
お店によっては、出来上がるまで2週間程かかることもあるでしょう。
ですが、「今日までに窓口で振込手続きをしなければいけない!」みたいなことって結構ありませんか?
子どもの学費などで、窓口で振り込むよう指定されてること、ありますよね。
そういう時、「どうしても今日手続きしたいから!」と急遽三文判を買いに行かれる方もいらっしゃいますが、あまりおすすめできません。
三文判とは、100円ショップや文房具店などで購入できる印鑑のことです。
気軽に購入できるメリットがありますが、大量生産で同じものがたくさん存在するというデメリットがあります。
同じものがたくさん存在するということは、悪用される危険性が高まるということ。
銀行印は大切な財産を管理するための印鑑です。
たとえ新しい印鑑を作るまでの間だけだとしても、悪用される危険のある印鑑を使用するのは、とても怖いことだと思いませんか?
ですので、印鑑の欠けに気がついた段階で、印鑑専門店で新しい印鑑を作るようにしましょう。
そして新しい印鑑が出来上がったら、速やかに銀行印を変更しておくことをおすすめします。
<印鑑の変更(改印)の手続きに必要なもの>
- 通帳
- 欠けた印鑑
- 新しい印鑑
- 本人確認書類
同じ金融機関に複数口座を持っている場合、口座ごとに手続きが必要になるので注意が必要です。
認印は欠けていても有効!
認印は、住民票の申請や保険の手続き、会社に提出する書類など、様々な場面で使用します。
印鑑の届出はもともと必要ありませんので、欠けてしまっても特に支障はありません。
しかし、欠けた印鑑を使用することで、相手にだらしない印象を与えてしまうことも。
気持ちよく使用するためにも、新しい印鑑を作ったほうが良いでしょう。
印鑑が欠けたら縁起が悪い!?
欠けた印鑑は、用途によっては有効だと説明しましたよね。
ただ、有効かどうかにかかわらず、印鑑が欠けたら速やかに新しい印鑑を作った方が良いです。
これには、欠けが広がっていざというときに使えなくなる、相手にだらしない印象を与えてしまう、ということ以外にも理由があります。
それは、「欠けた印鑑は縁起が悪い」という理由です。
欠けた印鑑は縁起が悪いとされ、運気が逃げると言われています。
また、印鑑は、「印鑑」としての実務的役割はもちろんのこと、自分の「名前」を彫り込んだ分身として、自分自身のお守りとしての役割を持つと言われています。
印鑑が欠けたということは、欠けるまでの間自分を守ってくれた、自分の身代わりとして欠けてしまったと考えることもできるのです。
縁起や運気のことを考えても、やはり欠けた印鑑を使い続けるのはおすすめしません。
気持ちよく印鑑を使うためにも、欠けに気がついたらすぐに新しい印鑑を作るようにしましょう。
印鑑が欠けたらどうやって処分するの?
欠けた印鑑は、印鑑専門店で供養してもらえる場合があります。
新しい印鑑を作成したお店に相談してみてください。
毎年10月1日の「印章の日」に、印鑑供養が行われます。
供養に出すのが難しい場合は、自分で処分しても問題ありません。
その場合は、防犯上の理由から、印面を削って処分しましょう。
自治体のゴミ出し区分に従って廃棄しても良いですが、お正月に神社で焼いていただくのがおすすめです。
ただし、処分するのは新しい印鑑への変更手続きが全て終わってからにしましょうね。
印鑑が欠けたら修理できるの?
欠けた印鑑は、全く同じものとして「修理」することはできません。
ですが、「改刻」をすることができます。
改刻とは、印鑑のお彫り直しのこと。
欠けた印面を綺麗に削って、新たに彫り直す作業を言います。
改刻をすれば、欠けた印鑑を処分することなく有効に利用することができるのです。
「印面が少し欠けてしまっただけで、印鑑の本体は綺麗なのにもったいない」「思い入れのある印鑑なので処分したくない」という場合にはとてもおすすめです。
ただし、全く同一の印影で彫り直すことは法律上禁止されています。
そのため、改刻してもらった後は、実印・銀行印のいずれも印鑑の変更手続きが必要ですのでご注意ください。
印鑑は欠けても有効?実印、銀行印、認印の用途別に手続きを解説!のまとめ
- 実印は必ず印鑑の再登録が必要
- 銀行印は名前部分が欠けていなければ有効の場合があるが、早めに新しい印鑑に変更した方が良い
- 認印は欠けてしまっても有効
- 欠けた印鑑は縁起が悪いと言われる
- 欠けた印鑑は印鑑専門店で供養してもらえる
- 欠けた印鑑を自分で処分する場合は、印面を潰してお正月に神社で焼いていただくと良い
- 欠けた印鑑を彫り直して(改刻)、新しい印鑑を作ることができる
新しい印鑑への変更手続きは正直面倒…と思う人はたくさんいると思います。
特に実印や銀行印は、毎日使うものではないので、つい手続きを後回しにしてしまいますよね。
ですが、それではいざというときに印鑑が使えなくて困るかもしれません。
もし印鑑の欠けに気がついたら、速やかに変更手続きをしてくださいね。