カマキリを飼育したことはありますか?
夏休みの自由研究などで取り組んだ方もおられるのではないでしょうか。
私は飼ったことはありませんが、弟がなんかの実みたいな塊をズボンのポケットに持ち帰ってきたことがあります、
洗濯しようと母が持ち上げたとたんに、ちっちゃいカマキリが一斉に飛び出してきて悲鳴を上げた、という思い出があります。
のちに「男の子ってあんなことするよね」と苦笑しながら話していました。
その時のカマキリって、ものすごく小さくて、アリよりもまだ小さかった気がします。
しかも無数、と言っていいほどたくさんいました。カマキリって肉食のはずですが共食いとかしないんでしょうか。それとも小さい間は草の実などを食べているのでしょうか?
そんな疑問をいろいろ調べてみました。
※虫画像多めです。注意してご覧ください。
カマキリの3齢幼虫の餌は何?
ちっちゃいカマキリが一斉に飛び出してきたといいましたが、実際どのくらいの大きさなんでしょうか。餌は何を食べているのでしょうか。
カマキリの3齢幼虫ってどれくらい?
私が見た、弟が持ち帰った何かの実みたいなものはカマキリの卵鞘(らんしょう)といい、見た目は焼きふのような感じの塊です。
中は泡状の白いものでいっぱいで、気温などの変化から卵を守っているそうです。
卵の数はなんと200~300個!その卵から孵ったカマキリの赤ちゃんは初齢といい、約8㎜。1㎝に満たない大きさです。ではどのように大きさが変わるんでしょうか。
表にまとめてみました。
孵化直後 | 1齢 | 2齢 | 3齢 | 4齢 | 5齢 | 6齢 | 7齢(終齢) | 成虫 |
5月ごろ | 5月ごろ | 5~6月ごろ | 6月ごろ | 6~7月ごろ | 7月ごろ | 7月ごろ | 7~8月ごろ | 8月ごろ |
約8㎜ | 9~11㎜ | 15~18㎜ | 21~23㎜ | 30~33㎜ | 40~42㎜ | 51~54㎜ | 60~68㎜ | 70~80㎜ |
この表で見ると羽化過程の真ん中が3齢幼虫で、やっと20㎜を超えたぐらいですね。
私は、カマキリは卵から生まれたときからカマキリの形をしているので、そのまま大きくなるのだと思っていました。
けれどもそれはまだ幼虫で、蝶の幼虫の毛虫、トンボの幼虫のヤゴと同じ状態なので脱皮を繰り返して成虫になるんだそうです。
脱皮の回数も個体により6~7回、日数も個体により1~2週間とだいぶん差があります。
家で卵から孵したカマキリでなければはっきり何齢かはわかりません。ですから大きさでだいたいの見当をつけるそうです。
カマキリの赤ちゃんの餌は何?
赤ちゃんといえどさすがはカマキリというべきか、肉食です。小さな虫などを捕まえて食べるそうです。
けれども卵から生まれたてだと8㎜、3齢幼虫でもやっと20㎜超えの大きさ。こんな小さな子たちが食べられる虫って何なんでしょうか。
・コオロギ
・ローチ(ゴキブリ)
・ハエ
・アブラムシ
・ヨーグルト
・魚肉ソーセージ
※超重要※ 水
このうち、コオロギとローチには注意が必要です。赤ちゃんたちより大きい奴らだと反対に食べられてしまいます。
3齢幼虫でもアリに食べられてしまうぐらいです。
餌の大きさの目安はカマで抱えられるぐらい。肉食のカマキリは獲物を狩るためによく動くので高カロリー高たんぱくの栄養価の高い餌が必要です。
虫ゼリーは手軽でいいですが、基本的に動かない虫用のものなので、虫ゼリーばかりだと栄養不良になってしまうそうです。
肉食でたくましい印象のカマキリですが、大食漢ではありません。概ね、2日に1度の給餌で大丈夫なんですが、のどの渇きにはめっぽう弱いです。
かといって、水たまりに落ちてしまうと溺れてしまいます。3齢幼虫でやっと20㎜ですから、水一滴でも溺れる可能性があります。
飼育ケースの中を霧吹きで湿らせ、脱脂綿などに水を含ませて用意しておくとよいでしょう。
共食いはする?しない?
カマキリは動くものを狙って襲う習性があるそうで、それは赤ちゃんといえども変わりません。
ですから同じ卵から孵った兄弟でも、目に入れば共食いしてしまいます。
家で卵から孵して飼育する場合、飼育できる数だけ残して、あとは卵を見つけた環境へ放してあげましょう
カマキリの3齢幼虫への餌の確保の仕方や与え方のコツ
カマキリの3齢幼虫は肉食だとお伝えしましたが、どうやって餌の確保をすれば良いのでしょうか?
自然下で捕まえてくる
コオロギなどは難しいかもしれませんが、アブラムシなら何とかなると思います。水気を含んだ茎にいっぱいつくそうです。
それこそ街路樹の根元など、ちょっとした茂みを探すと見つかります。ちょっと大きめのものは卵を持っている可能性があり、うまくすると子供が孵って増えてくれるかもしれません。
枝ごと入れるのではなく、筆などで優しく払い落として与えるとよいそうです。
ハエはバナナなどを置いておくと自然にわいてきます。ただ、この方法はちょっと臭いが出ますよね…。
また、小学生で飼育している人が自分で工夫してハエを捕獲・飼育できるようにしていました。
しかし、よく飛ぶショウジョウバエを生きたまま捕まえ、それを逃がさないようにケースに入れるのはとてもむずかしいことです。そこで、透明カップの中に腐りかけのバナナを入れて、ハエを集めようとしました。ところが困ったことに、必ずアリがやって来て、カップ内はアリだらけになります。
●ハエは飛べますが、アリは飛べません。そこで、わなを浅い水の中に置くことにしました。予想通り、アリは泳ぐこともできないので、入って来なくなりました。私の「ハエだけわな」です。
●これをカマキリのケースの中に置くことにしました。カマキリが落ちずに、ハエが通れるような網(お風呂で体を洗うネット)をかぶせました。そこから自然にハエが出てくるようになって、便利なエサ装置ができました。「ハエだけわな」はそのまま「ハエ飼育場」になり、エサの心配はなくなりました。
餌用の虫を買う
最近の爬虫類ブームもあって、餌用の虫もたくさんインターネットや店頭で購入できます。
コオロギもローチもいろいろ選べます。ノンフライまたはフライトレスという、飛ばない種類のものがあるので、カマキリの赤ちゃんでも捕まえやすそうです。
注意する点としてはSSサイズ、とあってもかなり大きいものがあることです。大きさを確認して購入できるといいですね。
ハエも売っていて、トリニドショウジョウバエというものが飛ばなくてかなり小さくておすすめです。
引用 ワイルドスカイ通販
さらに小さいハエはキイロショウジョウバエというのが、トリニドより一回り小さいです。
引用 ワイルドスカイ通販
画像中、黒いのがトリニド、ちょっと薄い黄色っぽいのがキイロショウジョウバエです。大きさが一回り違いますね。
自然下のキイロショウジョウバエは飛びますが、餌用のものは遺伝子操作などがされていて飛べないようになっています。
3齢幼虫の大きさであれば「トリニド」でも大丈夫だそうです。
生体を取り除いた後の培地(ハエたちの栄養の元)はすぐに捨てずに、湿気を保ちつつふたを閉めて保存します。まだ卵や幼虫が残っている可能性があるからです。
コオロギやローチはうまくいくと繁殖させることができます。どちらも繁殖力が強く、なんでも食べるので餌を用意する手間があまりかかりません。
野菜の捨てる部分を与え、食べ残しを捨てるようにします。
たんぱく質が不足すると共食いの可能性が高まるのでドッグフードや金魚の餌などを時々与えるとよいそうです。
カマキリと同じで、水分補給は重要です。下手をすると1日で全滅します。野菜くずが多い場合はあまり気にしなくてもいいですが、水を含ませたガーゼや脱脂綿を用意すると安心です。
水を入れたタッパーにガーゼを浸し蓋にぎりぎりの穴をあけて、中のガーゼを引っ張り出すという給水器を作るのもいいですね。
頻繁に水替えをする必要がなく蓋があるので虫が落ちる心配もありません。
餌用の虫だとかなりの数になりますが、そうなると環境の広さと通気性も大事です。
狭いところに密集すると喧嘩が起きて共食いになりますし糞尿も多くなるのでアンモニアが発生しやすくなります。
衣装ケースに穴をあけて、網を張る、というDIYをする人もいらっしゃるそうです。
齢に関係ないものと併用する
虫の大きさが微妙な時は、ヨーグルトなど齢に関係ないものを併用すると四六時中餌のことばかり考えるストレスから解放されます。
ヨーグルトは無糖のものを少し水で緩めるといいそうです。
魚肉ソーセージなどだと、添加物もあるので多く与えるわけにはいきませんが、大きさの加減をしやすく虫が苦手な方でも扱えます。
目の前でちょっと動かしてやると、餌と認識して食いついてくれるそうです。
カマキリの餌としてヨーグルトを与える場合を次の記事に詳しく解説しています。
カマキリの一生はどれくらい?
カマキリはいつ頃生まれてどのくらい生きるのでしょうか。
何月ごろに生まれてくる?
記憶ではうちのカマキリ発生事件は5月ごろだったように思います。調べてみるとやはり5月ごろに孵化するようです。
卵鞘(らんしょう)の下のほうから孵化したカマキリの赤ちゃんが連なって出てきます。カマキリの幼虫を見つけやすいのはこの出てくるところぐらい。
3齢幼虫ぐらいまでは小さすぎて、自然下で見つけるのは至難のわざです。
もしカマキリを小さなころから観察・飼育したいなら、この季節までに卵を見つけて持って帰るのがいいでしょう。
ずっと脱皮し続けるの?成虫と幼虫の違い
カマキリって生まれたときからカマキリの形をしています。では脱皮をするのはヘビなど爬虫類が行う、体が大きくなるための脱皮なんでしょうか。
実は、カマキリの成虫と幼虫の違いって「翅があるか・ないか」なんだそうです。カマキリの赤ちゃんは翅がなくて、成虫になると翅があるので飛べるようになります。
6~7回羽化をするのですが、その間特に形に変化はみられません。不完全変態というそうです。
羽化する前兆は、翅の付け根あたりが盛り上がってくるのが観察できるそうなので、飼育される方はぜひ注目してみてください。
羽化を続けて7~8月ごろに成虫になるそうです。
冬は越せる?
7~8月ごろに成虫になったカマキリはせっせと狩りをして栄養をため込みます。
秋の声が聞こえてくるころ、ちょうど9~10月ごろに交尾・産卵活動をするようになります。
産卵は1個体で大体3回ほど。産卵の間隔は2週間ほどなので、11月ごろに寿命を迎えます。
カマキリは卵で越冬します。成虫のままで越冬はできないそうなので、約半年が活動期となります。
3齢幼虫のようにかわいい小さい姿は夏前のころしか見られないんですね。
ここで疑問に思ったのは、「交尾の後、オスはメスに食べられるのか」ということです。
オスはメスに食べられる?
実際に食べられることはあるそうですが、25%ぐらいだそうです。ただオスはメスの食料になるだけではなく卵の数に影響を与えます。
オスを食べなかった場合と食べた場合とでは倍の開きがあるそうです。
また、メスはオスの栄養を自分だけで吸収してしまうのではなく、大半は卵にオスの栄養が送られていると研究結果が出ているそうです。
クモなどでも交尾後オスを食べる習性のある種類は確認できています。
その場合は1度の交尾でオスの生殖器は使えなくなっているので、オスの遺伝子を残せるのはこの1度のみ。
カマキリの場合は生き延びれば何度か交尾できるし、もし食べられても自分の遺伝子は倍以上残せるのでどちらがいいかは、カマキリのみぞ知る、というわけです。
カマキリの3齢幼虫って何センチ?餌は何をやればいいのか徹底調査!まとめ
まとめ
- カマキリの赤ちゃんの大きさは生まれたてで約8㎜。羽化過程真ん中の3齢幼虫で約20㎜ほど。
- 5月ごろに孵化し、5~6月ごろに3齢幼虫になり、7~8月に成虫になる。
- 3齢幼虫ぐらいまではアリにも食べられてしまうほどに小さい。小さくても肉食で共食いもするので出来るだけ離して育てる。
- 餌はアブラムシやショウジョウバエ。大きくなってくるとコオロギやローチも。目安は鎌で抱えられる大きさ。
- 家にあるものではヨーグルトなども使える。
- 水分は超重要。水滴1滴でも溺れるので脱脂綿などを使い、溺れないように十分な水を確保する。
いかがでしたか?
カマキリはかっこよくて子供たちに大人気の昆虫ですが調べてみると、とても奥が深い生き物でした。
ドラマチックな脱皮が見られたり、アグレッシブな狩りの様子を観察できるって素晴らしいと思いました。
ぜひ、子供たちと一緒にカマキリの一生を見てください。