2003年にムシキングが登場してからというもの、カブトムシを始めとした昆虫ブームは子供だけの趣味ではなくなったように思います。
最近ではBANDAIが販売しているかなり精巧なガシャポン「いきもの大図鑑」がコレクターや虫好きの心をくすぐっています。
実際に「カマキリを飼っている」という声もよく聞くようになり、私も掌の上でお腹を出して寝ころび餌を食べるカマキリを見た時は「飼ってみたい」と思いました。
でもカマキリは肉食性の昆虫なので餌になる虫を用意しなければいけませんよね。
「野生のカマキリを捕まえてきたはいいものの、餌を食べてくれない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はカマキリの餌の与え方には少しコツがあるのです。
ここでは、カマキリが餌を食べない時に考えられる7つの理由と、餌の与え方について紹介します。
カマキリが餌を食べない7つの理由
餌に飽きた
私たちもそうですが、毎日同じものばかりを食べていると飽きてしまいますよね。
カマキリを飼育していると、生きた虫を常に用意しておかなければならないので大変です。
ペットショップには爬虫類の餌用に、コオロギやワーム、レッドローチなどが販売されていますが、そういった虫をストックしておいて毎日与えているのでは、カマキリも飽きてしまいます。
毎日同じ餌を与えていて、餌を食べなくなったという時は、餌を変えてみるのも良いかもしれません。
脱皮が近い
カマキリは脱皮が近くなると絶食期間に入ります。
餌を食べないのは1~2日ほどなので一応餌は与えてあげて、食べなければ回収してください。
あまり大きく動き回る虫を入れたままにしておくと、実際に脱皮をする時にカマキリに接触して脱皮不全を引き起こし、死に至る場合もあります。
ちなみに、カマキリは平均して7回ほど脱皮を繰り返す不完全変態の昆虫です。
成虫になると翅ができるため、翅があるかという点も確認してみてください。
産卵前
産卵前のメスのカマキリは食欲が落ちます。
お腹の大きなカマキリの場合は産卵前かもしれませんので、そっとしておきましょう。
一般的なカマキリの雌雄の見分け方は、交尾器の先端を見ると良いです。
オスもメスもお尻の先に2本の触角のような突起がありますが、オスはその内側に更に2本の小さな突起があります。
メスは交尾をしていなくても産卵することがありますが、その場合は無精卵なので幼虫は産まれてこないでしょう。
オスは小食
メスのカマキリはオスに比べて体も大きく、産卵のために栄養を蓄えなければいけません。
メスに比べてオスは小食な傾向がありますので、1日食べないくらいであれば心配はいりません。
カマキリの雌雄の見分け方は「③産卵前」で紹介しています。
食べない日もある
カマキリの気分によって食べない時もあるみたいです。
カマキリは餌を1週間くらい食べなくても平気と言いますが、だからと言って1週間に1度でいいというわけではありません。
餌に気付いていない可能性もあるので、カマキリの脚などにちょんちょんと餌をあてて目の前で動かしてみてください。
それでも食べない場合は一旦諦めて、また後日餌を与えてみましょう。
寄生虫に寄生されている
代表的なものにハリガネムシが挙げられますが、その他にもヤドリバエなどカマキリに寄生する虫はいます。
寄生虫に寄生された虫は体内を食い荒らされて、徐々に弱っていきます。
残念ですが助かる見込みはないでしょう。
ハリガネムシが寄生しているかどうかは、カマキリのお尻を水に漬けることで確認できます。
ハリガネムシについて
一見ただのワイヤーのようですが、カマキリに寄生しているというのは有名で、気持ちの悪い虫ですよね。
ハリガネムシについて調べていくと色々と面白い研究結果もあります。
ハリガネムシは元々は水中に棲息する昆虫で、カゲロウやユスリカなどの水生昆虫が水中のプランクトンを濾過摂食する際に体内に取り込まれます。
そして水生昆虫の体内で「シスト」という-30℃でも死なないほどの硬くて強力な殻を作り、しばらくは休眠状態に入ります。
水生昆虫が成虫になって陸上に上がり、カマキリやコオロギ、カマドウマに捕食されることで最終宿主に寄生します。
ハリガネムシに寄生されたカマキリの脳からは、ハリガネムシが作った特有のタンパク質が発見されており、このタンパク質によってカマキリを操っているのではと言われます。
最終宿主に寄生したハリガネムシは水面から反射される光に多く含まれる「水平偏光」を頼りに宿主を水辺に誘導して水中に飛び込ませるようです。
最終的に水中に飛び込んだカマキリのお尻から脱出して、水中で交尾・産卵するのです。
ハリガネムシの宿主となる虫をカマキリの餌に与えてしまわないよう注意しましょう。
寿命が近く弱っている
カマキリは春に孵化し、寿命は半年ほどと言われます。そのため11月頃になると大体は死んでしまいます。
冬の間は卵の状態で越冬するため、成虫を見ることはありませんが、飼育下で年を越したカマキリもいるようです。
そろそろお別れが近いなと思ったら、最後までしっかりと見守ってあげましょう。
水やヨーグルトのような液状の物でしたら、少しは口を付けることができるかもしれません。
成長段階ごとのカマキリの餌と頻度
カマキリに餌を与える頻度は、餌の量にもよりますが1~2日に1回程度で大丈夫です。
カマキリは水をたくさん飲む虫なので、飼育ケースに霧吹きで水を吹きかけてあげてください。
ただしあまり水をやりすぎると、湿気が苦手なカマキリもいますので脱皮不全の原因になり注意が必要です。
飼育しているカマキリの種類や様子をみて水を与えましょう。
また、カマキリは肉食なので動くものを餌と認識します。
幼虫と成虫によって食べる餌や与える頻度も変わってきますので、参考までに餌になる虫をご紹介していきます。
初齢幼虫
孵化したばかりの初齢幼虫のカマキリであれば、アブラムシやタカラダニのような1~2mm程度の大人しい小さな虫をあたえるとよいです。
具体的に何匹というのは難しいのですが、アブラムシがたくさん付いた葉を飼育ケースに入れておくと勝手に食べてくれるでしょう。
アブラムシは単為生殖であっという間に増殖するため、一度捕まえてきたらしばらくは餌の心配は必要なさそうです。
初齢~3齢幼虫
脱皮を繰り返し、体のサイズが大きくなるにつれて、餌も大きなものに切り替えていくと良いです。
ネットで購入できるトリニドショウジョウバエという飛べない小さなハエが、3齢幼虫までの餌にはちょうど良いサイズでしょう。
自分の体より小さな虫であれば割と何でも食べますが、蚊やボウフラにはハリガネムシが寄生している可能性があるので注意しましょう。
また、ハナカマキリなどは飛翔性昆虫を好む傾向がありますので、飛び回るハエやガでないと食べないことがあります。
ハエの扱いに困った場合は、冷凍庫に2分ほど入れておけば弱って飛び回るのを防げます。
餌をやる頻度は2日に1度ハエ2匹ずつくらいで十分ですが、カマキリは食べきれない量の餌は食べませんので、飼育しているカマキリの様子を見ながら色々与えてみてください。
4齢幼虫~成虫
大きくなってきたカマキリには、レッドローチやコオロギを与えてみましょう。
野生のバッタやチョウ、時にはカエルやトカゲを食べるものも居るそうですが、基本は自分の体よりも小さな虫を食べます。
また、コオロギのような大きくて飛び回る虫は脱皮の際にカマキリと接触して羽化不全を起こす原因になるため注意が必要です。
脱皮前で餌を食べなくなったなと思ったら、飼育ケースに入れたままにしてはいけません。
特にコオロギは獰猛で、カマキリにも嚙みつくので、一度に大量に入れると逆にカマキリが負ける可能性もあります。
このくらいのサイズの虫でしたら、2日に1匹の頻度で与えれば十分でしょう。
カマキリは脱皮によって欠損を修復することができますが、翅ができたカマキリはもう成虫になってしまって脱皮はしませんので、脱皮を妨害する要素は極力排除しておきましょう。
カマキリの餌は家にあるもので代用できる!
家にあるカマキリの餌の代用品
カマキリのためにゴキブリやハエをを飼育するのはちょっと……という方、実はカマキリの餌は家にあるもので代用できます!
簡単なものではヨーグルトやはちみつを水で溶かしたもの、マヨネーズも水で溶かして与えることができます。
カマキリはタンパク質を多く含むものが好きなので、半熟卵やハムやササミなどのお肉も食べます。
その他にかまぼこや魚肉ソーセージなど、案外色々なものを食べるんですね!
もちろん昆虫ゼリーも食べますが、できるだけ高タンパクなものを選んであげましょう。
ただし完全に代用できるというわけではなく、あくまで「食べる」というだけなのでカマキリの栄養のことを考えるなら、本来食べている虫を与えた方が良いでしょう。
餌の与え方のコツ
これまでに取り上げた餌ですが、ただ飼育ケースの中に入れておくだけではカマキリは食べてくれません。
元気の良い昆虫であれば飼育ケースに入れるだけでもカマキリは食べてくれますが、そうではない弱った昆虫や家にある代用品はカマキリに餌として認識してもらうことができません。
そんな時は竹串やピンセットの先に虫を付け、カマキリの目の前で生きているようにゆらゆらさせることで、カマキリが餌と認識して受け取ってくれます。
気付いていないようだな、と思ったら一度カマキリの脚へちょんちょんと当ててから、目の前でゆらゆらしてみましょう。
その他には、はちみつ水や少し潰した虫の体液をカマキリのカマにつけてやるのも有効です。
カマキリはキレイ好きですので、カマの手入れをする際に口に入れて餌だと気付かせることができます。
ヨーグルトなどの液状の餌であれば、小さじの先に乗せて、カマキリの口へ付けたり離したりしてみるのも良いでしょう。
カマキリが餌を食べない7つの理由! おすすめの餌と与え方のコツ まとめ
ここではカマキリが餌を食べない7つの理由とおすすめの餌、与え方について紹介してきました。
餌を食べてくれない時に考えられる理由は下記の通りでしたね。
餌を食べない理由
- 餌に飽きた
- 脱皮が近い
- 産卵前
- オスは小食
- 食べない日もある
- 寄生虫に寄生されている
- 寿命が近く弱っている
ほとんどの場合はそこまで心配する必要はありませんが、やっぱり長期間餌を食べないとなると命にかかわりますし心配です。
どうすればいいのか分からない、とお悩みの方は「餌の与え方のコツ」で紹介したようなカマキリに餌を認識させる方法をぜひ試してみてください。