息子って敬語で何と呼べばよいか、戸惑うことはありませんか?
相手が上司やお客様などビジネス上の付き合いの場合、うっかりした言い方で失礼にならないか心配になりますよね。
敬語を適切に使えないと失礼な人と思われてしまうかもしれません。逆に敬語が使えると私は常識がある人物です、というアピールにもなります。
敬語は自分の身を守る防具にもなるし武器にもなります。電話なら?メールや手紙なら?どうでしょうか。
最も一般的に使われるのは「ご子息」です。ただ、ちょうどいい敬語表現は相手や場面によって変わるので注意が必要です。
というのも、実は敬語にはいくつか種類があるのです。大きく分けると「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」ですね。ケースごとに分けて詳しく見ていきましょう。
息子の敬語(尊敬語)ビジネスに関わるお客様や上司の息子のケース
ご子息(ごしそく)
ご子息の意味
もっとも幅広く使える表現です。
子息の意味は、他人の息子です。この子息に「ご」をつけてご子息。他人の息子に対する敬称ですね。
ちなみに娘さんの時は、ご息女(ごそくじょ)です。
ご子息がしっくりくる場面
目上の人に対して使える表現で、あらたまった印象です。赤ちゃんから高齢者まで対応可能な敬語です。
きちんとした表現なので、日常会話では丁寧過ぎて違和感があるかもしれません。初対面の場合や、先方が大切なお客様など、礼儀正しさを最優先にしたいときに使うとよいでしょう。
ご子息の注意点
「さらに様をつけて、ご子息様という表現のほうがよいのでは?」という疑問がありますが、これはおかしな表現です。
なぜなら、先頭の「ご」だけで丁寧な表現になっているので、終わりの「様」までつけると二重敬語になるからです。
ただ、手紙文などでご子息様と書いても問題ないとされることもあります。実際、電報や手紙などの定型文の設定がご子息様となっていることもあります。
国語としてはあくまでも例外だけれども、習慣としてこのような使い方もあると言えます。また、自分の息子には使わないのでご注意を。
ご子息の例文
- 部長のご子息は優秀な方だとうかがっています。
- (電報や手紙で)ご子息様の成人おめでとうございます。
令息(れいそく)
令息の意味
「令息なんてあまり聞かないよ?」と思われるかもしれません。確かに子息よりも使われる頻度が低いかもしれません。
令息の意味も、相手・他人の息子です。ちなみに娘さんなら令嬢(れいじょう)です。
ご令息がしっくりくる場面
手紙文で使われます。これは、子息よりもさらにあらたまった敬語表現で、日常では使いません。電報・手紙が主な使われる場面です。
ご令息の注意点
子息と同じく、ご令息様とすると二重敬語になります。習慣的に、手紙文ではご令息様とすることがあります。これも自分の息子には使いませんので、ご注意を。
令息の例文
- (電報・手紙で)ご令息の○○様のご結婚おめでとうございます。
坊っちゃん
坊っちゃんの意味
坊っちゃんは、立場が上の人の息子を指して使う敬語です。
坊っちゃんがしっくりくる場面
幼い男の子に使うのであれば、問題ないと思います。小さな男の子で名前を知らない場合などにも使えます。それから、幼い頃からの付き合いでずっと坊ちゃんと呼んでいる場合もあるでしょう。
坊っちゃんの注意点
成人男性に対して使うのは控えたほうがよいでしょう。というのも、「坊ちゃん」は、世間知らずとか独善的といった皮肉の意味で使われることがあるからです。例えば「あいつはお坊ちゃんだから何もわかってない」といった具合です。否定的な意味が含まれるので、わざわざ使うこともないでしょう。
坊っちゃんの例文
- 坊ちゃんの七五三はいかがでしたか?
自分よりも上の立場の相手を立てて敬意を示すのが敬語(尊敬語)です。上司や年上のお客様は分かりやすい例でしょう。年下のお客様でもお客様ですから、相手を立てるのが適切なので、尊敬語を使います。 相手の立場や状況に配慮する気持ちが大切なんですね。
息子の敬語(謙譲語)自分の息子のケース
愚息(ぐそく)
愚息の意味
自分の息子のことです。仮に事実だとしても、愚かと言われるのは息子の立場では複雑かもしれません。「そんなにへりくだる?!」とも思います。
ただ、伝統的にこのようにあらわしているのであって、実際自分がそう思っていることをあらわしているのではありません。
愚息がしっくりくる場面
目上の人に自分の息子の話をするときに使います。自分を下げて、相手を上げるかたちです。卑屈な言い方というよりも、相手に対する配慮を示して使います。
愚息の注意点
こういった表現は謙譲語にわりと多いですね。他にも、「つまらないものですが」や「お口に合うかどうか」という表現もあります。
一方で、「あまりへりくだりすぎるのもどうなの?」という意見も近頃は耳にするように。
確かに、本当は愚かなんて思っていないのに、愚息というのは抵抗がある、というのはもっともな意見です。
敬語(謙譲語)は無理に使う必要はありません。自分の気持ちに合っているなら使いましょう。
会話は、お互いを知るためのものですから、気持ちよくコミュニケーションがとれる言葉選びができたらいいですね。
愚息の例文
- 愚息が大変ご迷惑をおかけしました。
豚児(とんじ)
豚児の意味
これもできの悪い子どもということで、自分の子どものことです。こちらは息子だけでなく娘にも使えます。
豚児がしっくりくる場面
目上の人に対して自分の子ども(息子と娘どちらもOK)を指して使います。
こちらも、自分を下げて、相手を上げるかたちです。卑屈な言い方というよりも、相手に対する配慮を示して使います。
豚児の注意点
愚息よりもさらにへりくだった印象ですね。私も今回初めて知った敬語で、「ここまでへりくだる必要があるのか?」とも思いました。
現代ではあまり使われない表現です。聞き手も「とんじ?」と、意味を把握できず困惑するかもしれません。
豚児の例文
うちの豚児がいつもお世話になっております。
自分を下げることで、相手を立てて敬意を示すのが敬語(謙譲語)です。自分自身のことや自分の身内のことを話すときは謙譲語を使います。
へりくだる表現が卑屈な言い方ととらえることもあるかもしれませんが、相手に対する配慮をあらわしたものです。
謙譲語は相手の立場や状況を配慮して、お互いを尊重しあうためのツールと言えます。
息子の敬語(丁寧語)上下関係はあっても日常会話でのケース
息子さん
息子さんの意味
自分にとっての男の子どもを指す「息子」に敬称の「さん」をつけて、「息子さん」です。
息子さんがしっくりくる場面
相手が上司でも、日常会話ではこの表現が一番しっくりくるのではないでしょうか。
「あまり丁寧すぎるのも、不自然かな?」と思うような場面もあると思います。先輩でも上司でも、これくらいの距離感の方が現実的かもしれません。
私も実際に会話の中で使うのは息子さんが多いです。仕事関係でも、ご近所さんでも、どちらの場合も使っています。
ちなみに最近は孫の話がでることもあります。そんなときは「お孫さん」と言っています。もし、名前を聞くことがあったり、直接会ったことがあったりしたら、「〇〇君」と名前で呼ぶようにしています。以前に聞いたことがあれば、名前で呼ぶのも自然なのでおすすめします。
息子さんの注意点
相手や状況によっては丁寧過ぎないほうが、かえってスムーズにコミュニケーションがとれる場合もあります。
あえて、敬語を使わないという判断をするのもその人らしさを表現する一つの方法だと思います。
万が一相手が嫌な様子をしめしたら別の表現を使いましょう。
息子さんの例文
- 息子さんはお元気ですか?
ご長男様、ご次男様
ご長男様、ご次男様の意味
そのままですね。
ご長男様、ご次男様がしっくりくる場面
息子が何人かいる場合はこの表現がわかりやすいでしょう。お客様にも使いやすいですね。
ご長男様、ご次男様の注意点
わが子を指す時も「長男はサッカーをしています」と話せるので、便利ですね。
不快に思う人もいないでしょう。相手にも伝わりやすく話もわかりやすいです。
ご長男様、ご次男様の例文
- ご長男様が今度こちらにいらしゃるそうですね。
相手に敬意をあらわして、丁寧に表現するのが丁寧語です。相手を上にしたり、自分がへりくだったりしません。ふだんの言葉遣いに近いので、一番使いやすいかもしれません。
息子を敬語でなんと言う?上司やお客様に好印象ビジネスマナーのまとめ
・上司やお客様の息子さんに広く使えるのはご子息
・上司やお客様宛の電報や手紙ならご子息(様)やご令息(様)
・ご子息やご令息は自分の子どもには使わない
・自分の息子のことは愚息
・自分の子ども(息子も娘も含む)は豚児とも言うが、最近はあまり使われない
・上司でも日常会話なら息子さんも使える
・上司やお客様の息子さんは「ご長男様、ご次男様」、自分の子どものことなら「長男、次男」
いかがでしたか。世間話の中で息子を敬語で言う機会もあると思います。敬語を使いこなして、相手に好印象をもってもらえるといいですね。