専門店ができる程チーズは人気の食品であり、乳酸菌で健康なイメージもあります。
一口にチーズと言っても、プロセスチーズとナチュラルチーズの2種類があります。
プロセスチーズは体に悪いと噂がありますが、今回はその噂の真偽とチーズの違いを解説します。
チーズに含まれるリン酸塩が体に悪い?
プロセスチーズを作るには、数種類のチーズを混ぜ合わせて作ります。数種類混ぜ合わせるために、乳化剤という添加物を使います。
乳化剤とは、混ざりにくいものを混ざりやすくするために使います。
乳化剤は洗剤などに使用される「界面活性剤」と同じ性質である「合成化学物質」です。
チーズに使われる乳化剤は、「リン酸塩」を指します。リン酸塩は、自然界に存在しない物質です。
リン酸塩と言ってもさまざまな種類があります。
「ピロリン酸塩」「ポリリン酸塩」「メタリン酸塩」等という名称で広く食品に使われているのです。
食肉・魚肉製品や発酵食品、清涼飲料水、お菓子など、食品の多くで利用されています。
またリン酸塩は、食品に対しての添加量が定められていません。そのため、製造会社により使用料や種類が大きく異なるのです。
リン酸には、以下のような効果があります。
保水力・結着力 | 弾力のある歯ごたえにする効果 |
分解防止 | ビタミンCの分解防止、合成着色料の退色・変色を防止する効果 |
乳化 | 乳化性食品を乳化させ、安定化させる効果。 |
酸化防止 | 空気中の酵素によって起こる食品の酸化を抑制する効果 |
膨張剤 | ふっくらと膨らませる働き |
結晶化防止 | 水に溶けにくい物質が結晶化するのを防ぐ効果 |
リン酸とは人間の体内にも多く存在する物質であり、カルシウムの次に多いミネラルです。リン酸のほとんどは、カルシウムと結合して人間の歯や骨を形成します。
しかし過剰に摂取した場合、カルシウムの吸収を妨げることが欠点です。そうすると、骨粗鬆症など骨の疾患を招く原因にもなります。
またカルシウムとリン酸のバランスが崩れると、骨代謝が低下してしまう恐れがあります。成長期の子供にとっては、成長を妨げる原因にもなり得るのです。
またリン酸は腎臓疾患を引き起こす原因にもなります。
リン酸塩の一種である「ポリリン酸」は腎臓中のリン酸濃度とカルシウム濃度を上げるためです。
ただ、実はマグネシウムがこの働きを抑制することもできます。
そのためリン酸塩とマグネシウムを同時に摂取することで、腎臓疾患の予防にも役立つという2面性もあるのです。
人間の体内になくてはならないミネラルですが、リン酸塩はミネラルと結合して体外に排出されてしまいます。
そのためリン酸塩の過剰摂取をすることで、体内のミネラル不足を招く原因となります。
ミネラルが不足すると、生活習慣病の原因になったり、食欲不振やだるさを感じたり、イライラや頭痛などの不調が現れます。
これらの症状に気を付けるためには、リン酸塩の過剰摂取を避けることです。リン酸塩の一日摂取量は、体重(kg)に70mgをかけた数字です。
例えば体重50kgの人の場合、50kg×70mg=3,500mg(3.5g)です。
一方プロセスチーズに含まれるリン酸塩は、100gあたり730mgです。
リン酸塩の過剰摂取には、プロセスチーズを1日に500gを食べなければ到達しません。
これらのことから、リン酸塩は危険ですがプロセスチーズは危険な食べ物とはいえないことが分かります。
チーズに含まれているカラギーナンやセルロースが体に悪い?
リン酸塩以外にも、カラギーナンやセルロースという添加物にも注意が必要です。
カラギーナン
「安定剤」(増粘多糖類)という名称で、原材料表示で一括表示されています。この「一括表示」とは何が入っている明確にしないという意味です。
安定剤(増粘多糖類)は、食品に粘り気を与え、なめらかな食感にする添加物のため使用されています。
カラギーナンは、紅藻類と呼ばれる海藻からとれる成分です。凝固剤や増粘剤として使うため、人工的に抽出して食品に添加しています。
カラギーナンを多く摂取することで、胃潰瘍や発がん性、潰瘍性大腸炎などになる可能性があります。
ただし日本では、日常に摂取する量であれば問題ないとされています。
セルロース
セルロースとは、木材のパルプを精製して作られた可能性がある食品添加物です。チーズ同士をくっつかせないため、及びかさを増す目的で使われています。
ただセルロースはきのこ類や海藻、豆乳に多く含まれている食物繊維でもあります。
この場合のセルロースは消化・吸収されず便から体の外へ排出されるため、比較的安全性が高い添加物です。
もしパルプで精製されたセルロースの場合、危険と見られます。チーズのセルロースは何から作られているか、原材料表記からは分かりません。
しかしセルロースより危険な添加物は数多くあるため、セルロースの危険度以上の添加物入り食品を避けるとほとんど食べられなくなります。
気になる人は、セルロースを避けるためにプロセスチーズよりナチュラルチーズを選ぶことがよさそうです。
プロセスチーズとナチュラルチーズの違いは何?
プロセスチーズが体に悪いという噂の真偽を確かめるためには、まず2種類のチーズの違いを知る必要があります。
ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズとは、牛乳や、ヤギ・水牛などの乳を乳酸菌やレンネットという凝固剤を加えて発酵・熟成させて作ったものです。
時間が経つにつれて乳酸菌が生きたまま発酵・熟成するため、その時々で味が変わります。
また乳酸菌だけでなく、酵素も含まれていることが特徴です。
熟成期間や製法によって種類が分かれ、熟成期間が長いほど水分が抜けるため、固いチーズになります。
ナチュラルチーズの種類は、以下のとおりです。
フレッシュチーズ | マスカルポーネや、モッツァレラなど |
白カビチーズ | カマンベールや、クロミエなど |
ウォッシュチーズ | エポワスや、ショームなど |
シェーブルチーズ | クロタン・ド・シャヴィニョルや、バランセなど |
青カビチーズ | ゴルゴンゾーラや、カンボゾラなど |
セミハードチーズ | ゴーダや、チェダーなど |
ナチュラルチーズの原材料は生乳と食塩だけが基本です。食品添加物も極力使用していないので、安全で健康に良いチーズといえます。
ナチュラルチーズは乳酸菌以外に、タンパク質やミネラルが豊富です。
チーズの種類によって含まれる栄養は異なりますが、ミネラルの中では、カルシウムが特に多く含まれています。
プロセスチーズ
プロセスチーズはナチュラルチーズを1種類または複数種類を高温で加熱殺菌して溶かし、型に入れて再び固めて作るチーズです。
加熱殺菌をするため、乳酸菌や酵素は含まれていません。
しかし殺菌処理をするため、カビが生えにくくなります。また時間が経っても熟成しないため、安定した味です。
ナチュラルチーズよりも賞味期限が長いため、長期保存が可能です。
日本で作られているプロセスチーズは、クセが少ないゴーダチーズやチェダーチーズを原料にしていることが多いです。スライスチーズや6Pチーズに加工されます。
プロセスチーズは体に悪いって本当!?のまとめ
いかがでしょうか。
プロセスチーズが体に悪いのか、添加物の観点から調べてみました。
- プロセスチーズはナチュラルチーズに比べると危険
- リン酸塩やカラギーナン、セルロースなどの添加物がプロセスチーズに入っている
- 添加物の過剰摂取を避ければ、問題ない
添加物は過剰摂取をすると危険ですが、一般的な量を食べるだけならば体に害はなさそうです。
持病を持っていたり妊娠していたり、いつもの健康状態では避けた方が無難そうですね。
また気になる人は、成分表をチェックしナチュラルチーズを選ぶのが良いでしょう。