ジャムやジュースなどの加工品で目にすることが多いラフランス。
近頃はスーパーの青果コーナーで見かけるようになりましたね。
ラフランスは名前のとおり、フランスが生産地であるイメージが強いと思いますが、
実は、日本でしか生産されていないことは皆さんご存じですか?
しかし、他の果物よりもあまり馴染みのないラフランスは、生では食べたことないという人は多いと思います。
本記事では、生産地ランキングや日本でラフランスが広がった理由、おいしいラフランスの選び方や保存の方法、食べ方等もご紹介します。
ラフランスの生産地は日本が世界一だった⁉
ラフランスは現在、日本でのみ生産されています。
しかも、ラフランスは原産国のフランスで絶滅していますので日本が世界一で唯一のラフランス生産国なのです。
生産量と併せて理由も後ほどご紹介します。
ラフランスとは?
ラフランスは1864年、フランスのクロード・ブランシェ氏が発見した西洋梨の一種です。
原産国もフランスです。
日本国内には1903年に、缶詰用に栽培されていたイギリス原産のバートレットを受粉させるために持ち込まれました。
当時は栽培に手間がかかること、見た目が良くないことが原因で食用としては広がりませんでした。
注目を浴びるようになったのは昭和60年代になってから。
果物の生食への需要が高まったことで、注目され始めました。
現在では数ある洋ナシの中でも代表的な品種にまでなりました。
ラフランスの旬
10月上旬から下旬に収穫されて、数週間追熟させてから出荷されます。
出荷は10月中旬ごろから12月にかけて行われます。
見た目と味の特徴
ラフランスの見た目はいびつな形でごつごつしています。
1つ1つ形も異なり、見た目の印象は良いとは言い切れませんね。
よく熟したラフランスは舌ざわりが滑らかで香りもよく、味は甘味だけでなくほんのりと酸味もあります。
ラフランスの生産地は?
西洋梨全体の数字ではありますが、農林水産省による統計調査で令和2年度の収穫量の都道府県順位が出ていましたのでご紹介します。
ラフランスの収穫量ランキング
山形県:19,100t
新潟県:1,990t
青森県:1,720t
長野県:1,510t
北海道:866t
1位はぶっちぎりで山形県。
なんと全体の69%を占めています。
山形県と言えばサクランボのイメージが強いですが、同時に西洋梨王国でもあったのです。
2位以降もいずれも寒い地方で生産されていますね。
寒冷な土地で栽培されるラフランス
これは湿度があり、気温も低い土地を好むラフランスの性質があるためです。
山形県は山に囲まれており、台風などの災害による被害が遭いにくい土地であることや寒暖差が激しい土地です。
この気候と土地の特徴が栽培が難しいとされるラフランスの性質と相性が良かったため、西洋梨王国となったのです。
原産地フランスでラフランスが絶滅してしまった理由
気候や土地柄と相性が良かった山形県では安定した品質と量を生産が可能なほどにまで発達しましたが、原産国のフランスでは絶滅してしまいました。
なぜフランスでは絶滅してしまったのでしょうか。
理由は『栽培にかかる手間』にありました。
栽培に手間暇がかかるラフランス
ラフランスは栽培にかなりの手間がかかります。
花が咲き実をつけるまで時間がかかる上に品質を保つために適度に間引く必要があるので、実際に収穫できるのはごく一部だけ。
さらに、害虫の被害や雨が原因の病にかかりやすく非常にデリケートなんです。
確かに、手間のかかる作物の栽培は大量生産が難しく割に合わないと止めてしまうのも頷けます。
以上の要因で1900年代初頭フランスでは絶滅してしまいました…。
日本に持ち込まれたのは1903年なので、その頃には既に絶滅の一歩手前だったということになります。
山形県からフランスへ苗木が寄贈されるも…
その後、栽培方法や追熟の研究が重ねられて、山形県でラフランスの安定した生産と出荷ができるようになりました。
1991年には山形県のJAがフランスに苗木を贈っています。
一度は途切れてしまったものの88年の時を経てフランスで復活してめでたしめでたしと思いきや…。
なんとその苗木も全滅してしまいました。
フランスでまさかの2度も絶滅していたラフランス。
それほどに手間暇がかかるフルーツだということなのでしょう。
もし、日本に持ち込まれていなかったら幻の果実になっていたかもしれませんね。
おいしいラフランスの選び方と食べごろ
食べるなら、おいしいものを選びたいし、食べごろも知りたいですよね。
ラフランスは見極めが難しいといわれていますので判断するポイントを紹介します。
おいしいラフランスの選び方
ずっしりと重く丸みのあるものがオススメです。
色や多少の形の悪さは関係ありません。
食べごろは色ではなく軸の周りと香りをチェック
見極めが難しいといわれている理由は、色の変化がないことにあります。
軸の周りがシワシワになって触るとほんのり柔らかくなったら食べごろの合図です。
香りが強くなるのも食べごろの合図の一つです。
ラフランスの保存方法
あまりなじみのないラフランスはどのように保存すれば良いのでしょうか。
ラフランスは完熟でないと、ガリガリして特有の滑らかさや甘味も感じられませんのでしっかり完熟にさせてから食べましょう。
食べごろを早めたい時
キッチンぺーパーや新聞紙でくるみビニール袋に入れて常温で保存します。
さらに早めたい時はエチレンガスを出すリンゴを一緒に入れてみましょう。
リンゴを入れると急速に追熟が進むので適度に確認してください。
食べごろを遅くしたい時
乾燥や結露予防でキッチンペーパーや新聞紙にくるみ、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
ラフランスの食べ方
ラフランスもリンゴのように皮をむき、くし切りにして食べます。
しかし、「果肉が柔らかくて折角のラフランスがぐちゃぐちゃになってしまった」「手がベタベタするのはちょっと…」という方のための食べ方を紹介している動画がありました。
https://www.youtube.com/watch?v=1DJNYLjQi4c&t=16s
縦に切ったら、芯をくりぬいて掬って食べるというシンプルな方法です。
芯が驚くほど簡単にくりぬけてしまうのには驚きました。
果肉を掬っている所を見ると抵抗感もなくスルッと掬えていて、完熟のラフランスな果肉がいかに柔らかいかがよく分かりますね。
手が汚れないだけでなく、果汁まで余すことなく食べられるのもメリットだと思いました。
フランスの生産地は日本が世界一⁉おいしく食べるための方法も解説のまとめ
ラフランスは現在日本のみで生産されている
日本国内では山形県が1位で、全体の約7割を占める
栽培に手間がかかり原産国のフランスでは2度絶滅
買う時はずっしり重く丸みのあるものを選ぶ
香りが出てきたり軸に皺があり周りが柔らかくなれば食べごろ
保存はキッチンペーパーなどでくるんでビニール袋に入れる。完熟を早めたい時は常温、遅くしたい時は冷蔵庫の野菜室で保存
縦に切りスプーンで掬って食べれば、手も汚さず果汁も余さず食べられる。
原産国では絶滅してしまうほどに手間のかかるラフランス。
全国のスーパーで並ぶほどまでに市場を大きくできたのは、長きにわたり農家さんや行政が並々ならぬ努力をしてきたからです。
『果物の女王』と言われるほどのおいしさがあるなら食べないのはもったいないと思いませんか?
もちろん柿や和梨も美味しいですが、新たな秋の定番としてラフランスもこの際にいかがでしょうか。
是非食べてみてください。