パン屋さんやカフェで時々見かけるライ麦パン。ライ麦といえば、全粒粉やオーツ麦などと並んでヘルシーなイメージがありますよね。
これをご覧になっている方の中にはよく食べる、またはその存在が気になっているという方も多いのではないでしょうか。
パンにすると小麦のパンと比べてずっしりした質感と独特の酸味を持ち、チーズやハムなどとの相性の良さからも人気です。
最近は健康志向の高まりから、グルテンを含まない「グルテンフリー」のパンやパスタが注目されていますが
ライ麦にはグルテンは含まれているのでしょうか?ライ麦とグルテンの関係やサワー種のレシピについて、詳しく解説します!
ライ麦とグルテンとは?
ライ麦ってどんなもの?
ライ麦は寒冷地でも育つ強い穀物として、古くからヨーロッパなどで栽培されてきました。
なんとなく健康によさそう・・・というイメージですが、ライ麦には食物繊維やビタミンB群が豊富で、むくみ防止になるカリウムも多く含まれています。
さらに低カロリーでGI値が低く(=血糖値の上昇が緩やかである)、腹持ちも良いことからダイエットにも嬉しい食材なんです。
パンにすると小麦粉で作ったときのふわふわした食感と違い、重量感と粘り気のある食感になるのが特徴です。
ドイツパンなどハード系のパンによく使用され、その食べ応えや酸味から濃いめの味の料理にもとてもよく合います。
グルテンって何?
グルテンとは、穀物から生成されるたんぱく質の一種です。
穀物そのものにグルテンが含まれているわけではなく、穀物に含まれるグルテニンとグリアジンという2つの成分が水と合わさって初めてグルテンになります。
グルテニンは弾力、グリアジンは粘り気を生むのが特徴。この特徴のおかげで、ふわふわのパンやコシのあるうどんができるというわけなのです。
最近では多くの著名人がグルテンフリーを実践していることもあり、グルテンの健康への影響が注目されています。
健康への影響についてはいろいろな説がありますが、肥満や中毒性だけでなく消化しづらいことによる胃腸への負担や、様々な不調を引き起こすことがあるとも言われています。
実際にグルテンに過敏な体質の人はごく一部と考えられていますが、テニスプレイヤーのジョコビッチ選手は食事をグルテンフリーにしたところ、
慢性的な体調不良が解消されただけでなく減量や思考がクリアになるなどの効果があったと語っています。
私も長年の頭痛持ちですが、原因不明の体調不良を抱えている人もきっと多いはず。
これを聞くとちょっと試してみたい気がしますよね。
ライ麦はグルテンフリー?
ライ麦はグルテンフリーではない!
では、健康的なイメージのライ麦にはグルテンのもとになる成分は含まれていないのでしょうか。実は「含まれている」んです。
ただし、先に挙げたグルテニンとグリアジンのうち、粘り気が特徴であるグリアジンに似た成分(セカリン)だけが含まれています。
そのためグルテンを多く含む小麦粉と比較すると、含有量は格段に少ないと言えます。
グリアジンと言えば粘り気が特徴の成分なので、ライ麦パンにはあの独特の粘りが生まれるんです。
ちなみに、穀物の中でグルテンのもとになる成分がまったく含まれていないものにはオーツ麦、ハト麦などがあります。
最近は米粉パンも人気ですが、こちらも完全なグルテンフリーと言えますよ。
ライ麦はグルテン形成ができる?
グルテニンとグリアジンを水とこねることでグルテンは形成できますが、セカリンしか含まないライ麦は基本的にはグルテン形成することはできないとされています。
ただ、厳密に言うとグリアジンに似たセカリンが存在するため微量のグルテンは存在すると言われています。
ただし、通常のグルテンほどの粘りや弾力はありません。
グルテンに対してアレルギーがある方は、ライ麦を摂取する際には注意してくださいね。
ちなみにライ麦パンを作る場合、ライ麦だけではグルテン形成ができずパンが膨らまないため、ライ麦粉と強力粉などを合わせて作られることが一般的です。
購入したものは成分表示などをよく見てみましょう。どちらにしても全くのグルテンフリーのライ麦パンはほぼ作れないと言っていいわけですね。
ライ麦のグルテンを補う!サワー種のレシピ
ライ麦とグルテンの関係を見てきましたが、グリアジンに似た成分しか持たないライ麦だけでは、おいしいパンは作れないのでしょうか?
実は、ライ麦粉から作られるサワー種と呼ばれる発酵種を使用することで、ライ麦100%のパンを作ることが可能です。
サワー種とは、ライ麦粉と水を合わせてつくる発酵種です。
ライ麦はほとんどグルテン形成できないため、強力粉で作るときのように生地が膨らみません。それをサワー種で補って膨らませてあげるのです。
サワー種の酵母菌は乳酸菌が主体となるため、あのライ麦パン特有の酸味が生まれます。サワー種づくりは5日間かかりますが、作業自体は単純ですよ。
<1日目>
ライ麦粉と水を1:1の割合で混ぜ、清潔な容器に入れます。
このとき、温度を26度に保つことが重要になります。
<2日目>
底の方から10分の1ほど取り出し別の容器に移します。
そこへ1日目と同じ分量のライ麦粉と水を再び合わせ、同じ条件(26度)で置きます。
1日目の残りの分は、もったいないですがここで廃棄です。
<3日目~4日目>
2日目と同じ作業を繰り返します。
<5日目>
これでサワー種の初種の完成です。冷蔵庫で2~3日保存可能です。
この種を使えばなかなか販売されていないライ麦100%のライ麦パンを作ることも可能です。
また、強力粉とブレンドしたりお好みで具材を混ぜ込んだりといったアレンジもできますので、ぜひ挑戦してみてください。
ライ麦はグルテンフリー?グルテン形成できる?サワー種レシピも!のまとめ
健康的なイメージのあるライ麦ですが、実はまったくのグルテンフリーというわけではありません。
グルテンはグルテニンとグリアジンが水と合わさって生成されますが、ライ麦はグリアジンと似た成分を持つため厳密には微量のグルテンが存在します。
そのため、アレルギーがある方などは注意が必要です。
もっとも、まったくのグルテンフリーではないと言っても小麦粉などより含有量は少ないですし、グルテンフリーで人気の米粉パンに比べても低糖質です。
なんと言っても、食物繊維やGI値などに注目するとライ麦はとっても健康的でダイエットにも適した優秀な食材です。
ライ麦100%のパンというのはなかなか店頭では見かけませんが、せっかくのおうち時間、サワー種から手作りしてみるのはいかがでしょうか。