釣りに行った際、せっかく釣り上げた魚を美味しくいただくためには、鮮度を保つことがとても重要です。
死んでしまった魚はすぐに生臭くなってしまうため、その場で捌いて調理したり、血抜きをして持ち帰る釣り人も居るでしょう。
そんな時、魚の骨などの食べられない部位の処理は地味に困りますよね。
「そのまま海に投げておけば、他の魚や微生物が分解してくれるだろう」ぽーい、とやってしまったら、それはもう立派な犯罪です!
場合によっては海上保安部に取り締まられてしまう場合もあるので、「昔は皆やってたよ」なんて思わずに、ぜひこの記事を読んでみてください。
ここでは魚の処理に関する海のマナーや法律についてご紹介していきます。
魚の骨を海に捨てるのは不法投棄です!
先ほど魚の骨を海に捨てるのは立派な犯罪です! と言いましたが、正確には「不法投棄」にあたります。
空き缶やたばこの吸い殻を捨てているわけではなくて、海で捕れたものを海に還しているだけなのに……と思われるでしょうが、まずはこちらの引用をご覧ください。
さばいた魚の骨を海に捨てる…2等海上保安士を書類送検「部屋が臭くなると思った」(中略)
発表では、2等海上保安士は4月17日午後8時20分頃、徳島県美波町奥河内にある岸壁で、一般廃棄物(可燃ごみ)である魚の骨など約550グラムを奥潟川河口の海中に捨てた疑い。同日、現場近くにある自宅で魚をさばき、出たごみを捨てに訪れたという。
引用 読売新聞オンライン
この方は自宅で調理した後の魚の骨を海まで持っていって捨てたようですね。
550gと言えばバナナひと房分くらいの量なので、大した量ではないだろうと思われるかもしれません。
でも魚の骨は「一般廃棄物(可燃ごみ)」に当たりますので、野菜や肉などの生ごみや、たばこの吸い殻などの紙くず、プラスチックやビニール製品を捨てるのと同じ扱いになります。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第5条4項には下記のような記述があります。
何人も、公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。
引用 e-GOV 法令検索
先ほどの引用のように、魚の骨を海に捨てる場合は「港湾」を汚してしまったという事になりますね。
また、不法投棄の罰則は5年以下の懲役または1000万円以下の罰金となります。
港のような場所であれば普段から海上保安員が見回りをしている場合もありますので、運悪く見つかってしまえば逮捕されることもあるでしょう。
実際に海上保安部へ確認した方が「ほとんどの場合は注意で済む」と聞いたという声もあります。
各自治体や担当員によっては逮捕され罰則を受けることにもなりますので、100%注意で済む! と言うわけではありませんよ!
日頃から魚の骨などを海に捨てるのではなく持ち帰るように意識しましょう。
魚の骨だけじゃない、内臓も撒き餌も処理に注意が必要!
魚の内臓を海に捨ててはいけない理由
先ほどは魚の骨を捨てることに付いて触れていましたが、内臓なども勿論不法投棄にあたります。
骨はあまり餌になるものでもないし自然に分解されにくそうだけど、いわゆるアラと呼ばれる可食部の残りや内臓なら、鳥や魚の餌にもなりますよね。
魚を捌いたあとのアラを細かく刻むと撒き餌として使う事もできますし、撒き餌を撒くのは良くて内臓を捨てるのはいけないってどういうこと? と思われるかもしれませんが、地域によっては撒き餌も禁止している場合があります。
都道府県によって陸での撒き餌釣りを禁止していたり、船での撒き餌釣りを禁止していたりと細かなルールがありますので、釣りの前に各都道府県の「漁業調整規則」を確認しておくことをおすすめします。
こちらの記事も魚の内臓を海に捨てたことで書類送検された例です。
「生ごみの処理が面倒」 魚の頭部や内臓を海に捨てた疑い 男性4人を書類送検 宮古島海上保安部
(中略)
4人の送検容疑は9月6日と10月9日、市内の狩俣漁港や久松漁港で魚の頭部や内臓を海に捨てた疑い。4人はそれぞれ、漁師から買ったり自ら釣ったりした魚を漁港内でさばいて自宅に持ち帰った。1人は、13匹分のあらを海に捨てていたという。同保安部は「きれいな島の海を守るためにも、不要となった魚のあらを海に捨てるのはやめてほしい」と呼びかけている。
引用 沖縄タイムス
魚の死骸は確かに他の魚や微生物の餌になりますが、それによって微生物が増えすぎたり、血の匂いに引き寄せられたサメやウツボなどの肉食の魚が浅瀬に現れる原因になります。
また個人で捨てる量は業者が廃棄するほどの量ではないと思われるかもしれませんが、何人もの釣り人が毎日魚の骨や内臓を海に捨てていると、底に溜まった内臓などが腐って悪臭を放ち、水を汚す原因にもなります。
きれいな海を守るために、不要となった魚のアラを海に捨てるのはやめましょうね。
撒き餌が禁止される理由
先ほど説明した通り、撒き餌が禁止されている都道府県がありますので釣りに行く前に各都道府県の「漁業調整規則」を確認しておきましょう。
ではなぜ撒き餌が禁止されているのかと言うと、内臓を捨てる場合と同じく「水質を汚してしまう」というものと「陸地を汚してしまう」という理由があります。
撒き餌を撒くときに、足元に散らばったものをそのままにして帰る釣り人も居るでしょう。
そういった場合に汚れた港湾を掃除してくれるのは、地元の漁師さんなどです!
他人の負担を増やしてしまうのではなく、撒き餌をこぼしてしまった場合は、帰る前にバケツでざっと流しておきましょうね。
また、余った撒き餌は他の釣り人にあげると喜んでもらえますよ。
魚のアラや内臓はどう処理すればいい?
釣りあげた魚をその場で捌き、残ったアラは浮きを浮かべて撒き餌に使っているふりをすれば不法投棄とはみなされない場合もある……なんて噂がありますが、どうせなら後ろめたいことはやめましょう。
アラはそのまま捨ててしまうのではなく、出汁をとったり煮物にしたりすることで美味しくいただくことができます。
下処理が必要ですが、骨が付いているので旨味も多く栄養も豊富な部位なので、捨てるのはもったいないですよね。
興味のある方は、アラを使ったレシピはたくさんありますので、色々と調べてみてください。
下記のサイトでは魚のアラの下処理の方法と調理についてまとめられていますよ。
内臓を処理する場合は匂いが気になりますよね。
先の海上保安士も「部屋が生臭くなると思った」と説明していましたが、内臓は冷凍しておくことで匂いや腐敗を抑えることができます。
新聞紙にくるんで2~3重にしたビニール袋に入れ、ごみの日までは冷凍庫で保管しましょう。
捨てる前に冷凍庫から出せば、でろでろにならず匂いも気になりませんね。
ただし捨てた後にも回収業者やごみ捨て場を汚して迷惑をかけてしまわないよう、袋から血や汁が漏れ出さないように注意してください。
魚の骨や死んだ魚を捨てないで! ルールを守って綺麗な釣り場に
私が子供のころに尾道に暮らす祖父母の家へ行くと、海辺へ散歩に行くのが好きでした。
波止場をうろついていると、たまにヒトデや魚の干からびたものが落ちていて、波打ち際にはイカの頭の骨が浮かんでいる。
当時は何故そんな所に魚が干からびているのか分からず、物珍しさでわくわくしていました。
フグやゴンズイなどの毒のある魚や、小さい魚、エサ取りと呼ばれる魚など目的の魚ではない「外道」と呼ばれる魚を陸に捨てることで、もう一度餌にかからないようにする釣り人がいます。
死んだ魚を陸上に放置することで検挙されたニュースはあまり表立っては無いようですが、こちらも立派な犯罪です。
「軽犯罪法」第1条27項に下記のような記述があります。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
(中略)
二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
引用 e-GOV 法令検索
鳥獣とありますが、魚も尊い命を持った生き物です。
実際に検挙された例が少なくとも、そういったことをする釣り人を快く思わない人が多いのもまた事実です。
外道が釣れた場合は面倒がらずに海に還してあげましょう。
リリースする時の注意点として、まずは出来るだけ魚を傷つけないように、水から上げずに針を外してあげます。
魚に触れる場合、人間の体温は魚には熱すぎるので、魚に触れる前に手を水につけて冷やしてから触ってください。
また、「魚を傷つける気はなかったけれど死んでしまった」と言う場合にも、死んだ魚を海に捨てるのは不法投棄となります。
魚は針にかかった時点で傷つき弱ってしまいますので、たくさん釣れるからと言って食べきれない量を必要以上に釣らないようにしましょう。
死んだ魚や死にそうな魚は早めにクーラーボックスへ移して家に持ち帰り、食べるか可燃ごみとして処分してください。
魚の骨を海に捨てるのは違法です! 知っておきたい釣り場のマナー まとめ
この記事では、魚の処理に関する海のルールや法律について紹介してきました。
釣りをする際に気を付けたいルールを下記にまとめてみましたので、ご参考にしてください。
皆さんもルールを守って釣りを楽しみましょう!
ポイント
- 漁業調整規則など釣り場のルールを確認しておく
- 魚の骨や内臓を海に捨てない
- 食べきれない数の魚は釣らずにリリースする
- 外道であっても道端に捨てずに海に還してあげる
- 釣り場は綺麗にしてから帰る