某番組や、漫画で、「サーモンには寄生虫がいるから生食には向いていない」と紹介され、お刺身で食べることを控えるブームが一時期ありました。
スーパーの魚売り場でも「たまに寄生虫がいることがあります。よく見てから調理してください」と注意喚起していることがありますよね。
こんな風に考えると大好きなサーモンでも買うのが面倒になるかもしれませんね。
でも、安心してください!
寄生虫がいるのは「鮭」の方で、スーパーなどで売られている「生食用サーモン」は寄生虫はいないんです。
サーモンと鮭はもちろん同じ魚ですが、「サーモン」「鮭」と書き方で区別化されているのは理由があります。
サーモンと鮭の違いや、生食用サーモンに寄生虫はいないのか、徹底解説します!
サーモンと生鮭の違いは?寄生虫がいるのは「加熱用の生鮭」!
サーモンと鮭は同じ魚なのにスーパーなどでは「サーモン」「生鮭」と分けて記載されていることが多いですよね?
名前について、その違いを説明します。カンタンにいうと、
サーモンとは「養殖の鮭」生鮭は「天然の鮭」
育て方の違いなだけなんです。
どうして育て方の違いで寄生虫の心配がなくなるのでしょうか?
それは食べるエサの種類によるからです。
生鮭が食べるのは「オキアミ」という小さなエビのような生き物です。
オキアミは海に生息している生き物で、サーモンやサバなどのエサになる生物です。
オキアミがプランクトンなどの生物を食べるときに、一緒に寄生虫を食べてしまい、オキアミに寄生虫が感染してしまう流れが。
このオキアミに寄生虫が感染したままだと、このオキアミを食べたサーモンに寄生虫が感染してしまいます。
更にそのサーモンを食べた人間に寄生虫が感染してしまうことに!
加熱により寄生虫の感染は予防できるので、生鮭には「加熱用」など、熱を通すように注意書きがありますね。
生食用サーモンのエサは「ドライペレット」という人口のエサを食べています。
半生や固形の形をしていて、養殖する魚が大きく元気に育つように調整されているエサです。
成分に魚粉・魚油・大豆油かすなどが使われています。
人工的に作ったドライペレットには寄生虫がはいりこむ心配はないので、、サーモンが感染する心配はありません。
同じ魚でも、養殖と天然で名前が変わるのはおもしろいですね。
サーモンにいる寄生虫に感染した時の症状
天然のサーモンにいる寄生虫はアニサキス、サナダムシが代表的です。
これらの寄生虫に感染してしまったとき、どのような症状がおこるのでしょうか?
アニサキスに感染した場合
アニサキスは天然のサーモン(生鮭)だけでなく、サバ、サンマ、アジ、カツオ、イカなど、一般的によく食卓に上がる魚に感染しています。
アニサキスをがいる魚を食べてしまうと、大体は以下の症状がおこります
①食後数時間~十数時間でお腹の上の方の激しい腹痛、吐き気、嘔吐
②十数時間~数日で、お腹の下の方に強い痛み
アニサキスに感染しての死亡例は日本にはないそうですが、怖いですね…。
アニサキスに感染したときの治療法は?
アニサキスを退治する飲み薬などはありません。内視鏡で直接胃の粘膜にいるアニサキスの幼虫をとります。
腹痛や下痢がひどいときは、その症状を止めるための対症療法の薬を使うことがあります。
生のサーモンを食べてから、1日以内に激しい腹痛・下痢がおきたらまずは消化器内科を受診しましょう。
サナダムシ
サナダムシは天然のサーモン(生鮭)サバ、サンマ、アジ、カツオ、イカなど一般的によく食卓に上がる魚から見つかります。
感染した場合、ほとんどが無自覚である場合が多いですが、以下の症状がみられます。
・吐き気
・腹痛
・下痢
・体重減少
・肛門の違和感
サナダムシは腹痛や吐き気があまり起きないので、多くは気づかずに過ごすことが多く、見つかりにくいのが特徴です。
肛門から細長い糸のようなものがでて見つかった!というのが最も見つかるパターンです。
想像するとすごく嫌な見つかり方ですね…。
サナダムシに感染した時の治療法は?
サナダムシを退治するための飲み薬を使います。
この薬は卵からかえった成虫を退治することはできますが、卵の状態のサナダムシは退治することはできません。
トイレが終わった後に手に卵が付いたままだと再び感染してしまうかも…手洗いはしっかりと!
サナダムシを見つけた場合は消化器内科を受診しましょう。
冷凍したサーモンにも寄生虫はいるの?
アニサキスやサナダムシは-20℃以下で24時間以上冷凍すると死んでしまうので、冷凍したサーモンからの寄生虫の感染は心配ありません。
スーパーなどで売っている「解凍」と記載されている生食サーモンはどうでしょう?
「解凍」と記載されているサーモンは-20℃以下で24時間以上冷凍された後にお店に並ぶので、寄生虫の感染の心配はありません。
ただし、川釣りや海釣りでサーモンを釣ってそのまま食べる場合は要注意!
新鮮のまま早く食べたいですが、寄生虫の感染を防ぐために冷凍するか加熱するかの処理が必要ですね。
サーモンにいる寄生虫に感染しないための調理法
養殖のサーモンや冷凍したサーモンは寄生虫に感染する心配は、まずありません。
加熱調理するするときはどのくらいの時間調理すればいいの?
万が一を考えてお刺身でも寄生虫に感染しない調理法や食べ方を知りたい!
このように考える方のために、寄生虫に感染しない調理法と食べ方をご説明します!
加熱調理の場合
サーモンにいる寄生虫は加熱調理で死滅します。
目安は70℃以上、または60℃以上で1分以上です。
サーモンを70℃まで加熱すると寄生虫はすぐに死滅します。60℃なら1分以上加熱が目安です。
ここで注意事項!
低温調理機で加熱調理したサーモンは加熱の温度が足りない場合があります!
低温調理機は50~60℃程度で4~8時間加熱する調理法です。
60℃以上に達していれば問題ないのですが、50℃台では何時間加熱しても寄生虫が死滅しない可能性があるのです。
しっとりと、素材のうま味が凝縮される低温調理機ですが、使いたい方は「加熱用」と書かれているサーモンを使用しましょう。
電子レンジの場合
電子レンジ調理でも寄生虫は退治できます。
およそ15秒以上の加熱で死滅するそうです。
ただし、注意事項が一つ!
サーモンの表面に塩や醤油などの塩分濃度が高い調味料が多めについていると、「温度ムラ」が起きてしまう場合があります。
電子レンジの電磁波が当たりにくいところは温度が当たりきらず、万が一ですが寄生虫が残ってしまうかも‥。
サーモンの中までしっかり火を通すことが寄生虫予防のになるので、安心を買いたい方はコンロ調理が良さそうですね。
冷凍した場合
サーモンにいる寄生虫が死滅する冷凍温度の目安は-20℃で24時間以上です。
熱さには弱い寄生虫ですが、冷たさにはけっこう丈夫ですね。
家庭で使われる冷凍庫の温度は-18℃以下と法律で定められていますが、-20℃以下の状態が24時間以上続くかというと、難しいようです。
まず、冷凍庫の開け閉めで一時的に温度があがってしまう可能性が一つ。
家庭用冷凍後では最初から-20℃に達していない可能性も考えられます。
家庭用冷凍庫で24時間以上凍らせたから安心!とは残念ながらなりません。
スーパーなどで売られている解凍したサーモンは、業務用の冷凍庫で24時間以上保管されているので安全です。
ちなみに、業務用冷凍庫は−30℃〜−60℃です。
生のサーモンを食べたいならば「生食用」または「解凍」と書かれているサーモンを食べましょう。
スーパーなどで購入したサーモンを一時的に冷凍保管するのは問題ありません。
「加熱用」と書かれているサーモンは解凍後に加熱調理を、「生食用」と書かれているサーモンは解凍後にお刺身で食べることができます。
調味料に漬ける
ポン酢やめんつゆ、お醤油で生のサーモンを「漬け」にした場合はどうでしょう?
残念ながら、調味料で漬けても寄生虫を退治することはできません。
厚生労働省の、アニサキスによる食中毒予防HPには「 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。」と書かれています。
「漬け」にすると刺身の鮮度が保たれますが、寄生虫の感染予防を考えると適切な処理ではありません。
輸送技術や冷蔵技術が発達していないっ時代に、に少しでも食材が長く持つように考えられた調理法なので、生食用のお刺身の鮮度を少し伸ばす、位に考えた方がよさそうですね。
ちなみに、お刺身を「漬け」で調理すると、未開封の状態から2~3日程度は持つようです。
生のままの刺身は1日未満しか鮮度が持たないので、余ったら漬けにして保存することがおすすめです!
すぐに内臓を取り出す
サーモンにいる寄生虫は内臓にたくさん生息しています。
時間がたって内臓の鮮度が落ちてしまうと、寄生虫は筋肉(魚の身)の方に移動するので、
一匹まるごと購入したらすぐに内臓を取りのぞくことを徹底しましょう。
新鮮なままなら「内臓も生で食べられる」こともよく聞きますが、サーモンに関しては寄生虫の感染予防を考える、と食べない方がよさそうですね。
薄くスライスして切る
サーモンを薄くスライスして、物理的に寄生虫を切る方法があります。
実は、サーモンにいる寄生虫は少しでも傷がつくと死滅してしまいます。
薄くスライスして楽しむ食べ方のレシピを、以下ご紹介します。
どれもおいしそうですね!いろいろなアレンジの食べ方を試してみてください。
サーモンにいる寄生虫とは?安全な調理法・食べ方を徹底解説!のまとめ
・「生食用」「解凍」と書かれているサーモンは寄生虫がいる可能性が低いため、生のままで安全に食べられる。
・天然のサーモンは寄生虫がいる可能性が高い。しっかりと中まで火を通す加熱調理が安心。
・家庭用冷凍庫で凍らせる、醬油や酢などの調味料で漬ける方法は寄生虫感染の予防法としてすすめられない。
いかがでしたか?
スーパーなどで売っている、安全に食べられるサーモンの種類から調理法までご紹介しました。
どれか一つでもみなさんの役に立つ情報があったら嬉しいです!