正座ができない若者が増えてきている、と耳にしたことはありませんか?
椅子の生活が主流となった現代。若者に限らず、正座をする機会というのは減ってきていると思います。
正座ができない若者はどのくらいいる?できない原因とは?
少し前のデータとなりますが、大学生の男女388人に正座ができるかどうか調査したアンケート結果があります。
「正座ができますか?」という質問に対しての回答
「はい」351人 (90.5%)
「いいえ」37人 (9.5%)
このアンケートで「いいえ」と答えた学生の理由として、脚がしびれることや、他の座り方の方が楽だから、という意見が見られました。
若者である大学生たちは、「正座ができない」というより、積極的に正座をしたくないという理由が強そうです。
習慣的にする機会がなく、できなくなった若者も。
もちろん、中には膝を曲げることができない、といった体の構造や痛みの理由で正座ができない、と訴える若者も存在しています。
「はい」と答えた若者は、子供の頃から普通に正座をしていたからできる、できるのが普通と考える人が多く存在していました。
正座ができない理由として、膝が悪い、足首が硬いなどが指摘され、体の面からアプローチして対処法を探す場合が多く見られます。
ですが、正座ができない若者が増えてきている原因には、体の硬さだけでなく、現在の習慣というのも大きく関わっているはずです。
【正座ができない原因①】筋肉が硬くてできない
人間の体は筋肉の伸び縮みで動かすことができます。
正座をする場合は、膝の前の筋肉を伸ばし、逆に膝の裏の筋肉を縮めています。
筋肉が過度に硬くなっていると、伸び縮みが上手くいかず、正座ができないことに繋がります。
筋肉をマッサージしたり、ストレッチをすることでできるようになります。
筋膜とは、全身の筋肉を一本一本包んでいる膜のこと。全身を覆うスーツのように体全体に張り巡らされています。
全身を繋がる筋膜ですので、膝周りが硬いという訳ではなく、どこかの筋膜が硬いとできない原因になることがあります。
実際に、膝に痛みを抱え正座ができないと言っていた方の中には、ふくらはぎや太ももの筋膜が硬い方がいました。
一見膝に関係ない、ふくらはぎや太ももの筋膜をほぐすとできるようになった事例があります。
【正座ができない原因②】関節が変形してしまいできない
正座ができない人の中でも一割程と言われる原因です。
膝の関節の隙間が狭くなってしまうことで、痛みを引き起こします。
変形性膝関節症という症状で呼ばれます。
【正座ができない原因③】正座をする習慣が無くなりできない
正座ができない原因である筋肉や筋膜の硬さは、筋肉が比較的柔らかい若者の主な原因としては考えにくいのではないでしょうか。
住宅も和室付きの一軒家から、マンションが増える傾向にあり、フローリングしかない家が増えるなど、正座をする習慣がそもそも減っています。
正座ができない若者が増えた原因である【習慣】はどのくらい減ったのか
そもそも正座をする習慣が定着したのは、100年程前と言われています。日本が明治時代に入ってからです。
それまでは、庶民が位の高い人の前だけで行う、限られた座り方でした。
正座をする習慣が定着した背景には、畳が誰でも使用できるようになったのが大きいと言われています。
畳でない板張りの床での暮らしでは、正座をする習慣がが定着することが無かったのです。
他にも、脚の神経障害を引き起こした脚気という病気にかかる人が減り、正座が可能になったというのも要因です。
ちょうどこの時期、外国文化と比べて日本文化を強調するためにも、正座を正しい座り方とした教育が始まりました。
このように時代により習慣は変化してきたのです。
椅子に座る生活に変化し畳に座る習慣が減った
家具が洋風化したというのは畳が減った原因の一つです。リビングには椅子とテーブルが主流になりました。
ベッドも畳の部屋では使用しませんよね。
入居する人のライフスタイルが様々なマンションや建売の住宅では、利用シーンが限られる和室が嫌煙されることも多いです。
また、冠婚葬祭を自宅で行う習慣が減りました。田舎の大きな一軒家であれば、親族が集まれる大きな和室が当たり前でした。
しかし核家族化も進み、ライフスタイルが変化する中で、そういった習慣も減ってきています。
高齢化が進んだことで脚に痛みを抱える人が増えた
医療技術も進歩し、日本ではかなり高齢まで生きられることが多くなりました。
長く使ってきた体に何かしらの痛みを抱える人は少なくありません。
私の両親も50代あたりから膝に違和感を抱えたり、どこか痛みを感じるようなことが多いと言います。
親族で集まるような場面でも、祖父や祖母は椅子に座ることしかありません。立ったりしゃがんだりが非常にしんどいと言っていましたし、転倒のリスクも高まります。
体に悩みがあり、正座への苦痛から、正座が選ばれなくなってきたのでしょう。
少し前までは、法事では正座が求められると言われていましたが、現在では椅子に座って行うお寺も多いです。住職さんも椅子に座られます。
脚の変形を気にして正座を教えなくなった
親が正座をしていることを見る機会も減った今、正座ができない子供たちも多くなってきています。
中にはこんなことを心配する声もありました。
正座を習慣的にしていると脚が太くなる。骨盤の歪みなど影響がでそう。
バレリーナのような真っ直ぐな脚を維持するには、正座が足を歪める原因ではないかと考え、子供に教えるのを疑問に思っている親もいるようです。
実際のところ、正座をしている人の方が脚が歪んでいるということはありません。しかし、長時間の正座は膝にもかなり負担を与えます。
正座ができない若者は将来困る?まだ必要なのが現状
日本でのライフスタイルの変化が、正座する習慣を減らしていると分かりました。
時代によって習慣が変わっていく中、正座ができないと将来困ることがあるのでしょうか。
長く続けられてきた習慣は、そう簡単に変わることは難しい部分もあると考えられます。
親の世代も子供に、正座が正しい座り方とされた文化があったことや、マナーとして正座が求められる場面があることを必ず教えるのが良いでしょう。
正座ができないと恥ずかしい?長時間でなくてもできると良い場面
実際に正座ができなくて恥ずかしかった経験や、正座ができないことを指摘するコメントがありました。
8歳の娘が今まで正座をする機会が無く、長時間正座をすることができません。
子供同士なら必要ないですが、大人が大人数集まる座卓で正座ができないと、苦笑されることがあります。
やっぱり日本で暮らす以上、正座はなにかと便利なんですね。
娘も恥じらいを覚えれば、正座をしてくれるようになるのでしょうか。
特に正座をすることが当たり前だった年代の人が多い集まりでは、正座ができないなんて…とみられてしまいがちです。
結局は周りからどう見られるか、ということですが、周りの目を気にしてしまう日本人。正座ができた方が余計な恥じらいを経験しなくて済むかもしれません。
出世したいと考えているなら、正座は必須では?
上司と食事の際にかしこまった話をする場合もありますよ。
結婚前の両家の顔合わせなど、料亭でしっかり行う場合に正座ができなければ恥ずかしいでしょう。
相手の親によっては、悪い印象を与えかねません。
両家の顔合わせも今では簡略化されることも多いと言えますが、相手のご両親がどのような考えを持っているのかは様々です。
正座ができない若者が増えた本当の原因は?正座できないと将来困る?まとめ
- 正座ができない若者は、できないというより正座を選ばない人が多い。
- 実際にする習慣が無く、正座ができない若者も存在する。
- 畳に座る生活が日本に正座を習慣化した。
- 畳に座る機会が減った今、正座をする習慣自体も減っている。
- 長時間する必要は無いが、正座ができないと困る場面もまだある。
- 正座ができることによって、相手に好印象を与えることができる。
- 今後もライフスタイルの変化に伴い、正座の必要性や考えは変化するだろう。
日本のライフスタイルが今後も変化していくことを考えると、これから正座ができない若者は増えていくと考えられます。
それに伴い、正座への考え方、捉え方も必ず変化していくはずです。
ですが、今後全く正座が必要ではないということではなく、相手に好印象を与える座り方として知っておくことは必ず役に立ちます。
日本の習慣として正座が長く親しまれてきた文化があることを理解し、必要な場面を判断して適切な座方をとれるようにすることが若者には重要でしょう。