月末家庭菜園など最近ブームですよね。
自分たちの食べるものを安全に、という健康志向です。でも、そこで問題になるのが害虫と農薬。
特にシンクイムシという虫がヤバいらしいです。農薬は使いたくないけど対策で無農薬って可能なんでしょうか。
そこで、どんな対策があるのか調べてみました。
※虫画像あります。気を付けてご覧ください。
シンクイムシの対策で無農薬は可能なの?
シンクイムシの対策で無農薬は可能なのかを解説します。
ズバリ、可能です。
対策はいくつかありますが、シンクイムシの習性や生態を利用したものが中心です。いくつかある対策を複数組み合わせて行います。
無農薬で対策できるなら、食べるのも安心できますよね。
生育期間を考慮したり、越冬する場所をなくしたり、産卵させないようにトラップを仕掛けたりといったものです。
習性や生態を利用するので、まず、シンクイムシとは何者かを調べましょう。
シンクイムシって何者?
そもそもシンクイムシって何者なんでしょうか?
シンクイムシ( 芯喰い虫, fruit / shoot / stem borer )は、植物組織に穴を開けて中にもぐりこむ穿孔性昆虫のうち、作物の茎や果実、樹木の新芽などの柔らかい組織を摂食する昆虫の総称である[1][2]。生態による人為分類であり定義があいまいだが(たとえば、鞘翅目にもツツシンクイやナガシンクイのように「シンクイ」と名づけられたグループがある)、主に鱗翅目(チョウ目)の昆虫のうちでこのような生態を有し、農林業に関する害虫として知られる種を指すことが多い[3][4]。
引用 ウィキペディア
一言でいうなら、小さいガの幼虫です。鞘翅目というのは甲虫類ですね。
主に次のような種類がいます。
・モモシンクイガ
・ナシヒメシンクイ
・アワノメイガ
・アズキノメイガ
これを見ると、ナシやモモを荒らす種類もいるんですね。
家庭菜園などでは大根や小松菜、キャベツといったアブラナ科の野菜が被害にあうそうです。私も一度、買った野菜の中に芋虫がいたんですけど、それがシンクイムシだったんですね。
マコモダケという、竹の小さいようなイネ科の野菜で、芋虫のあたりはきれいに芯をくりぬかれていました。シャキシャキしておいしいんですけど、以来買えずにいます。
シンクイムシ対策・無農薬でできること
引用 ウィキペディア
シンクイムシというのが、主に小さいガの幼虫だというのがわかりました。では、どのように無農薬で対策していけばいいのでしょうか。
対策その① そもそも卵を産ませない
卵を産ませないという対策はとても有効です。もし卵から孵って芋虫状態になってしまうと、私が買ったマコモダケみたいに中に入り込まれてしまいます。
そうなると、農薬を使っても虫に直接かからないので効きが悪く、十分に効能を発揮できません。
卵を産ませない方法は3つほど挙げられます。
フェロモントラップ | メスのフェロモン剤を専用の容器に入れてオスをおびき寄せて死滅させる。 |
防虫ネットや袋を利用する | 成虫が入り込んで卵を産み付けないようにする。 |
生育期間をずらして植える | 産卵時期が9月末ごろまでなので、それ以降に栽培を開始する。 |
対策② 越冬する場所をなくす
シンクイムシはガの幼虫です。越冬は成虫の姿ではなく、幼虫のまま、野菜の中や土の中にこもって越冬します。
土の中に潜るシンクイムシは、春先には野菜に襲い掛かってきます。なので、土をしっかりと耕すのが有効です。
これを「天地返し」といい、表面のほうにいる虫を土中深く埋めてしまうことで、春先の被害を防ぐことができます。
対策③ コンパニオンプランツを利用する
コンパニオンプランツとは、「共栄作物」「共存作物」ともいいます。近くに植えることで病害虫の予防や生長の促進などを期待できる植物のことです。
また、害虫の天敵を呼び寄せたり、天敵となる虫のエサを呼び寄せる植物のことをバンカープランツといいます。「おとり植物」ともいいます。
直接いい影響を与えるわけではありませんが、これもコンパニオンプランツとして扱われます。
コンパニオンプランツの組み合わせをまとめてみました。
アブラナ科(ハクサイ キャベツ ダイコンなど) | キク科(レタス シュンギクなど) セリ科(ニンジン ミツバなど) |
ナス科(トマト ナス ジャガイモなど) | マメ科(エンドウマメ インゲンなど) ネギ科(ニラ ネギなど) |
ウリ科(キュウリ ゴーヤなど) | マメ科(エンドウマメ インゲンなど) ネギ科(ニラ ネギなど) |
イネ科(トウモロコシなど) | マメ科(エンドウマメ インゲンなど) |
その他、シソ科のシソやバジル、セリ科のパセリなども害虫予防で役に立つそうです。地植えはできませんが、ミントもシソ科ですから虫よけによいですよ。
根野菜が好きな方はサトイモとダイコン、ショウガなどもいいそうですが、生長を促進する役割で虫よけではないようです。
対策④ その他いろいろな対策
次に挙げる対策は、必ずしもシンクイムシに限ったものではありません。無農薬というよりも、食物を大切に育てるための手段といった意味合いが強いです。
① 連作を避ける…ナスなどが有名ですが、特有の病気にかかりやすくなってしまいます。また、土地の栄養が偏ってしまい、結果、土地がやせてしまいます。
② まめに草引きをする…雑草が茂ったり、葉が伸びすぎて陰が多くなると菌や虫が繁殖しやすくなります。
③ 物理的に取り除く…個人で、仕事の合間にやっている人などには難しいかもしれません。学校で、栽培をしているなどでしたら、結構効果が見込めます。毎日新芽や株の中心を点検して、虫がいたら取り除くという、極めてシンプルな方法です。
学校だと、当番を決めて毎日点検できますので、効果が期待できます。しかし、日曜菜園などだと、気づくのに時間が空いてしまうので、被害が出てしまいやすいです。
以上、いろいろな対策を挙げてきました。規模や予算によりできることは違うと思いますが、できることを組み合わせてチャレンジしてみてください。
シンクイムシはなぜヤバい?
引用 施設園芸.com
シンクイムシの被害とヤバい理由
シンクイムシは「芯喰い虫」と書きます。主にガの幼虫がシンクイムシと呼ばれます。
卵から孵った幼虫は、柔らかいおいしいところを目指していきます。柔らかくておいしいところ。新芽などの生長点といわれるところです。
植物が生長するところですから、植物の栄養が集中します。芽だって、生まれたばかりですから柔らかくてみずみずしいです。幼虫もまだまだ小さくて、硬い葉っぱは食べにくいですよね。
そして幼虫はどんどん中へ入り込みます。モモだってナシだって、人間が食べておいしいんですもの。幼虫だっておいしいはずです。
でも、植物はたまったもんじゃありません。生長点をかじられる、ということはそれ以上の生長を阻害されるということです。
下手をすれば株ごと立ち枯れてしまいます。果物やダイコンは中を食い荒らされて変形し、ぽろぽろになってしまいます。
しかも、中に入り込まれると駆除の難易度は格段に上がります。薬剤が直接当たらないので効能が発揮されにくいのです。
この点がシンクイムシの厄介でヤバい理由です。
ポイントとしては第二世代で食い止める、というところです。つまり越冬して出てきた幼虫たちを撲滅させることに注力せよ、とのことです。
第三世代になってしまうと数が圧倒的に増えてしまい、いよいよ手に負えなくなってしまいます。まず数が少ないうちに徹底的にたたけ、ということですね。
農林水産省では病害虫発生予察情報というものを発信しています。
国は都道府県の協力の下、植物防疫法(昭和25年法律第151号)に基づき、有害動植物の防除を適時で経済的なものにするため、気象、農作物の生育状況、有害動植物の発生調査の結果等を分析し、有害動植物の発生予察及び防除対策に係る情報(発生予察情報)を提供しています。
本予報は、都道府県が提供する発生予察情報を取りまとめた情報になりますので、地域における情報の詳細は、都道府県病害虫防除所のホームページ等を参照してください。
引用 農林水産省
農薬を使うにしても、余剰な薬剤を撒かずに済むよう、最大の効果が見込めるように発信しているとのことですので、一度ご覧いただけるといいと思います。
無農薬野菜と有機野菜とオーガニック
蛇足かもしれませんが、自分で野菜を作る暇や根性がない私のような人のために、有機野菜などの区別の仕方をご紹介しておきます。
栽培方法の違いがある
①慣行栽培…農薬や化学肥料を使う一般的な栽培方法
②有機栽培…化学肥料や農薬を使わない。遺伝子組み換えを行わない。農作物に由来する環境への負荷を可能な限り提言する。有機野菜、オーガニックといわれるものはここに分類される。
③特別栽培…①、②以外の、農薬や化学肥料を使うけど通常の5割以下に制限されているもの
特に③はあまり見かけないと思います。
農家の皆さんの努力で、化学肥料や農薬の量を通常の半分以下に抑えて作られた作物のことで、売るときのアピールポイントとして認められているものです。
全くの0使用だと難しいけど、努力して減らしているよ、という農家さんの努力を応援しているものです。②と③は放送などに表記できるため、確認できます。
有機JASマークを確認しよう
引用 農林水産省
有機JASマークというものがあります。太陽と雲と植物をイメージしたマークで、農薬や化学肥料に頼らない、自然界の中で生産された農作物を意味するとしています。
これは前章で挙げた②の有機栽培を認めたものに対しつけられるものです。このマークを付けていない農作物に「有機」「オーガニック」という表記をすることは許可されていません。
紛らわしい書き方も法律で禁じられています。これらから見ると、有機とオーガニックとは同じものと考えていいでしょう。
しかし無農薬野菜という表記は現在禁止されています。理由は無農薬、減農薬といっても生産者により定義がばらばらで、消費者に誤解を与えやすいからです。
けれども、農薬を減らそうという農家さんの努力はアピールさせてあげたい、ということで、特別栽培という表記ができるようになりました。
野菜売り場で、いろいろ確認して納得の買い物ができそうですね。
シンクイムシの対策は?無農薬って可能なの?方法など徹底調査!まとめ
- シンクイムシは無農薬で対策できる。
- 無農薬で対策する場合、予防をしっかりとする。
- 予防にはフェロモントラップや防虫ネットを使うなどがある。
- その他にはコンパニオンプランツと組み合わせるなどの対策もある。
- シンクイムシは主にガの幼虫で、植物の生長点を狙う。
いかがでしたか?
シンクイムシってそういう虫がいるんだと思っていたので、ガの幼虫というのは初めて知りました。また、今回載せませんでしたが、被害を受けた果実などはかなり悲惨でした。
でも、無農薬で対策できるなんてすごいですよね。思わず家庭菜園をしてみたくなりました。皆さんの家庭菜園でもお役に立てれば幸いです。