ご飯を炊くうえで欠かすことのできない炊飯器。
炊飯器の保温機能を活用するという方も多いのではないでしょうか。
では、炊飯器でご飯をずっと保温しておくとどうなるのでしょうか?
電気代や食中毒の可能性などさまざまな不安を解消すべく、解説していきます。
炊飯器でご飯をずっと保温してたらどうなる⁈
炊飯器で炊き立てのふっくらとしてツヤッツヤのご飯って最高に美味しいですよね!
炊き立てご飯の美味しさを保つため、ほとんどの炊飯器には保温機能がついており、炊き上がると自動でオンになります。
そのため、ご飯を炊いてから食事まで少し時間がある場合など、保温機能をオンのままにしている方も多くいらっしゃるかもしれませんね。
とっても便利な保温機能ですが、そもそも炊飯器で保温できる時間はどのぐらいなのでしょうか?
また、ずっと保温していた場合、どのような影響があるのでしょうか?
炊飯器の保温機能を活用した際のご飯についてしっかりと理解を深めれば、より安心して保温機能に頼ることができるかと思います。
それでは早速ご説明していきますね。
見た目や食感が悪くなる
炊飯器で長時間保温していると、お米が黄色っぽくなってしまいます。
保温によってお米が黄色みを帯びる原因は「メイラード反応」という現象です。
メイラード反応とは、加熱することで食品に含まれるアミノ酸と糖が反応し、茶色く色づき香ばしい風味が生まれる反応のことです。
また、少しずつ水分が抜けていくため、食感もパサパサになってしまいます。
炊き立てであれば、ふっくらモチモチしているお米。パサパサの状態では、食感が良いとは言えませんよね。
黄ばんでパサパサなお米なんて、私の知ってるお米じゃない…!
腐る
また、ご飯が腐ってしまうこともあります。
炊飯器でずっと保温していることが一番の腐敗の原因ではありますが、どのような場合に腐ってしまうのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
メーカーの定める保温時間を過ぎている
腐敗の原因となる細菌は、【60】℃以下で繁殖しやすくなっています。
そのため、炊飯器の中は、細菌が繁殖しにくい【60〜70】℃程度の温度に設定されています。
しかし、お米にはもともと「バチルス菌」という細菌が含まれています。
バチルス菌は温度が高い環境でも繁殖が可能で、時間が経つにつれて胞子が増殖していきます。
炊飯器の中が高温に保たれることで、バチルス菌の繁殖を遅らせることはできますが、やはりメーカーが定める保温時間を過ぎてしまうと、細菌の繁殖によってご飯が腐ってしまう可能性があるようです。
頻繁にフタの開け閉めを行っている
何度もフタを開けたり閉めたりしていると、どうしても炊飯器内の温度が下がります。
温度が下がると、それだけ細菌も繁殖しやすくなってしまいます。
また、フタを開けることで空気中の細菌が炊飯器の中に入り、バチルス菌以外の細菌も繁殖してしまう可能性もあります。
冷やご飯を継ぎ足す
炊飯器で炊いた温かいご飯に、冷やご飯を足してしまうのもNGです。
炊飯器の温度が下がってしまいますし、細菌の繁殖にもつながり、衛生面から見ても好ましくありません。
また、ご飯がパサついてしまう原因にもなります。
これまであまり深く考えずに保温機能を使ってきたけど、使い方を間違えるとご飯を腐らせてしまうなんて…
気をつけないといけないね。
電気代がかかる
炊飯器の保温機能を長く使うということは、その分電気を使うので、電気代がかかってしまうというデメリットもあります。
具体的にどのぐらいの電気代がかかるのかについては炊飯器のタイプごとに異なりますので、後ほど詳しくご説明しますね。
今電気代めちゃくちゃ上がってるから、何にどのぐらいの電気代がかかってるのかは知っておきたいよね。
まずは炊飯器の種類をおさらい!
炊飯器と言っても、家電量販店などにはたくさんの種類がズラッと並んでいますよね。どれも同じなのでしょうか?
保温機能について見ていく前に、炊飯器の種類についてご説明していきたいと思います。
マイコン炊飯器
引用 Tigar マイコンジャー炊飯器〈炊きたて〉JBH-G102/G182
マイコンとは、マイクロコンピュータとも呼ばれており、コンピュータが持つ基本的な機能が搭載された小さな電子部品です。
と言ってもちょっとよくわからないですよね。
もう少しかみくだいて説明すると、マイコンは、炊飯器や冷蔵庫といった多くの家電製品に組み込まれており、あらかじめ設定されたプログラムを実行する小さなコンピュータのようなものです。
「炊飯」のボタンが押されたら「ご飯を炊き始める」というプログラムを実行するってことか!
その通り!
マイコン炊飯器の場合は、釜の底の部分にヒーターが搭載されており、底からの熱を釜全体に伝えることでご飯を炊く仕組みになっています。
マイコン炊飯器のメリットとデメリットをまとめてみました。
メリット | デメリット |
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デメリットとして美味しさに関する点が挙げられていますね。
ただ、昔はアルミ製の内釜が多かったですが、最近では多層釜が主流になってきていたり、火力の強い炊飯器が開発されたりと、必ずしも以前ほど「マイコン炊飯器=美味しくない」というわけでもないようです。
価格も安いので、あまり自炊をされない方や一度にご飯を炊く量が少なめの方にはうってつけです。
IH炊飯器
昔から存在するマイコン炊飯器に代わり、近年の主流となっているのが、IH炊飯器。
電磁誘導加熱によって内釜全体を熱してご飯を炊く仕組みになっています。
ここでも聞きなれない単語が登場しましたが、電磁誘導加熱こそがInduction Heating、つまり頭文字を取ってIHなのです。
IH炊飯器のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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多少値段が高くついても、絶対に美味しいご飯が炊きたい!という方は断然IH炊飯器がおすすめです。
現在の炊飯器における主流タイプだけあって、それぞれのメーカーから色々な炊飯器が販売されています。
こだわりや価格もさまざまなので、自分に合ったものを探すのも楽しそうですね。
圧力IH炊飯器
引用 Tigar 圧力ジャー炊飯器〈炊きたて〉JPA-X100
同じ「IH炊飯器」ですが、通常の加熱だけでなくさらに圧力をかけて炊き上げるタイプのIH炊飯器もあります。
内釜を密閉し圧力をかけることで沸点が【100】℃以上に上がります。
そうして高温で加熱されたお米は芯までしっかりと火が通るので、ご飯の甘みやうまみが引き立ち、食感もふっくらもちもちに仕上がるのが特徴です。
そんな圧力IH炊飯器のメリットとデメリットがこちらです。
メリット | デメリット |
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時間が経ってもご飯の美味しさを保ちやすいため、お仕事などでご飯を炊いてから食べるまでの時間が空いてしまう方やお弁当をよく作る方にもぴったりですよ!
ガス炊飯器
引用 Rinnai こがまる
とにかく火力の強さが売りのガス炊飯器。
ガスによる火力で釜全体を高温に熱することで炊き上げます。
業務用の炊飯器として利用されることが多いガス炊飯器ですが、もっと容量の小さい家庭用のものも販売されています。
都市ガス用とプロパンガス用の【2】種類があるため、ご自身が契約しているガスのタイプをよく確認してから購入してくださいね。
ガス炊飯器のメリットとデメリットについても整理してみました。
メリット | デメリット |
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ほかの炊飯器に関しては、たくさんのメーカーから色々な種類のものが出ていますが、ガス炊飯器は、パロマ・リンナイの2社がシェアのほとんどを占めています。
もちろんそれぞれのメーカーの中でいくつか種類はありますが、自宅に設置されているほかのガス機器とメーカーを揃えたりすることで、選ぶ際の迷いが少なくなるのは良いですね。
炊飯器で保温できる時間やかかる電気代はどのぐらい?
ここまで炊飯器の種類や、炊飯器でご飯をずっと保温していた場合のさまざまな良くない影響についてお話ししてきました。
ここからは、さらに気になる点について解説していきたいと思います。
炊飯器で保温できる時間は?
じゃあ炊飯器でご飯を保温できる時間って一体どのぐらいなの?
そこ、気になりますよね。
炊飯器の保温時間は、一般的には【12〜24】時間です。
炊飯器のタイプ別にもう少し詳しく見てみましょう。
ただし、メーカーによっても異なりますので、実際に購入する際には、事前に確認するようにしてくださいね。
そして、これはあくまでも保温ができる最大の時間。
長く保温すればするほど、ご飯のツヤや風味に影響を及ぼし、味や食感が劣化してしまいます。
そのため、ご飯の美味しさを保てる保温時間としては、【5〜6】時間となっています。
炊飯器を利用した際の電気代は?
炊飯器は保温だけでなく、利用したとき全てに電気代がかかります。トータルではどのくらいの電気代がかかっているのでしょうか?
炊飯器にかかる電気代
炊飯器を利用した場合の電気代も把握しておきたいところですよね。
電気代も炊飯器のタイプによって異なりますが、ガス式炊飯器の場合は、電気をほとんど消費しません。
電気を使って炊く炊飯器の中では、一般的にマイコン式が最も消費電力が少ない傾向にあると言われています。
しかし、電気代もメーカーや種類によって異なりますので、断言することはできません。
具体的な電気代のイメージをつかんでいただけるように、マイコン式とIH式の炊飯器にかかる電気代について、以下の表にまとめてみました。
年間(Wh/回) | 炊飯時(Wh/時) | 保温時(Wh/時) | タイマー予約時 (Wh/時) |
待機時(Wh/時) | |
【マイコン】 3合~5.5合未満 |
1,074円 | 3.04円 | 0.33円 | 0.01円 | 0.01円 |
【マイコン】 5.5合~8号未満 |
2,088円 | 4.44円 | 0.54円 | 0.01円 | 0.01円 |
【IH】 5.5合~8号未満 |
1,381円 | 3.78円 | 0.43円 | 0.03円 | 0.02円 |
【IH】 3合~5.5合未満 |
2,263円 | 5.03円 | 0.51円 | 0.03円 | 0.02円 |
なんと、10時間保温をすると、1回以上ご飯が炊けてしまうほどの電力を消費することになります。
えっ!炊飯器の保温機能ってそんなに電気代かかるの⁈
そうなんです。
ご飯の質も低下してしまいますし、やっぱり炊飯器で長時間保温するのはあまりおすすめできません。
炊飯器にかかる電気代を節約するためには?
ご飯を炊くうえで発生する電気代は、生活するうえで必要な費用ではありますが、安くおさえられるに越したことはないですよね。
というわけで、少しでも電気代を節約するコツをお伝えしていきたいと思います。
まとめて炊く
炊飯器は、炊飯1回ごとに電気代が発生するため、炊くご飯の量は関係ありません。
特に一度に食べる量があまり多くない方は、こまめにご飯を炊いていると都度電気代がかかってしまって、コスパの面であまり良いとは言えません。
一度にまとめて炊いてしまって、食べない分は小分けにして冷凍しておくのおすすめです。
エコ炊飯モードやをタイマー機能を活用する
炊飯器の中には「エコ炊飯モード」という、通常のモードよりも少ない消費電力量でご飯を炊くことができるモードがあります。
火力を抑えて炊き上げるため、通常よりやや時間はかかりますが、電気代を抑えるうえでは効果的です。
また、タイマー機能を活用するのも賢いやり方です。
先ほどもお伝えした通り、炊飯器でずっと保温していると、かなりの消費電力をくうことになります。
そのため、あらかじめ食べる時間がわかっている場合は、その時間に合わせて予約する方が電気代の節約になります。
炊き立てアツアツのご飯が食べられるので、良いこと尽くめですよ!
使わない時はコンセントを抜く
コンセントをずっと挿しっぱなしにされている方はいらっしゃいますか?
炊飯器の待機電力は1日1円にも満たないわずかな金額なため、タイマー機能ぐらいでは大きな影響はありませんが、積み重なるとそれなりの金額になります。
少しでも無駄を省くために、炊飯器を使わない時は、コンセントを抜いておくようにしましょう。
新しい炊飯器に買い替える
炊飯器に限ったことではありませんが、家電製品は、製造年度が古いものと新しいものとを比べると、消費電力量がかなり抑えられるようになっています。
そのため、炊飯器を新しく買い替えるだけでも省エネになります。
長く使い続けているとどうしても劣化してしまって、炊いたご飯の味なども落ちてきてしまうため、美味しく炊くという意味でも炊飯器を新しくするメリットがあるかと思います。
ご飯の美味しい保存方法いろいろ!
炊飯器の保温機能だと質も落ちて電気代もかかるとなると、どうやって保存したらいいのーーー!
安心してください。ちゃんと保温機能を使う以外にも、ご飯の保存方法はあります。
【3】つご紹介しますので、ご自身のライフスタイルに合わせた保存方法を選んでくださいね。
冷凍する
既に実践されている方も多いかもしれませんが、1回に食べる量以上に炊いたご飯の保存方法としては、まずは冷凍が挙げられます。
1人分ずつに小分けし、ラップや専用容器で保存します。
ラップの場合は、ご飯をつぶさないようにふんわり包むと、美味しさを逃さず保存することができます。
専用容器を使うと、冷凍は容器に詰めるだけ、解凍も容器ごと電子レンジで温められるので便利ですよ。
冷凍する時のポイントは、ご飯がしっかり冷め切ってから冷凍庫へ入れること。
温かいまま冷凍庫へ入れてしまうと、冷凍庫内の温度が上がってしまい、ほかの食材を傷めてしまう原因になります。
解凍する時は、電子レンジの解凍モードではなく、加熱モードを使いましょう。
量が多い場合はムラができやすいため、途中で混ぜて全体に熱がいきわたるようにすると、より美味しくいただけますよ。
冷凍ご飯の消費期限はだいたい【1】ヶ月程度ですが、1週間程度で劣化が始まりますので、【2】週間程度を目処に食べ切るようにしましょう。
おひつを使う
それほど保存時間が長くないようであれば、おひつを使ってみるのもおすすめです。
引用 釜浅商店 おひつ
木製のおひつは、中の湿度を一定に保ってくれるため、ご飯がパサついたり黄ばんだりすることなく、ふっくらと美味しい状態をキープすることができます。
ただし、いつまでもおひつで保存することはできないので、長くても次の食事で食べ切れるぐらいで保存するのが良いでしょう。
さらに、保存の際に電気代が一切かからないのも嬉しいポイント。
食べる時だけ電子レンジで温めれば良いので、炊飯器で保温するよりもずっと電気代が節約できますよ。
よく旅館などで出していただくご飯がおひつに入っているのを見かけませんか?
おひつに入っていることでより旅の風情を感じられるのはもちろん、炊き立てのご飯の美味しさを損なわないという面でも、おひつを使うのは理にかなっているのですね。
保温ランチジャーを使う
会社や学校へお弁当を持って行く方は、携帯用の保温ランチジャーを活用されるのはいかがでしょうか?
電子レンジで温め直さなくても、開けてすぐに温かいご飯が食べられます。
私は子どもの頃、通っていた塾にお弁当を持って行っていたのですが、冬になると母が保温ジャーを持たせてくれて、ホカホカのご飯が嬉しかったことを今でも覚えています。
当時はそこまで知識がなかったので冬にしか使っていませんでしたが、保温ジャーは気を付けて使えば夏場でも大丈夫です。
夏に使う場合は、ジャーを清潔に保つこと、傷みやすいおかずは充分冷ましてから詰めることを意識しましょう。
炊飯器でずっと保温してるとどうなる⁈保温時間や電気代も解説!のまとめ
今回は、炊飯器の保温機能をテーマにお話ししてきました。
もう一度全体を通しておさらいしていきましょう。
まとめ
また、電気代もかかってしまう
①冷凍する
②おひつを使う
③保温ランチジャーを使う
ご飯が炊き上がると、自動でオンになる保温機能。
すぐに食べない時、私はついつい保温機能をつけたままにしてしまいがちなのですが、やっぱり炊き立てが一番だなと感じます。
そんな時は、保温機能以外のご飯の保存方法も是非参考にしてみてくださいね。
炊飯器にかかる電気代についても、高いか安いかは個人の感じ方によるかと思いますが、どういった時にどのぐらいの電気代がかかるのかをわかっているだけで違ってくるかと思います。
ご飯をいただくうえでは欠かすことのできない炊飯器。
皆さんも、これからも保温機能を上手に活用しながら炊飯器を使っていただけたら嬉しいです。