老若男女に愛される果物の代表”ぶどう”
その人気からどんどん品種改良が進み、種無しのものや皮ごと食べられるものなど
様々な特徴を持つぶどうが作られています。
その中でもここ数年特に注目されている「シャインマスカット」
上品なマスカットの香りと固く締りのある肉質が特徴のぶどうで
現在多くの人に人気がありますよね。
そんなシャインマスカットがなんとおうちで作れるのです!!
初心者にブドウの栽培は難しいかもと敬遠されがちですが、
きちんと手順を踏みコツをつかみながら進めていくと
あなたのおうちでも美味しいシャインマスカットが育てられますよ。
仕事柄、野菜や果物を手にする機会は多いですが、
私はぶどうを育てたこともありませんし、
家庭菜園のノウハウを熟知しているわけでもありません。
実際に農家さんが書いている記事の方が
現場の写真付きで書かれてあって参考になると思います。
なので、この記事は私のようなビギナーさんが見ても
分かりやすいように書いてあります。
”おうちで家族と一緒にシャインマスカットを作ってみたいと漠然と思っている”
”家庭菜園は初めてだけど何から手を付けていいのか分からない…”
そんな方必見!一緒にシャインマスカットの作り方の流れを簡単に学んでいきましょう!
シャインマスカットを育てる基本作業
シャインマスカットは1年目に植え付けを行い、
どんどん成長してくる2年目からは様々な作業が必要となってきます。
この作業のコツを掴むことがおうちで作るシャインマスカットの成功につながります。
作業の名前は難しいですが、一つ一つの作業自体はシンプルなので
一緒に覚えていましょう!
芽かき・誘引
芽かきとは、1つの場所に芽がたくさん出ているときに
副芽を取り除くことで梢をそろえて
より良い実や枝にする剪定作業です。
誘因とは、それぞれの枝が太陽の光を平等に浴びて
成長するように成形する作業です。
上手に誘因することで、隙間なく一定量の収穫ができます。
花穂の整形
結実不良を防ぐために、ハサミを使って主穂以外の副穂を切っていく作業です。
大粒の良い房を作るために行う摘果の第一段階。
粒と房の間引き
ぶどうの房は上の粒ほど甘みがのり、
下の粒ほど甘みが少ないという特徴があります。
長めの房にならないために房を切って調整していきます。
また、房を間引くことで綺麗な逆三角形の房になります。
家庭菜園のぶどうは出荷する必要がないため、
横広がりにすると甘さの揃った粒ができるようです。
粒を間引くことで栄養を集中させ、美味しい実を作ります。
また、粒が大きくなりきったときに、お互いに押し合って変形したり
潰れることを防ぐことができます。
袋掛け
ぶどうに袋をかけることで害虫対策、病気対策、
ボルドー液によるぶどうの実の汚れ防止ができます。
摘心・副梢の除去
摘心とは、新しく伸びてくる茎や枝を途中で摘み取る作業です。
摘心によって脇芽の成長を促し頑丈な枝を作り、
実を大きく育たせることができます。
福梢(脇枝)の除去は、摘心後に出てくる若い枝を切断する作業です。
これによって風通しがよくなり、すべての葉に日が当たり、
葉と実に栄養がいきわたります。
シャインマスカットの育て方【1年目】
実は、シャインマスカットはぶどうの中でも収穫時期が遅いのが特徴です。
11月~2月に植え付けて4年目でようやく立派なぶどう棚が出来上がります。
ぶどう棚が出来上がれば美味しいシャインマスカットがたくさん実る
贅沢な光景がようやく見られるわけですが、
何事も基礎が大事。
ここからは1年目の作業を簡単にお教えします。
- 苗の購入
- 植え付け
- 枝を伸ばす
ステップ1.苗の購入
どんな野菜を育てるときにも、まずは苗を買ってくるわけですが
ここで注意してもらいたいのが苗を買う場所と選び方です。
シャインマスカットの人気に伴い、悪質な苗の出回りが増えました。
プロのぶどう農家さんは返品ができるJAや信頼できる苗の専門店で購入しているようです。
苗木を選ぶときは、
枝は葉がしっかりとついていてひげ根も多くついているもの
を選びましょう。
ステップ2.植え付け
買ってきた苗を植えていきます。
前述したとおり、シャインマスカットの植え付け時期は11月~2月。
未来のぶどう棚をイメージして植え付けをするのが重要です。
調べてみると植え付け方法は大きく分けて3種類あるようです。
・I型 収穫量が多い。細長い土地向き。
・V型 収穫量が多い。狭い土地向き。
・H型 広い土地向き。家庭菜園には不向き。
家庭菜園に向いているのはI型とV型のようですね。
ステップ3.枝を伸ばす
1年目はとにかく枝を伸ばします。
苗木の種類にもよりますが、1年目は1~2メートルほどしか伸びません。
自分の理想のぶどう棚の型をイメージしながら、伸ばしていきましょう。
シャインマスカットの育て方【2年目】
2年目は主枝がぐんぐん伸びるので、芽かきを中心に行います。
良いぶどう棚作りのためには
伸ばしたい方向の芽を残すように芽の向きを見ながら芽かきを行うことが重要になります。
芽かきのコツとして、基本的に勢いの良い2つの芽を残します。
上下の方向に生えた芽は切り、栄養が分散されるのを防ぎます。
シャインマスカットの育て方【3年目】
3年目になると時期によって3回の剪定作業を行います。
- 冬の剪定(1月中旬から末まで)
- 春の剪定(4月末)
- 初夏の剪定(5月~7月)
冬の剪定
寒い冬を迎える1月中旬頃になると、ぶどうの葉が全て落ちます。
そうすると、夏の間に伸びた枝を切り詰める冬の剪定をしていきます。
この剪定がうまくできると、暖かくなってくる4月頃に
剪定した枝の部分から萌芽がたくさんでてきます。
また、この冬の剪定をするときには、同時に害虫駆除もしていきます。
不自然な枝の膨らみや、ゼリー状の樹液が出ているかなどを確認します。
春の剪定
春の剪定では「芽かき」を中心に行います。
脇枝も伸びてくるので「誘引」や「摘心」もしていきます。
そしてもう一つ大切な作業が害虫駆除のための消毒です。
黒とう病の消毒も、この時期にしっかりと行うことで
かなり防ぐことができます。
初夏の剪定
初夏の剪定では「誘引」と「摘心」を中心に行います。
5月中旬になると、枝が勢いよく伸びてくるので「誘引」、
6~7月になると、葉が勢いよく伸びてくるので「摘心」をします。
この作業によって脇芽の成長を促し、頑丈な枝と大きな実を
育たせる助けをします。
ぶどうの病気と対策方法
いざぶどう苗を購入してぶどう棚を作り、
たくさん手間と愛情をかけたシャインマスカットがようやく収穫できる!
という矢先にシャインマスカットが病気にかかってしまった…
という経験をした方も多いようです。
家庭菜園といえども、綺麗な大粒の実が房いっぱいに実ったぶどうを収穫したいですよね。
初期の段階で対処をすると治療は可能なようですが
ぶどうの病気の知識がないと、なかなか初期段階で気が付くのは難しいですよね。
健康な葉や枝にまで感染するまで気がつかず
気がついたときには手遅れに…なんてことにならないように
シャインマスカットがかかりやすい代表的な病気とその予防方法や治療方法を覚えておきましょう!
黒とう病
ぶどうの病気でもっとも有名で、シャインマスカットが一番かかりやすい病気です。
黒とう病の病原菌は、冬の間に枝や巻きひげの中で菌糸の形で生存し、
4~5月の雨が降った時に分生子が雨のしずくで分散、感染を広げます。
最初は枝葉に斑点が現れ、ひどくなると新芽も枯らします。
果実に発生すると成熟しても軟らかくならず、黒い斑点がついたぶどうになってしまいます。
対策
黒とう病は感染力が非常に強いため、「予防薬」で発生を防ぐことがベストです。
病気にかかってしまってからの治療薬は効き目が弱く、
黒とう病にかかった木の枝や葉は切って処分し、
残った葉や枝に「予防薬+治療薬」が入った農薬を使いましょう。
黒とう病は菌が繁殖して空気中を浮遊し、感染が拡大するため
切った枝や葉は畑の隅に捨てずに、必ずビニール袋などに入れて
密封して捨てましょう!
べと病
梅雨のころに最も盛んに発生します。
病原菌が降雨や水滴によって葉や果実、新梢に感染することによって発生します。
感染すると、葉裏に真っ白いカビが生え、果実に褐色の病斑が現れます。
その後鉛色になってミイラ化、固まって落ちてしまいます。
対策
感染してしまったら、病変した枝と変色した果実をすべて切除し、
ビニール袋に入れて捨てるのを繰り返します。
残った葉や枝には農薬をまき消毒をして、かさかけを行いましょう。
べと病にかからないためには、梅雨に入る前に「袋かけ」や「かさかけ」をして
空気中に漂う菌の付着や発生を防ぐといいでしょう。
かさかけの状態で摘粒を行い、摘粒が済んだら
「袋かけ」をして房全体を包めば菌や胞子が入り込まず
綺麗なシャインマスカットが収穫できます。
【簡単解説】みんな大好きシャインマスカットの作り方教えます!のまとめ
シャインマスカットの栽培期間は決して短いわけではありません。
苗を植え付けてから立派なぶどう棚ができるまでは
4年くらいは要すると考えていた方が良いでしょう。
また、作業の手数も多いため、初心者の方には敬遠されがちです。
しかし、一つ一つの作業自体は実は単純で、
ぶどうがかかりやすい病気への知識やぶどう棚をつくるコツを
学んでおくと良い状態で収穫の時期を迎えることができそうですよ。
ぶどうの栽培の特徴である”一度植えれば何年も継続して収穫することができる”
この点はシャインマスカットを育てる大きな魅力の一つではないでしょうか。
在宅期間が増えた今だからこそ、自分のお庭で
シャインマスカットの栽培を始めてみましょう。