様々な音楽ジャンルで活躍するトランペット。突然ピストンが動かなくなったら本当に焦りますよね。
私も小学生のときからずっと演奏していますが、大好きな楽器だからこそ、いつもと動きが違うときの衝撃が大きいことはよくわかります。
でも、まずは一度深呼吸をして落ち着いてみてください。
結論からいいますと、もしピストンが動かなくなり、手入れをしても動かないなら、すぐに修理(リペア)に出すことが大切です。
間違っても力まかせになんとかしようとしないように!
ピストンが動かないとき、考えられる原因は一つではありません。
手入れの不行き届き、少しの歪みでも、演奏者にとって大きな不利益をもたらすことがあります。
自分で対処できない場合は、無理せず修理に出すのが得策です。
Contents
トランペットのピストンが動かない・引っかかる・抜けない!!衝撃が加わったときはすぐに修理へ!
まず、もしトランペットを落としてしまうなど、何らかの衝撃が加わるような出来事があった場合は、すぐに修理に出してください。
トランペットも、金属でできているといえど繊細な楽器です。
直接関係のないような場所に少しの衝撃が加わっただけでも、歪みが生じることがあります。
もし何らかの衝撃が加わってピストンが動かない場合、素人にはどうすることもできません。
力まかせになんとかしようとしないで、すぐに修理に出しましょう。
トランペットを長く使っていなかったときは掃除をしてみよう
久々にトランペットのケースを開けたらピストンが動かなくなっていた、という場合には、バルブオイルが固着(こちゃく)していることが原因のこともあります。
ピストンを抜くことができれば、一度ピストンについている古いオイルを拭き取って、オイルを差し直してみましょう。
古いオイルを拭き取るには、以下のような専用の道具をおすすめします。
- ヤマハ オイルグリスクリーナー
- ヤマハ クリーニングロッド ピストン用
- ヤマハ ポリシングガーゼ
古いオイルを掃除する手順は以下のとおりです。
- ポリシングガーゼをクリーニングロッドに巻き、ピストンのバルブケーシング部分を拭く
- オイルグリスクリーナーを直接ピストンに差し、ポリシングガーゼなどの乾いた柔らかい布で古いオイルを拭き取る
- ピストンをバルブケーシングに差し込み、バルブオイルを数滴差す。
引用:ヤマハ 楽器解体全書
また、長く使っていなかった場合、錆(さび)が発生していることもあります。
上記の手順て改善しない場合はもちろん、ピストンが抜けない場合や、バネの部分に錆が確認できる場合には、修理に出すのが賢明です。
トランペットのピストンの動きが鈍い? バルブオイルを差してもダメなら修理に
動くことは動くけれど、動きが鈍い…。
そんなときはまずいつものようにバルブオイルを差しましょう。
単にオイルが足りていないことが原因なら、すぐに元通りに直るはずです。
ところが、場合によってはバルブオイルを差しても改善しないことがあります。
ピストンを押すときに真っ直ぐに押せていないと、ピストンとバルブケーシング(左手で持つ、ピストンが入っている部分)との間に摩擦が起きるなどして動きを妨げることがあるのです。
実は私もこれを経験しまして、リペアさんに修理していただくだけでなく、ピストンの押し方を修正せねばならず大変苦労しました。
後で少し触れますが、放置すればするほど深刻度が増します。
オイルを差したのに動きが鈍い場合や引っかかりを感じるなどの異変を感じたら、修理に出してリペアさんに相談することをおすすめします。
トランペットのピストンが動かない時、どこで修理してもらえる?
もし修理に出すことになった場合、学校や団体で専属のリペアさんがいればそのリペアさんに見ていただくのが一番早いです。
そういった馴染みのリペアさんがいない場合は、自分で楽器店などに持ち込むことになります。
まずは楽器を購入したお店や、普段よく行く楽器店で修理を受け付けているか確認してみましょう。
大抵は問題なく受け付けてもらえたり、紹介をしてもらえるはずです。
それでもどうしても見つけられない場合は、以下のような全国展開している大手の楽器店に相談してみましょう。
トランペットの手入れの仕方
今後またピストンが動かなくなるような事態を未然に防ぐため、日頃の手入れを見直すことも大切です。
毎日(演奏後)の手入れ
楽器から水分を抜く
チューニング管だけではなく、それぞれのピストンにつながっている抜き差し管からも水分を抜きます。
抜き差し管を抜くときは、必ずその管とつながっているピストンを押した状態で抜くようにしてください。
また、トランペット用のスワブやガーゼなどを使って楽器内の水分を拭き取ればなお良しです。
ピストンにはバルブオイルを差す
バルブオイルを差さないと、またピストンの動きが鈍る原因になります。
演奏後以外でも、こまめに差すように心がけましょう。
楽器表面の汚れを落としてからケースにしまう
楽器をきれいなクロスで拭き、表面の汚れを落とすようにしてから、ケースにしまうようにしてください。
定期的に行う手入れ
週に1度の頻度くらいで、マウスピースや抜き差し管、その他細かい部分などをしっかり掃除しましょう。
また、定期的に、ブラスソープなどを使用して楽器を洗うのも大切です。
ただし、吹奏感などに大きな違いが出るので、大切な演奏会の前などに洗うのは避けましょう。
この時、水に濡れると劣化の原因になる部品には注意をしてください。
コルクやタンポなどのついているウォーターキーなどの部分は、ラップなどでうまく保護をし、水に触れるのを防げるようにしておいたほうが良いでしょう。
引用:Yamaha_Japan
ピストンにも上部にはバネなどがついていますので、全洗いはしないように気をつけてください。
ピストンの分解をする人もいるようですが、私の場合、普段はピストンやバルブケーシングの汚れを取るくらいにとどめています。
まるまるきれいにしたい時は分解して、水につけても大丈夫な部分のみをブラスソープで洗っても良いかもしれませんね。
バルブオイルは楽器に合ったものを
普段使っているバルブオイルが今の楽器にあっているか、これを機会に確認しておくのも良いでしょう。
私は長年、好みで軽いオイルを使っていたのですが、ある時リペアさんからそのオイルが楽器に合っていないとご指摘を受けました。
調べてみて、長年使用している楽器には、粘度の高いオイルのほうが合っているということを初めて知りました。
目安としては、ピストンに縦の線が見えるようになったら摩耗が起きているサイン。
購入してからずっと同じバルブオイルを使っているようなら、一度見直しましょう。
以下の画像は私のトランペットのピストンですが、上部にかなり摩耗が起きていることがご確認いただけるかと思います。
今は粘度があり、愛用するBachの楽器と相性も良いといわれるHetmanのCLASSICタイプのバルブオイルを使っていますが、以前よりピストンの引っかかりがなくなりました。
楽器によって相性があるので、どのバルブオイルを購入するかは、修理に持っていったタイミングで相談してみると良さそうです。
なお、バルブオイルを変えることになったら、新しいバルブオイルを差す前に、必ずピストンとバルブケーシングの掃除をして古いオイルを拭き取ってくださいね。
トランペットのピストンが動かないについてのまとめ
今回はトランペットのピストンが動かないときの対処法をお伝えしました。
基本的には手入れをしても直らないときは修理に出すのが良いでしょう。
- 楽器に衝撃が加わった場合は無理せずすぐに修理へ
- 長期間使っていなった場合はまず手入れをしてみる
- オイルを差しても改善しない動きの異変は修理に出す
- 修理は馴染みの楽器店に相談する
- 定期的な手入れと、オイルの見直しを
トランペットはとても繊細な楽器ですが、大切に使えば長く相棒として活躍してくれます。
かくいう私のトランペットも、すでに手元に来てから20年以上経っていますが、安定したパフォーマンスを保ってくれています。
自分の演奏人生を支えてくれる相棒だからこそ、普段からの手入れも怠らず、大切に扱っていきたいものですね。