山手線と言えば、東京都心を一周しているいわゆる環状線です。
というのは、誰もが知っていることですが、実は、正確に言うと
これは正しくないということになります。
どういうことなんでしょう?
山手線は円を描いていないというのは本当?
正式は山手線は品川から田端の間だけ
あまり知られていないことですが、JRの各線には「線路名称」というものが
それぞれ定められています。
JRはこの「線路名称」に基づいて、売上の数字とか、乗客数を計算していています。
では、山手線の線路名称が実際にどうなっているかと言うと、
山手線=「品川駅を起点に新宿、池袋を経由して田端に至る20.6キロメートルの線区」
ということになります。
これ以外の区間、つまり田端から東京までの線路名称は東北本線
東京から品川の間は東海道本線となっているのです。
実際に乗車券にはそのように記載がされています。
それぞれの区間が、どのような場所かを考えてみれば、ある程度は納得
できるでしょう。
つまり、渋谷、新宿、池袋といった地域は東京の山の手だから、そこを
走る路線は山手線。
一方、田端、上野、東京、新橋あたりは、山の手に対して、下町に
なるので、それぞれ、東北本線や東海道本線となるわけです。
したがって、「山手線は東京都心をぐるりと1周している」というのは
正確な答えではない。
まあ、こんなことを言うと、ひねくれ者と言われかねないので、
時と場合を見て、考えたほうが良いとは思います。
線路名称というのは、歴史が古く、国鉄時代の「日本国有鉄道線路名称」という
なんとも厳しいもので制定されていて、分割民営化後のJRにも引き継がれています。
一部の例外を除くと、一つの区間に複数の線路名称が付けられることはありません。
結果的に、いわゆる通称と、線路名称が異なるという一見すると、ちょっとややこしい
問題が発生してしまっているのです。
とは言え、この辺の定義がキチンとされているため、世界一とも言われる、超過密ダイヤが
正しく機能しているので、線路名称を気にする必要はあんまりないかも知れません。