醤油と味噌、どっちが好き?
醤油も味噌も日本の家庭にならどこにでもある超一般的な調味料。あなたはどっちって答えますか?
愛知生まれ愛知育ちの私は圧倒的に味噌派です。愛知の人はなににでも味噌かけます。おでん、カツはもちろん、豆腐、野菜炒め、ご飯、本当になんでも。うちの母はハンバーグの隠し味にも味噌入れます。
愛知ではこんな感じで味噌が大定番ですが、他県ではそうでもないのかな?なんとなく半々か醤油派が多い気がします。
そんな醤油と味噌、見た目も味も全然違いますが、実は違うように見えて似ている部分も多いのです。材料だったり、起源だったり…まるで兄弟!
その不思議な関係性を見ていきましょう!
Contents
醤油と味噌のルーツは?
醤油と味噌のルーツは、古代中国の「醤(じゃん)」という醬油と味噌の中間のような調味料だったようです。
醤には肉醤(ししびしお)、魚醤(うおびしお)、草醤(くさびしお)、穀醤(こくびしお)という肉、魚、野菜、穀物をそれぞれ使った4種類があり、米・大豆・麦などの穀物を使った穀醤が醤油と味噌のルーツだと言われています。
醤油と味噌、どっちが先に生まれた?
先に生まれたとされるのは味噌。飛鳥時代に定められた大宝律令に「醤院(ひしおつかさ)」という大豆の醤などを保管していた建物があったと記載があります。当時は上流階級にのみ食べられていた貴重な調味料で、おかずとして食べられていました。
その後庶民にも広がり、鎌倉時代にはすでに味噌汁を飲む食習慣があり、室町時代には現在の味噌料理の多くが作られたようです。
醤油が初めてできたのは鎌倉時代。信州の禅僧、覚心が中国から持ち帰った径山寺味噌の製法を紀州の村人に教えているときでした。味噌からしみだしてきた液体をなめてみたら、とてもおいしい!これが今でいうたまり醤油だったようです。
なんと味噌を作る過程で偶然醤油が生まれたとのこと。しみだしてきた汁をよく飲んでみたな、と思いますよね。
醤油と味噌の原材料は?
醤油と味噌には同じく大豆と種麹が使われています。種麹とは、お米などに麴菌という細菌を培養させ乾燥させたもので、麹菌を供給する目的で使われます。
醤油は蒸した大豆と砕いて炒った小麦に種麹と塩水を加え、1年~3年発酵・熟成させ、それを絞ったものです。
味噌は蒸すか煮たあと潰した大豆と蒸した米に種麹、塩を加え半年~1年発酵・熟成させたものです。
醤油と味噌を大きく分ける〇〇とは?
原材料と製造工程はあまり変わらない二つですが、これを大きく変えるポイントがあります。
それはもろみを絞るか、絞らないかです。もろみとは、原料に麹を加えた状態のもののことをさします。
醤油はもろみを絞ることでタンパク質やデンプンなどの粒子の大きい固体はろ過され、液体になります。
一方味噌はもろみを絞らないため、タンパク質やデンプンを含んだ半固体状になります。
もろみを絞るか絞らないかの違いだけであんなに別物になるんですね。もろみ恐るべし…
醤油にはどんな種類があるの?
醤油は塩分の濃度や製法によって「白醤油」、「淡口醤油」、「濃口醤油」、「再仕込み醤油」、「たまり醤油」の5種類に分けられます。
①濃口醤油
濃口醤油は国内で生産される醤油の80%を占める最も一般的な醤油であり、レシピなどで「醤油」とされるのはこの濃口です。濃口といっても味が特別濃いわけではなく、色合いも塩分濃度も5つのうち真ん中です。
煮物や角煮など醤油の味をしっかりと感じたい料理に適しています。また、卓上で食材にかけるなど幅広く使えます。
②淡口醤油
淡口醤油は色味が薄いためそう呼ばれており、塩分濃度は濃口よりも高いです。関西が発祥といわれています。
野菜が多い煮物や炊き込みご飯など、醤油の味というよりは素材そのものの素朴な味わいを生かした、彩の良い料理に適しています。
③たまり醤油
たまり醤油はとろみがあるのが特徴で、主に中部地方で作られています。原料に小麦をほとんど使わずほとんどが大豆でできています。そのため大豆のタンパク質が多く含まれ、濃厚なうまみと香りがあります。
汁に浸すのではなくタレをかけて食べる「伊勢うどん」や寿司・刺身、照り焼き、佃煮など醤油をそのまま味わうような料理に適しています。
④再仕込み醤油
再仕込み醤油は食塩水の代わりに醤油を使って熟成されます。二度醸成するため再仕込みと呼ばれ、山陰や九州地方を中心に作られています。
濃厚な味わいがあるため、加熱する料理の味付けに使うよりも、刺身・寿司・豆腐などにそのままかけたほうが風味を味わえます。
⑤白醤油
白醤油は愛知県三河地方を中心に作られ、淡口よりも色が薄い醤油です。小麦を主な原料としており、薄い琥珀色にするために醸造時間を短くするなどの工夫がされています。
独特の香りと甘みをもつため、お吸い物、茶碗蒸しなど薄めの味で仕上げる料理に適しています。また、白醤油に出汁を加えたものが白だしです。
味噌にはどんな種類があるの?
味噌は種類が非常に多く、原材料、味、色などで分けられています。
原材料による違い
米を原料とする米麴を加えた「米味噌」、麦を原料とする麦麴を加えた「麦味噌」、種麹を付けた大豆で豆麹を培養する「豆味噌」、異なる種類の味噌や複数の麹を混合した「混合味噌」に分けられます。
①米味噌
米味噌は全国で生産されていて全体の8割を占める最もポピュラーな味噌です。
味噌煮や西京漬け、チャンチャン焼きなどに使われます。
②麦味噌
麦味噌は九州・中国・四国で多く消費される、麦の香りと甘みがある味噌です。鹿児島の薩摩汁、九州の冷や汁などに使われます。
③豆味噌
豆味噌は東海三県で多く消費される、濃厚な味噌です。味噌煮込みうどん、味噌おでん、味噌カツに使われます。これぞ名古屋のソウルフード!
味による違い
甘口、辛口と味によっても分けられます。甘さは大豆に対してどれくらいの割合で麹を加えたかを表す「麹歩合(こうじぶあい)」で決まり、辛さは食塩の量で決まります。
色による違い
仕上がりの色によって「白味噌」、「淡色味噌」、「赤味噌」に分けられます。一般的には熟成期間の長いほど赤みを帯びた濃い色になります。
適材適所で輝く!
醤油・味噌それぞれたくさんの種類があり、それぞれ特徴も異なります。料理に合わせたものを使うことで、より一層料理の味を引き立てるのですね。
醤油と味噌の違いって?実は兄弟⁉徹底的に比べてみました!のまとめ
ここまでさまざまな視点から醤油と味噌の関係性をみてきましたが、いかがだったでしょうか?
全く違うように見えて、実は原料や成り立ちは似ていたり、反対に同じ醤油・味噌でも多くの種類がありそれぞれ使い分けられていたり。
そんな醤油と味噌はまさしく兄弟のような関係であると言えるでしょう。味噌を作る過程で醤油が生まれたのだから味噌がお兄ちゃん、醤油が弟かな…?
普段何気なく使っている調味料に興味を持ってみると、また違った発見ができて面白いですよね。
これからの食事で醤油と味噌が出てきたとき、「そういえばこの二つって兄弟なんだよな…」と思い出していただけると嬉しいです!
ここまでお読みいただきありがとうございました!ではまた!!