最近は横書きで書く場合が多いですが、のし袋やハガキで書くときには縦書きを選びますよね。
そこでいざ書こうとして悩んでしまうのが「0の書き方」。0を書く場合、縦書きでは「〇(ゼロ)」とするのをご存知ですか?
またのし袋は、普通と異なる漢数字を使っていると思いますが、何のためにこうした文字を使うのかを考えてみたことはありますか?
今回の記事は、縦書きにおける漢数字の使い方や、横書きでも漢数字を使う例について調べてみました。
Contents
漢数字における縦書きの種類について
よく使うけどあまり考えたことがない数字の種類について、まずおさらいをしましょう。
数字の種類
現在、日本で使用されている数字には、次の2種類があります。
①アラビア数字
1つ目は「アラビア数字」で、算用数字とも呼ばれています。
例:0123456789
②漢数字
2つ目は「漢数字」ですが、漢数字にも2種類あるのです。
1つ目は大字(だいじ)と呼ばれる旧字体の数字なのですが、まるでアルファベットの大文字みたいですよね。
例:壱、弐、参、肆、伍、陸、漆(質)、捌、玖など
こちらは、のし袋などで使う正式な漢字なので、ハガキなどでは使用しません。
2つ目は一般的に使われている「一」といった漢字です。こちらは色んな場面で使われていますね。
例:零(〇)一ニ三四五六七八九など
数字での2種類の書き方
一般的な漢数字には、実は2種類の書き方があります。
①命数法
命数法とは、言葉で呼んだままに書くということです。
例:403→「四百三」、3081→「三千八十一」
②記数法
記数法とは、数字をそのまま書いていく方法です。
例:403→「四〇三」、3081→「三〇八一」
これらは、無意識に使っていたという方が多いのではないでしょうか?ちゃんと読み名があったのも驚きですね。
漢数字における縦書きの方法・のし袋やご香典の金額編
先程も述べたように、のし袋に封入する金額を縦書きで記載するには「大字」を使います。
大字を使う理由は、普通の漢数字だと改ざんすることが可能だからです。
例えば一だったら、二や三にも書き換えることができますよね。改ざんを避けるためにわざわざ大字を使用するのです。
ですので、正式な領収書や契約書には大字が用いられています。大字は8世紀頃から、戸籍などの公式文書で使われてきた歴史のある漢数字なのです。
まず頭には「金」をつけ、その間に金額を入れて、最後は「圓」でしめます。
金額には、1→「壱」、2→「弐」、3→「参」、5→「伍」、10→「拾」、100→「百」、1,000→「阡」、10,000→「萬」を使います。
4や9も大字は存在しますが、のし袋・ご香典には使いません。具体的な記入例は以下の通りです。
【のし袋の金額・記入例】
・3,000円→「金参仟圓」
・5,000円→「金伍仟圓」
・30,000円→「金参萬圓」
・50,000円→「金伍萬圓」
・100,000円→「金壱拾萬圓」
※「圓」は円の大字、「萬」は万の大字
よく迷うのが、最後に「也」を付けるか付けないかですが、どちらでも問題ありません。
金額の欄が印刷されており、それが横書きだった場合は、漢数字で書いてよいのかどうか迷いますよね。
もちろん横書きであっても漢数字を使って構いませんが、アラビア数字で記すなら¥30,000−という風に書きます。
頭には「¥(円)」、最後に「-(ハイフン)」を入れるのは、訂正させないためです。そして「-」も「也」も、端数はないという意味で記載します。
漢数字における縦書きの方法・ハガキの住所と日付編
ハガキは宛名が表面、デザインが裏面となります。裏面が縦書きなら宛名も縦書きに、裏面が横書きなら宛名も横書きにする方が読み手もストレスなく読めます。
しかし、目上の方に出すハガキの場合は、縦書きを使うのが正式です。この時の数字は大字でなく、普通の漢数字を使います。
住所を漢数字で書くときの注意点
では実際に、ハガキに住所を書いた時の例を使って説明しますね。縦書きでも郵便番号の場合は、アラビア数字で記入する方が多いですよね。
縦書きする場合は、図①のようにアラビア数字で書いても良いのですが、数字が多い番地となると違和感があります。
そこで、先程お伝えした「命数法」で書くと、図②のようになります。
これは桁が多すぎるし、分かりにくいので郵便局の方に迷惑ですね…。
よって住所の縦書きでは、図③の「記数法」が一番スッキリと見えるのではないかと思います。
番地を分けるものは「の」でなくて「−(ハイフン)」でも、もちろん大丈夫です。
また、できるだけ正式な住所で書きたいものですが、番地の表記は自治体によってバラバラで、アラビア数字も漢数字もあるそうです。
但し、不動産登記での住所は、全て漢数字を使用しています。
ともかく、郵便局の方に迷惑をかけてしまう恐れがあるので、特に間違いやすい一やニなどの表記は、離して書くなど気をつけましょう。
日付を漢数字で書くときの注意点
次に、年賀状の裏面に記載する日付についてはどうなるでしょう?
平成31(2019)年1月1日を例にして考えてみましょう。
【年号の例】
○平成三十一年一月一日
○平成三十一年 元旦または元日
✕平成三一年一月元旦または元日
【西暦の場合】
○二〇十九年一月一日
○二〇十九年 元旦または元日
△二千十九年 元旦または元日
✕二千十九年一月元旦または元日
一部△としているのは、こちらでも必ずしも間違いではないからですが、しかし多少の違和感があります。
元旦は一月一日の朝、元日は一月一日そのものを指すため、一月元旦といった使い方はしません。
あらかじめ1日に届かないことがハッキリしている場合には、一月吉日や初春などと書きます。
ハガキにおける漢数字の書き方には、ハッキリした決まりはなく、結果的には見やすさが優先されているように思われます。
漢数字における縦書きの方法・退職届の日付編
仕事を辞めるときに書く退職届は、縦書きが基本です。退職届には日付を記載しますが、それは年号でも西暦でも構いません。
しかし退職希望日と退職届提出日を両方書くと思いますので、年号か西暦かの表記の統一はしましょう。
例えば、平成30(2018)年4月23日の例で考えてみましょう。
【年号の例】
○平成三十年四月二十三日
○平成三〇年四月二十三日
△平成三十年四月二三日
【西暦の例】
○二〇一八年四月二十三日
△二〇一八年四月二三日
△二千十八年四月二三日
このように、年号や日付の場合は命数法、西暦の場合は記数法が良いということになります。
書き方についてのハッキリした決まりはないものの、日付の場合は次の2点に気をつけて記載すると良いでしょう。
①2桁は「十」の単位がある方が読みやすくなる
②3桁以上の場合「千」「百」と表記すると、文字数が長くなるので読みにくいので止めたほうがよい
漢数字とアラビア数字の使い分けについて
ざっくり言えば横書きはアラビア数字、縦書きは漢数字というイメージを持っていると思いますが、横書きでも必ず漢数字を使うときがありますよね。
横書きでも漢数字を使う場合
そこで、どういった分け方がされているのか調べてみました。
●アラビア数字:数えられる数字、数量、順序
例:1学期、2階、4人、50g、100ccなど
●漢数字:慣用句、ことわざ、熟語
例:一石二鳥、三人寄れば文殊の知恵、三角形、一か八か、七福神など
確かに「百cc」とか「1か8か」だったら違和感があります。
アラビア数字の場合は、他の数字に置き換えても意味が変わらないものという覚え方をしておけば良いでしょう。
数量が多い時の表記
のし袋に金額を表記するときは大字でしたが、他にも数量を書く場面はたくさんありますね。
横書きでは、基本アラビア数字で3桁ごとにカンマを入れます。しかし大きい数字になるとパッと見て読みにくいですよね。
ですので4桁を超えると、漢数字混じりで次のような表記にするのが一般的です。
例:1,020個、1万5203円、1億2300万人
繰り返す数字の表記
これはどういうケースなのかというと、「ひとりひとり」「ひとつひとつ」など、数字が繰り返し使われる場合です。
もちろん、ひらがな表記でも良いのですが、横書きでも縦書きでも「一人ひとり」「一つひとつ」と書くのが一番良い気がします。
表記に迷う数字の表記
こちらは「いちど会ったことがある」や「4年にいちど」についてはどう表記するかという問題です。
「一度会ったことがある」や「4年に1度」が個人的にはシックリきます。ですが「1度会ったことがある」や「4年に一度」でも、間違えではないと思われます。
このように、場合によっては横書きでも漢数字を使ったりします。ネイティブでも日本語は難しいと思いますね。
【漢数字における縦書きの使い方】金額・住所・日付で使える知恵のまとめ
- 日本で使用される数字には、アラビア数字と漢数字がある
- 漢数字にも、のし袋で使う大字と、普通の漢数字がある
- 漢数字にも、命数法と記数法という書き方がある
- のし袋に使う大字は8世紀から公文書などで使われている
- 年号や日付は命数法、西暦は記数法が良い
- 横書きだからといって全てアラビア数字を使うわけではなく、慣用句などは漢数字を使うため注意が必要
今回は漢数字の縦書きについて考えてみました。普段何気なく使っている数字には、意味を持っていたのですね。
とはいえ、書き方には曖昧な部分も多くて、改めて日本語は難しいと感じました。
しかし一番大切なのは、相手に負担なく言葉が届くことだと思います。そのためにも相手が読みやすい数字を使っていきたいですね。