自衛隊のレンジャー。屈強のソルジャーという感じですが、その訓練は大変厳しいと言うかきついということでよく知られています。
ところで、その訓練を指導する教官というのは、どんな方が務めておられるのでしょう。
レンジャーを育てるレンジャー。ひょっとするとレンジャーを超えるレンジャーなのかもしれません。詳しく見ていきましょう。
Contents
レンジャーの教官はどんな人
レンジャーの教官にはどんな人がなるのか
自衛隊レンジャーの教官は、当然、レンジャー養成訓練の全過程を優秀な成績で終了し卒業した人の中から選ばれます。
レンジャー養成訓練を終了したら、誰でもなれるというわけではありません。その中で優秀な方が選抜されて教官になります。
当然、レンジャー訓練の各メニューは、かなり高いレベルで実践することが可能ですが、流石に余裕でこなせるかというと、そこまでは行かないと言われています。それだけレンジャー訓練が極限を求められる訓練であり、極限まで追い込むことをある意味求められているため、余裕があってこなせてしまうと、訓練にならないという側面もあるようです。
自衛隊レンジャーの教官には、どんなことが求められるのか
教官といえば、レンジャーに限らず、人を指導する立場の方ということになります。
一番必要とされるのは、その指導力です。率先して行動して能力を発揮できることが必要となり、訓練の中では、実習生よりも、大きな声を張り上げて、チームを鼓舞するといったことも必要となります。
よくある話ですが、スポーツ選手の優秀な選手が、必ずしも優秀なコーチや、監督にならないのと同様、レンジャーの養成課程で優秀な成績であった方であれば、誰でも優秀な教官になれるということではありません。
自衛隊レンジャーの教官になるための教育について
自衛隊レンジャーの教官になるための教育というのは、通常のレンジャーになるための教育を一通り受けた後、「幹部レンジャー課程」を、陸軍自衛隊富士学校(静岡県駿東郡小山町須走481-27)で受講する必要があります。
いわゆる、自衛隊の富士駐屯地の中にある、陸上自衛隊富士学校で各種教育が実施されます。
通常のレンジャーになるための訓練期間が9週間なのに対し、教官になるための幹部レンジャー課程は13週間に及びます。
自衛隊レンジャー教育課程の目的について
陸上自衛隊では、レンジャー教育課程の目的について、下記のように定められています。
レンジャー課程・教育は、実戦的環境下で段階的に与えられる困難な想定を克服して、自ら進んで難局にあたる気風を醸成し、旺盛な責任感と体力の限界においても任務を完全に達成する俯仰不屈の気力を涵養する。
この目的にそって、各種教育がプログラムされており、そのベースはアメリカ陸軍の訓練をベースにしています。
通常のレンジャーになるための教育課程は下記の通りになり、第一想定から第九想定までの各種の状況を想定した訓練がなされますが、教官になるためにはこの過程に追加して、様々な環境に適合するための追加の想定が存在します。
このため、通常の課程が9週間で終わるのに対して、教官向けの課程は13週間かかることとなります。
自衛隊レンジャーの教育課程について
レンジャー行動一般についての教育
- レンジャー行動一般 - 潜入・襲撃・伏撃・命令および報告(2時間)、レンジャー行動要領(20時間)
レンジャー基礎行動について
- 第一想定 - 敵第一線の地域偵察として錯雑地を約5キロメートル行動(14時間)
- 第二想定 - 敵第一線の火砲陣地などへの襲撃、錯雑地を約5キロメートル行動(16時間)
- 第三想定 - 車両縦隊に対する伏撃、錯雑地と森林を約10キロメートル行動(16時間)
レンジャー応用行動について
- 第四想定 - 補給品集積所への襲撃、錯雑地と山地を約15キロメートル行動(24時間)
- 第五想定 - 分散潜入して指揮所襲撃、山地を約20キロメートル行動(28時間)
- 第六想定 - 空水路潜入で橋梁爆破、山地を約20キロメートル行動(28時間)
総合行動 - 第七想定 - 捕獲を目的とする車両縦隊の伏撃、森林と山地を約35キロメートル行動(32時間)
- 第八想定 - 地域偵察およびゲリラ拠点への襲撃、急峻な山地を約40キロメートル行動(50時間)
- 第九想定 - 徒歩部隊に対する伏撃と交通施設の破壊、山地と密林、空水路を含む50キロメートルを行動(66時間)
- なお応用行動以降、食料の携行量は徐々に減らされていき、第四想定からは2/3、第六想定からは1/2、そして第七想定からは1/3となる
自衛隊レンジャーの教官はどんな人についてのまとめ
自衛隊レンジャーの教官はどんな人なのかということについてまとめましたが、
まず、普通にレンジャーになっていなければならない、その上で、より長期間に渡る幹部レンジャー課程を終了していないといけない、といったことから、やはり、教官は、レンジャーを超えるレンジャーなのではないかと思います。
本当は、こういったレンジャーのような方が活躍するような戦争や、災害は起きて欲しくないものですが、不測の事態においては、尊敬の眼差しを持って応援させていただきたいと思います。