太陽の眩しい光や紫外線から目を守るサングラス。
お洒落さんには欠かせない、ファッションアイテムでもありますよね。
でも、そんなサングラスを必要とする病気があるのをご存じでしょうか?
私のお友達にもいるのですが、子供の授業参観や式典など、通常サングラスをしないであろう屋内でも、サングラスをつけなければいけないのです。
他にも目の病気予防、目の治療、目の検査の時なんかにも使うこともあるんです。
そんな「サングラスが必要な病気」とはどんな病気なのか。
今回は目の病気について調べてみました。
Contents
サングラスが必要な目の病気は難病の網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)
網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)とは、いわゆる夜盲(やもう)、鳥目(とりめ)と呼ばれる目の病気です。
暗い所で物が見えにくくなったり、視野が狭くなったりしてしまう、網膜に異常な色素沈着が起こる病気で、発病頻度は人口【3,000人~8,000人に一人】の割合で、遺伝による発病がほとんどです。
網膜色素変性症は、紫外線を含めた強い光を浴びることで進行が早まる可能性があり、屋外活動を避けたりするだけでなく、屋内でもサングラス、正確に言うと遮光眼鏡をして目を保護する必要があるのです。
原因となる遺伝子の種類も複数あり、症状も夜盲(鳥目)、視野の狭窄、視力低下など、色々な症状があるのも特徴です。
発症年齢は個人差が大きくて、子どもの頃から症状が出る場合や、40歳前後になってから症状がでる場合もあり、男女の差もほとんどない病気なのです。
引用:窪田製薬ホールディングス株式会社
夜盲(やもう)
夜盲とは鳥目といわれる症状で、専門的には暗順応障害(あんじゅんのうしょうがい)と言います。
夜盲症は、暗順応が出来なくなったために起こる症状なのです。
明るい所から急に暗い所に入ると(映画館など)すぐには見えませんが、徐々に目が慣れてきて次第に見えるようになりますよね、その過程を暗順応といいます。
人間の目は、違う明るさのなかではたらく2種類の細胞を網膜に持っていて、異なる明るさの環境のなかで物を見ています。
主に、明るい所ではたらく錐体細胞(すいたいさいぼう)と、暗い所ではたらく杆体細胞(かんたいさいぼう)、この2種類の細胞のおかげでいろいろな明るさのなかで物を見ることが出来ているのです。
錐体細胞と杆体細胞が上手に切り替えをしてくれるので、真夏のギラギラした太陽の下でも目がくらんで見えないということはなく、夜中の月明り程度でも見ることが出来ます。
網膜色素変性症は、まず杆体細胞がに支障がでるので、初発症状としては暗闇で見えにくい、視野が狭くなるといった症状が出ることが多いようです。
引用: Wikipedia
視野の狭窄
視野が狭くなったり中央しか見えなくなる人が多く、逆に中央のみが欠けたり、下側だけ残ることもあり、視野の狭窄には個人差があります。
視野の狭窄は、まれに初期段階で見られることもありますが、通常はある程度病状が進行してから症状が出る事が多いようです。
視力低下
病気がさらに進行すると、視力が低下し文字が読みにくくなったり、物がかすんで見えるといった症状が出てきます。
個人差がありますが、まぶしさを感じたり、全体的に白っぽく見えたり、視界で光が明るくなったり暗くなったりするといった症状が出る事もあります。
網膜色素変性症は治る?治療方法は?
医学書や眼科の先生の話などでは「治療法は確立されていない」と解説されていることがほとんどです。
ですが、病気の進行がとてもゆっくりで、1年単位で症状が進むことはほとんど無くて、5年位でやっと視野狭窄の進行を確認出来る程度なのです。
遮光眼鏡で目を守ったり、ベータカロテンの一種の内服やビタミンAの内服、循環改善薬の使用などが一般的ですが、いずれも期待されるほどの効果をあげているとは言えないのが現状です。
現在、進行を遅らせる治療方法として、iPS細胞や人工網膜などの研究が進んでいて、実用化が期待されているのです。
1番の治療方法は進行を遅らせる事です
この病気は遺伝子が関係しているので、根本的な治療方法がないのが現状ですが、強い光を避ける事で進行を遅らせる事が出来ると言われています。
ポイント
- 長時間の屋外作業などを避けるために、職業や部活動など屋内で出来るものを選ぶなど、強い光を避ける生活を心掛ける。
- 眼科を受診して、きちんと処方される薬を内服する。
- 白内障や緑内障を併発しやすいので、これらの病気が併発していたら、白内障や緑内障の治療を優先して行う。
- スマホやパソコンなどは、ブルーライトカットのフィルムなどを活用して、網膜にブルーライトが当たらないよう工夫する。
サングラスが必要な病気は他にもある!予防や治療にも使うんです
紫外線を原因とする目の病気には、「強い光を目に浴びること」がとても関係してきます。
白内障、緑内障、黄斑変性症など、眩しさを強く感じる目の病気や、目の治療や保護にもサングラスが有効です。
太陽の紫外線は、黄斑部網膜(おうはんぶもうまく)や水晶体にダメージを負わせて、白内障や黄斑変性症などの病気を引き起こします。
紫外線を長く浴びすぎると、目が充血したり異物感を覚えたり、涙が止まらなかったり目が乾いたり、そんな違和感が感じる人も多いですよね?
このようなダメージは目の酷使につながり、間接的に目に悪影響を与える可能性があるのです。
又、紫外線などの光だけでなく花粉やホコリなど、将来目の病気を引き起こす原因物質から目を保護するという役割や、白内障などの目の病気の手術後は、とてもデリケートな状態であるため、ほこりや空気中の刺激物質を防いだり、傷口からの感染症を防ぐためにもサングラスが必要な場合が多いのです。
屋内だからと安心は出来ません。
私たちの生活に密接している「スマホ」や「パソコン」。
スマホやパソコンのブルーライトは、長時間使う人が多いため、目に悪い影響を与えがちです。
パソコンやスマホなどのディスプレイや、LED照明なんかにも多く含まれていています。
ブルーライトを遮断するためにも、パソコンやスマホ画面にブルーライトをカットするフィルムを貼ったり、ブルーライト対策用メガネを着用するのが良いでしょう。
具体的にどんな病気があるのか調べてみました。
白内障(はくないしょう)
白内障とは、カメラでいうレンズの役割を果たす水晶体が濁ってしまい、濁った水晶体で光が散乱してしまうため、ものが霞んだり二重に見えたりして、明るい場所に出ると眩しくて見えないなどの症状があります。
加齢に伴って発症する病気で、80歳を超えるとほとんどの人が白内障の状態になると言われてて、放置さえしなければ失明するような病気ではありません。
白内障の初期は視力が落ちる事が多いようですが、メガネを作りなおしたりコンタクトレンズを交換しても、視力が回復せず、特に、夜間に強い光を見た場合などは眩しく見える場合があります。
夜間の車の運転中に街頭の光を見たり、対向車のヘッドライトが通常より眩しく感じた場合は、白内障の可能性もあるので検査が必要です。
緑内障(りょくないしょう)
視野や視力に障害が起こる病気で、日本での失明原因【第1位】の病気です。
緑内障にはいくつかの種類があり、治療の方法もそれぞれ違うので、それぞれの症状を見てみましょう。
原発閉塞隅角緑内障(げんぱつへいそくぐうかくりょくないしょう)
視界の角度が狭いか、閉じるかしてしまい、角膜と水晶体の間と、虹彩と水晶体の間を満たす透明な液体がうまく排出できずに眼圧が上がり視神経が痛んでしまう病気です。
原発開放隅角緑内障(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)
視界の角度は狭くないのですが、 角膜と水晶体の間と、虹彩と水晶体の間を満たす透明な液体の排出口の網目(フィルター)である線維柱帯が目詰まりを起こし、眼圧が上がってしまう緑内障です。
日本人の緑内障ではこのタイプが最も多く、さらにこのタイプの中でも「正常眼圧緑内障」と呼ばれる、眼圧が正常範囲の緑内障が多いのも特徴です。
引用: MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)
その他の緑内障
その他の緑内障とは、目や体になんらかの病気があり、それが原因で発症する続発緑内障や、生まれつき視界の片隅に異常がある発達緑内障などがあります。
視神経に異常が起こり、目で見た情報がうまく脳に伝わらなくなって画像を認識できなくなります。
黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)
目の網膜の中にある「網膜黄斑部」の機能が低下して起こる病気で、視界が歪んだり、視界の中心部が見えづらくなります。
加齢黄斑変性は萎縮型と滲出型の2種類あり、萎縮型は加齢によって網膜の組織が萎縮することで、網膜とその中になる黄斑が障害され視力が段々と低下していきます。
滲出型は、網膜の下にある脈絡膜に新生血管が生じて、網膜へ血液中の成分が漏れ出したり、新生血管が破れて出血が起こったりなどして網膜が傷つけられる病気です。
黄斑変性症は、50歳以上では【100人に1人程】の割合で発症していると言われていて、60~70歳代の中高年に最も多くみられます。
欧米では失明原因の第1位と言われるほど多い病気ですが、昔は日本人には珍しい病気とされていました。
ですが、高齢化や目の健康に影響を与える環境の変化、食生活の欧米化などによって増加傾向にあり、近年は中途失明の原因の上位になりつつあります。
網膜色素変性症のサングラスに必要な条件は?室内でも使える遮光眼鏡との違いは?
サングラスと遮光眼鏡は性能が全く違うものなのです。
網膜色素変性症だけでなく、目の病気や治療には遮光眼鏡をおすすめします。
サングラスとはファッション目的で使われることが多いですが、目に入る可視光線を全て均一にカットします。
お洒落だし紫外線をカットしてくれるのはいいのですが、光の成分をほとんど減らしてしまうので、眩しさを抑えることは出来るのですが、それと同時に暗くなってしまう特徴を持っています。
一方、遮光眼鏡は眩しいと感じやすい「特定波長」を効率よくカットして、あまり暗くならないようにしながら、眩しさを軽減してくれるというのが最大の特徴なのです。
遮光眼鏡は色目がかなり薄いものでも眩しさは少なく、紫外線も完全にカットされ、室内でも暗くならずに使える高機能なサングラスとも言えるのです。
また、眩しさを抑えるだけではなく、色々な疾患が原因で起こる「視界の白っぽさ」も解消し、コントラストを上げるという効果も持っています。
サングラスが必要な病気なら補装具費支給制度で遮光眼鏡を作ろう
網膜色素変性症は、特定疾患治療研究の対象疾患なので、補装具として認められ、最寄りの市町村で費用を負担してくれる制度「補装具費支給制度」が適用されます。
遮光眼鏡を作るのに、特別な手続きは必要なく、普通のメガネを作るのと変わりなく処方箋が無くても自由に作る事は出来ますが、遮光カラーのサンプルを持っている眼科か眼鏡店でないと色を決めることが出来ないのです。
眼鏡店に直接行っても良いですが、眼科を受診して補装具費支給制度が利用出来るか確認してみることをおすすめします。
補装具とはどんなもの?
補装具とは、身体の欠損部分または損なわれた身体機能を補完・代替する用具の事を言います。
補装具については、3つの要件を全て満たすものとされています。
3つの要件
- 身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替するもので、障害別に対応して設計・加工されたもの。
- 身体に装着(装用)して日常生活又は就学・就労に用いるもので、同一製品を継続して使用するもの。
- 給付に際して専門的な知見(医師の判定書または意見書)を要するもの。
補装具一覧表
補装具には様々あり、遮光眼鏡以外にもあるんです。
参考までに見てみましょう。
視覚障害
種目 | 種類 |
盲人安全つえ | 普通用、携帯用、身体支持併用 |
義眼 | 普通義眼、特殊義眼、コンタクト義眼 |
眼鏡 | 矯正眼鏡、コンタクトレンズ、遮光眼鏡、弱視眼鏡(掛けめがね式、焦点調節式) |
聴覚障害
補聴器 | 高度難聴用ポケット型、高度難聴用耳かけ型、重度難聴用ポケット型、重度難聴用耳かけ型、耳あな型(レディメイド)、耳あな型(オーダーメイド)、骨導式ポケット型、骨導式眼鏡型 |
肢体不自由
義手 | 肩義手、上腕義手、肘義手、前腕義手、手義手、手部義手、手指義手 |
義足 | 股義足、大腿義足、膝義足、下腿義足、果義足、足根中足義足、足指義足 |
上肢装具 | 肩装具、肘装具、手背屈装具、長対立装具、短対立装具、把持装具、MP(屈曲及び伸展)装具、指装具、BFO(PSB含む) |
下肢装具 | 長下肢装具、短下肢装具、足底装具、股装具、膝装具、ツイスター |
体幹装具 | 頚椎装具、胸椎装具、腰椎装具、仙腸装具、側弯矯正装具 |
靴型装具 | 長靴、半長靴、チャッカ靴、短靴 |
座位保持装置 | |
車椅子 | 普通型、リクライニング式普通型、ティルト式普通型、リクライニング・ティルト式普通型、手動リフト式普通型、前方大車輪型、リクライニング式前方大車輪型、レバー駆動型、リクライニング式片手駆動型、片手駆動型、手押し型、リクライニング式手押し型、ティルト式手押し型、リクライニング・ティルト式手押し型 |
電動車椅子 | 普通型(時速4.5キロメートル、時速6キロメートル)、リクライニング式普通型、電動リクライニング式普通型、電動リフト式普通型、電動ティルト式普通型、電動リクライニング・ティルト式普通型、簡易型 |
座位保持椅子 | (児童のみ対象) |
起立保持具 | (児童のみ対象) |
歩行器 | 六輪型、四輪型(腰掛つき、腰掛なし)、三輪型、二輪型、固定型、交互型 |
歩行補助つえ | 松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、多点杖、プラットホーム杖 |
重度障害者用意思伝達装置 | 文字等走査入力方式、生体現象方式 |
排便補助具 | (児童のみ対象) |
頭部保持具 | (児童のみ対象) |
補装具費支給制度を使うには?
補装具費支給制度を申請するためには「医師の意見書・処方箋」が必要です。
対象になるか、次の項目をチェックしてみましょう。
対象者
- 羞明(しゅうめい…強い光を受けた時に不快感や眼の痛みなどが生じること)があること。
- 羞明の軽減に遮光眼鏡の装用より優先される治療法がないこと。
- 補装具費支給事務取扱指針に定める眼科医による選定、処方であること。
補装具費支給制度で遮光眼鏡を作ってみよう
補装具の遮光眼鏡には、購入や修理にかかった費用から、所得に応じた自己負担額を差し引いた額を補装具費として市町村から支給される制度があるんです。
利用料
- 自己負担の上限額が、世帯の収入等によって次のように決められています。
- 生活保護世帯… 0円
- 市町村民税非課税世帯… 0円
- 市町村民税課税世帯… 37,200円
- ただし、上限月額よりも補装具に係る費用の1割の金額の方が低い場合には、その金額を支払います。
- なお、利用者または世帯員のうち、市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合は、全額自己負担となります。
市町村によっても違いがあるので、お住まいの市町村(社会福祉事務所)窓口で必ず確認してみましょう。
サングラスが必要な病気は難病の網膜色素変性症だけじゃない‼まとめ
- サングラスが必要な目の病気は難病の網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)です。
- サングラスが必要な病気は他にもあり、目の病気予防や治療にも使う場合があるんです。
- 網膜色素変性症にはサングラスではなく、遮光眼鏡を使いましょう。
- 網膜色素変性症なら補装具費支給制度で遮光眼鏡を作りましょう。
難病の網膜色素変性症には、サングラスに似ている遮光眼鏡、医療に使われる高性能のサングラスが必要でした。
他にも、白内障などの眼病にも使われていて、屋外でも屋内でもつけなければいけない事も分かりました。
私の娘は6歳の時「弱視」と診断を受け、視力検査の為に目の瞳孔を開く薬を投与され、瞳孔が開きっぱなしなので、まぶしくて目が開けられないために、点眼した日から2日間サングラスをかけて学校に行きました。
小学生がサングラスで登校、好奇の目で見られたことも覚えています。
でも、きちんと眼科を受診して、先生の助言があったから知れたことで、そうでなければ知らずに過ごしていたかもしれません。
その時も、弱視の眼鏡を作るのに「補装具費支給制度」で費用を負担してもらったことに感謝しています。
どんな場面でもサングラスをかけなければいけない病気があり、ここでは外した方が…と思うこともあるでしょう。
テレビに出てくるタレントさんでも、通年サングラスをかけている人がいますよね?
あんな風に自然にサングラスをかけられたら素敵ですよね。
そんな場面に出会ったら、好奇の目で見ることなく、自分たちと同じように快適に生活が出来るようにサポートしてみませんか。