日本での野生動物による死亡事故で1番多いのは、なんとハチなのです!
みなさん、ご存知でしたか?
クマでもサメでもヘビでもないのです。
たしかに、日常生活をしていて、ハチは遭遇率が高いですよね。なので、納得といえば納得ですね。
ハチの危険性は人を刺すということです。
ハチに刺されてしまうと、とても痛く患部が赤く腫れ上がってしまいます。
中でもスズメバチは超危険な最凶生物と言っても過言ではありません。
そんなスズメバチですが、スズメバチの毒の成分とはなんなのでしょうか。
最悪の場合、死に至ることもありますが、刺された場合の症状にはどんなものがあるのか、そして刺された時の対処法とは!
スズメバチについてまとめてみました。
Contents
ハチの種類とスズメバチの毒の成分
ハチの毒はハチの体内で作られた化学物質なんです。
いろんな成分がブレンドされており、「毒のカクテル」とも言われています。
これを聞くだけで、怖いですよね。
人を指すハチ、刺さないハチ
まず、はじめにハチの種類を紹介します。
日本には現在、なんと4000種類ものハチが生息しています。
ハチと言えば、毒針を持っており、攻撃的で人間を襲ってくるというイメージがありますが、実は人を刺さないハチも存在します。
そもそもハチの針は、産卵管または産卵管が変化したものなのです。
ではどんなハチが人を刺さないのでしょうか?
それは、「広腰亜目(ひろこしあもく、こうようあもく)」と言われる、針を産卵管として使っている種類のハチです。
この種類のハチの特徴は、胸部と腹部の間にくびれがないことです。
具体的な広腰亜目のハチは、ハバチやキハチなどです。
そして次に、人を刺すハチですが、「細腰亜目(ほそこしあもく、さいようあもく)」と言われる種類のハチです。
このようなハチでも、ほとんどのハチの産卵管は人の皮膚に刺さるほど丈夫ではありません。
しかし、一部の大きなハチは人の皮膚にも刺さってしまいます。
カリバチ(ベッコウバチ、ジガバチなど)、ハナバチ(コハナバチ、クマバチなど)は単独で行動するハチなので、人間から攻撃しない限り、ハチから襲ってくることはほとんどありませんが、これらのハチの針は人間の皮膚に刺さってしまいます。
スズメバチやアシナガバチ、ミツバチは、女王を中心として社会を構成しているハチなので、針を巣を守るための武器として使っています。そのため、場合によってはハチから人間を襲ってくることもあります。
細腰亜目のハチの特徴は、胸部と腹部の間にくびれがあることです。
このくびれは、毒針を獲物に刺すことに特化した形なのです。
人を刺すハチの毒の成分
毒の成分はハチによってことなりますが、大きくわけて4種類あります
①アミン酸 | ②低分子ペプチド類 | ③酵素類 | ④非酵素系神経毒 | |
スズメバチ | ヒスタミン、セロトニン、ポリアミン、アセチルコリン、カテコールアミン | ハチ毒キニン、マストパラン、白血球遊走ペプチド | ホスホリパーゼA、ヒアルロニダーゼ、プロテアーゼ | |
オオスズメバチ | ヒスタミン、セロトニン、ポリアミン、アセチルコリン、カテコールアミン | ハチ毒キニン、マストパラン、白血球遊走ペプチド | ホスホリパーゼA、ヒアルロニダーゼ、プロテアーゼ | マンダラトキシン |
アシナガバチ | ヒスタミン、セロトニン、ポリアミン | ハチ毒キニン、マストパラン | ホスホリパーゼA、ヒアルロニダーゼ | |
ミツバチ | ヒスタミン、ポリアミン | メリチン、アパミン、MCDペプチド | ホスホリパーゼA、ヒアルロニダーゼ |
痛みの原因となるのはアミン類で、スズメバチはアミン類を多く含んでいます。
また唯一、スズメバチの中でもオオスズメバチは、非酵素系の神経毒、マンダラトキシンを含んでいます。
スズメバチの攻撃方法と毒針の仕組み
まず、スズメバチは攻撃をする前に、人間の周りをまとわりつくように飛んだり、アゴを「カチカチ」と鳴らして威嚇行動をしてきます。
威嚇行動を無視していると、攻撃をしてきます。
スズメバチは時速30〜40キロで飛行しますので、走って逃げることは難しいですし、走って逃げてしまうととスズメバチを刺激するため、よりいっそうスズメバチの攻撃性を高めてしまいます。
そして、体が攻撃対象にぶつかると瞬時に毒針を出して毒を放出します。
スズメバチの針は1本の針でできているわけではなく、中心に針があり、その針の周りをノコギリのようなギザギザした2本のやさが守っているという構造です。
またミツバチは1回刺すと針が抜けず死んでしまいますが、スズメバチは針に「かえし」がついていないので、何度も抜いて刺すことができるのです。
さらに、針を刺すと同時にアゴで噛み付いてきますので、刺されて払おうとしても、なかなか払うことができません。
また、厄介なことにスズメバチは攻撃対象と認識した相手はしつこく追いかけてくる習性があります。
逃げても逃げても追いかけてくるなんて、怖すぎませんか?
スズメバチはときに、毒針で刺すだけでなく、針から毒液を噴射して攻撃してくることもあります。
毒液を浴びて、目に入ってしまうと最悪の場合失明する可能性もあります。とても危険な毒です。
この毒液で攻撃されると、たちまち仲間のスズメバチが集まってきます。
これは、毒液に仲間を興奮させる物質が含まれているためです。
スズメバチに遭遇して、威嚇行動をされたら無視をせず、静かにその場から離れるようにしましょう。
スズメバチに刺されたらどうなる?その症状とは
スズメバチに刺された時に出る症状は、局所症状と全身症状があります。
局所症状は、熱を持ち赤く腫れ上がりとても痛みます。痛みは1〜2日程度でなくなりますが、その後も痒みが残ります。最終的には痒みも数日で消えます。
全身症状として、蕁麻疹などの皮膚症状、吐き気、発熱、血圧低下、呼吸困難などがあります。
2回目以降は、ハチ毒に対するアレルギー反応が出るため、このような全身症状が出やすくなります。
個人差はありますが、30分〜1時間で意識消失や血圧低下により、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
これは「アナフィラキシーショック」と言われる症状で、ハチによる死亡事故はこのアレルギー反応によるものです。
短期間に2回刺されると、アナフィラキシーショックを起こしやすいと言われています。
ですが、初めて刺された場合でも、死に至るケースがあります。
アレルギー症状は、1回刺されて体内に蜂の毒に対する抗体ができた後、2回目毒が入ったときに、体に存在するヒスタミンという物質の作用によって症状が引き起こされます。
このヒスタミンは、もともとスズメバチの毒にも含まれているため、多量の毒が一気に体に入った場合、1回目でもアレルギー症状を引き起こすこともあるのです。
アレルギー反応の兆候は以下のようなものがあります。
・全身のかゆみや蕁麻疹
・唇や舌の腫れ
・ぜんそくや呼吸困難
・浮動性めまい
・不安感
・虚脱、意識消失
これらの症状が出た場合は、すぐに病院へ行き、受診してください。
スズメバチに刺された時の処置方法とは?
もし、スズメバチに刺されてしまったら、次の応急処置を参考にしてください。
1.その場から移動する。
移動する際は身を低くして、最低でも10〜20メートルは離れるようにしてください。
すでに述べているとおり、ハチの毒には仲間のハチを集める効果があります。巣が近い場合はとても危険です。
2.傷口を流水で強く絞りながら洗う。
ハチ毒には水溶性なので、流水で洗うのは効果的だと考えられています。流水で冷却すると、痛みや腫れの緩和効果もあります。
またアウトドア用の吸い取り器具も販売されています。口で吸うことはしないでください。口に傷があった場合、その傷口から毒を吸収してしまう可能性があるからです。
3.冷却する。
氷や水などで刺されたところを冷やしましょう。腫れや痛みを緩和するとともに、毒の吸収を遅くすることができます。
4.薬をぬる。
アンモニアでは効果がありませんので、抗ヒスタミン軟膏かステロイド軟膏をぬりましょう。
5.病院へ行く。
刺されたところ以外に、蕁麻疹や腫れの症状がある場合や、吐き気、呼吸困難などの症状が出た場合は速やかに病院へ行ってください。数十分以内に症状が出たり、目を刺された場合は緊急を要するので、すぐに病院へ行きましょう。
また、たくさん刺されてしまった方や、過去にハチに刺されたことがある方は、ショック症状を起こす可能性が高まるため、緊急を要します。すぐに症状が出なくても、病院へ行くようにしましょう。
特に、首、頭、顔など心臓に近い部分を刺された場合は注意が必要です。
スズメバチの毒の成分とは?刺された時の症状と処置方法も解説!まとめ
・ハチには人を刺す種類と、刺さない種類がいます。
人を刺さないのは広腰亜目のハチで、ハバチやキハチなどです。
人を刺すのは細腰亜目のハチで、その中でもスズメバチやアシナガバチ、ミツバチは社会性のハチで、人を襲ってくることがあります。
・スズメバチの毒の成分は大きく分けて4つで、アミン酸、低分子ペプチド類、酵素類です。オオスズメバチにかぎり、これらに加え非酵素系神経毒のマンダラトキシンも含まれています。痛みの原因となるのはアミン酸です。
・スズメバチはまず、威嚇行動をしたあとに攻撃をしてきます。針で刺すだけでなく、毒液を噴射させることもできます。針を何回も抜いて刺すことができ、針を刺すと同時にアゴで噛みついてきます。
・スズメバチの毒液には仲間を興奮させる物質が含まれているため、攻撃されると仲間のスズメバチが集まってきます。また、この毒液が目に入ってしまうと最悪の場合、失明することもあります。
・スズメバチに刺されると、赤く腫れあがりとても痛いです。蕁麻疹や吐き気、発熱、血圧低下、2回目以降はアレルギー反応による「アナフィラキシーショック」を起こしやすくなり、死に至る可能性もあります。
・スズメバチに刺されたらときの対処法は次のとおりです。
- 低い姿勢でその場から10~20メートル離れる。
- 傷口を流水で強く絞りながら洗う。
- 水や氷で冷却する。
- 抗ヒスタミン軟膏かステロイド軟膏をぬる。
- 緊急を要する場合は病院へ行く。
スズメバチの攻撃性や、毒液はとても怖いですね。
遭遇してしまったら、スズメバチを刺激しないように静かにその場を離れるようにしましょう。もし万が一、刺されてしまった場合はここで紹介した処置方法を参考にしてください。