うつ病は今や誰がかかってもおかしくない病として、メンタルクリニックに通うことも普通になってきました。
しかし心療内科に通ったり、うつ病の診断を受けた経験があると、生命保険に入るのが難しくなるのはご存知でしょうか?
とはいえ、そんな経験があるがこそ、将来に備えた生命保険に加入したいと思う人も多いですよね。
メンタルを病んだ経験があると、絶対に生命保険には加入できないのでしょうか?
今回の記事では、うつ病の経験がある人は保険に加入する事が難しい理由や、その他のデメリットについて解説していきます。
Contents
うつ病の診断を受けた人のデメリットには3つある
うつ病とは、過度のストレスで心を蝕んでしまった結果、起こる病気です。うつ病の基本的な症状は、以下のようなものになります。
・興味や喜びの喪失
・食欲・睡眠が困難になる
・酷い焦燥感
・疲れやすい
・気力がない
・必要以上に自分を責める
・思考力や集中力の低下
・死への思い
うつ病の経験者は、人生に迷いが生じやすい若年層と、責任が備わってくる中高年層に多く存在します。
離婚、死別、心の傷になるような出来事(虐待、暴力など)が、うつ病にかかりやすい要因の背景となっています。
なお、女性は男性の2倍うつ病になりやすいといわれています。
女性ホルモンの増加、妊娠・出産などのライフイベントの変化、男女の社会的役割の格差などが考えられます。
これまでにうつ病を経験した人は約15人に1人なので、身近な病気ではありますが、うつ病診断されると、次の3点でデメリットが生じる可能性があります。
うつ病診断された方のデメリット
①生命保険に加入しにくくなる
②住宅ローンが組めない可能性がある
③転職が難しくなる
では順を追って説明していきます。
うつ病の診断を受けた人のデメリット・生命保険加入
心に病を抱えている場合は、何故生命保険に入れないのか、加入できる保険はあるのかを解説していきます。
生命保険に入りにくい理由とは
生命保険に入りにくい理由には「希死念慮」という独特な症状が関係します。これは死を願う症状であり、病気になった時や回復期が特に危ないのです。
実はうつ病が一番酷い時には、何もできない程衰弱してしまうため、死を望んでいても実行ができません。
回復したように見えても、症状は上がり下がりがあるので安心ができないのです。
希死念慮などで精神科に入院するとなると、普通の入院よりも長期入院したり、自殺が成功して命を落としてしまう、保険会社にとっても大きなリスクがあります。
またうつ病になったということは、メンタル的に弱いところがあり、例えば逆流性食道炎や胃炎などにかかりやすい傾向もあります。
薬の影響で太りやすくなり、肥満が生活習慣病の原因になります。うつ病を診断された人が保険に加入しにくいのは、こうした背景があるのです。
それでも保険に入るには
心療内科へ受診した経歴があり、それが完治した場合も生命保険の加入は困難なのでしょうか。
生命保険に入るときは、必ず病気を告知する義務があります。それは身体の病気も心の病気も変わりません。
告知には、5年以内の受診歴を問われますが、もし嘘をついて受診した過去を隠していたとしても、厳しい調査によって見つかってしまうのです。
それは「告知義務違反」とみなされ、契約解除となったり、いざというときに保障を受けられなくなるペナルティが発生します。
告知義務は5年以内の病気に限るため、最後に受診をしたのが5年より前の人は、申告の必要はありません。
つまり最後の通院から5年経っており、再発していなければ生命保険の新規加入は可能です。
うつ病と診断された人におすすめの生命保険
もし心療内科に通院中、または最後の診察から5年以内であったとしても、加入できる生命保険は存在します。
うつ病の人でも加入できる保険
・引受基準緩和型医療保険
・無選択型保険
・ガン保険
順に説明していきますね。
【引受基準緩和型医療保険】
告知項目が少なく、持病や入院歴がある人でも入りやすい医療保険です。その告知内容は普通よりも緩くなっています。
ただし、引受基準緩和型医療保険は入りやすい分、一般の医療保険よりも保険料が高めに設定されているのがデメリットです。
【無選択型保険】
告知項目がなく、医師の診査がいらない保険です。もちろん保険料は高くなります。加入できる年齢が限られていたり、給付金の支払いについて制限が付くことがデメリットです。
【ガン保険】
ガン保険は、保障対象をガンの治療に絞っているので、告知項目はガンに関するものとなっています。うつ病は関係ないということで加入が可能です。
5年経っていなくても、医師から完治した証明が出た場合や、経過観察中の診断の場合は、特別条件付きで加入を認められることはあります。
とはいえ、その審査基準については保険会社で異なりますので、別途相談してみてください。
生命保険の更新時にうつ病になっていた場合
更新型の生命保険に加入していたのに、加入後にうつ病を患い、そのまま更新時期を迎えるパターンもありえますね。
うつ病なので更新できるか心配かもしれませんが、更新時には健康状態の告知や審査は必要ありませんから、そのまま更新できます。
ただし保険の新規加入や、一度解約したものの再加入は、新たに告知が必要になります。いま加入している保険を更新したほうがいいでしょう。
うつ病の診断を受けた人のデメリット・ローンを組む場合
うつ病の状態では、団体信用生命保険に加入できないので住宅ローンを組めないことが一般的です。何故加入できないかは、先に述べた理由と同じになります。
しかし、3年以上前に治療が終了している場合は、ローンを組める可能性もあります。次はうつ病でも住宅ローンが組めるのかを解説していきます。
団体信用生命保険に加入できないので住宅ローンは組みづらい
住宅ローン利用には、一般的に「団体信用生命保険」に入ることになります。
団体信用生命保険とは、債務者が亡くなったときに生命保険代が債務に当てられるため、加入することは必須です。
団体信用生命保険に入るときに、当然健康状態がチェックされますが、うつ病だと団体信用生命保険の審査に通らない場合が多いです。
3年以上前に完治しているなら組める可能性あり
団体信用生命保険の審査では、過去の病歴・投薬歴などを告知しなければなりませんが、3年以上前に治療が終了しているなら告知義務はありません。
そのため、過去にうつ病と診断されていても完治さえしていれば、住宅ローンを組める可能性が十分にあるでしょう。
先程述べたように、虚偽の報告をした場合は、告知義務違反となります。意図的に告知しないのは絶対に止めてください。
うつ病の診断を受けた人のデメリット・転職する場合
うつ病になった原因が、職場の人間関係などだった場合は転職などで環境を変えたほうが良いことがあるでしょう。
一番先に考えてほしいのは、うつ病は思考が停止した状態ですので、退職する前にまず休息を取ることです。まずは会社に「休職」を申請することをオススメします。
しかし休職するだけなら、復帰できたとしても環境が変わってないので、転職を考えるとか、職場内で部署を変えてもらうなどの対策を練る必要があります。
休職中の転職活動は可能
休職中に転職活動をすることは可能ですし、法的な罰もありません。ただし休職とは会社に籍を置いたまま、一時的に休んでいる状態です。
休職とは復職が前提となっているので、本来休ませてもらっているはずの期間に転職活動をするのは、倫理的にどうでしょうか。
もし会社の就業規則の中に「休職中の転職活動を禁止する規定」があると、最悪懲戒処分を受ける可能性もありえます。
たとえ就業規則に、休職中の転職活動を禁止する規定がなくても、退職手続きが難航したり、転職活動がバレて気まずくなる可能性はありますね。
やはり休職中はしっかりと休み、転職活動は復職後または退職後に行うべきでしょう。
休職していたのを隠してもバレる
転職活動の際に「休職している」と言わない限り、隠し通せる可能性はありますが、もし休職中ならば応募先にきちんと話す方が良さそうです。
無事に入社が決まったとしても、入社後に提出する書類(源泉徴収票や住民税など)でバレてしまうかもしれません。
休職を隠していたことで、内定取り消しや解雇もありえます。もし応募先の企業に、うつ病で休職中と伝えたら不利になるのでしょうか?
休職理由がうつ病だと残念ながら不利になります。再発する可能性が高いと判断されてしまうからです。
なのでうつ病の場合は、休職中に会社内で部署を変えてもらうなどの対処をお願いした方が良いですね。
うつ病で休職したあとに、結局退職した場合には、しっかり治療した上で転職活動をし「現在は回復しており、業務に支障はない」と伝えましょう。
うつ病になったら申請すべき公的援助
就業規則により定められた期間以上の休職はできず、治療のため仕事ができない状態が続くとやはり退職する必要が出てきます。
休職中の給与は就業規則により決まっており、普段と同額の給与が出るケースは少なく、全く給与が出ないこともあります。
しかし、うつ病で働くことができなくなってしまっても、経済的な支援を受ける方法はあります。
申請すべき公的援助
①傷病手当金
②自立支援医療制度
③精神障害者保健福祉手帳
④失業保険(雇用保険)
⑤障害厚生年金
では順に説明していきます。
【傷病手当金】
傷病手当金とは、健康保険法等を根拠に、健康保険の被保険者が、疾病または負傷により業務に就くことが出来ない場合に、療養中の生活保障として支給される給付金。
【自立支援医療制度】
自立支援医療制度とは、身体・精神障害者の医療費の上限を決め、患者にそれ以上の医療費の負担がかからないよう公費で負担してくれる制度。
【精神障害者保健福祉手帳】
精神障害者福祉手帳とは、障害者手帳の一種でうつ病などの精神疾患を持つ人が取得することができるもの。精神障害者福祉手帳の交付を受けることで、税制上の優遇を受けることができる。
【失業保険(雇用保険)】
失業保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に支給される給付金。
【障害厚生年金】
障害年金とは、疾病又は負傷(傷病)によって、所定の障害の状態になった者に対して支給される公的年金。
これらの公的援助を受けることで、治療費を心配せずに休むことができますので、困っている場合は、役所に相談に行きましょう。
【うつ病の診断を受けるとデメリットが3つある】生命保険と他には?のまとめ
- うつ病の診断を受けた場合のデメリットは3つある
- うつ病特有の症状により、生命保険に加入が難しくなる
- 保険代が高くはなるが、入れない生命保険がないわけではない
- 同じ理由で団体信用生命保険に加入できないために住宅ローンが組めない場合が多い
- 職場でうつ病と診断されると転職活動が難しくなる
- うつ病で退職する時は公的援助を相談してみると良い
今回の記事では、うつ病と診断された際にデメリットが生じる3つのケースについて解説しました。
うつ病にならないのが一番ですが、誰もがかかる可能性がある病ですので、そういうリスクがあるのだということは知っておいても良いと思います。
どなたかの参考になれば幸いです。