「吉日」とは(きちにち)(きつじつ)(きつにち)とよみ、縁起のよい日、祝い事など、何か事をするのによいとされる日を意味しています。
「思い立ったが吉日」とも言われるように、その縁起をかついで昔から結婚式や、開店、引っ越しなど、新しい門出の日に「吉日」の日を選ばれることも多いです。
手紙やビジネス文書の「○月吉日」とは、一般的に「○月における佳き日」という意味を表しています。
ビジネス文書において「○月吉日」はどのような使い方をされるのでしょうか?!
また、吉日の代わりになる表現はあるのでしょうか?!探ってみましょう!
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吉日のビジネス文書での使い方は某日の代わり!他に表現はあるの?!
ビジネスの場でも、創立〇〇年記念や、社屋竣工式、出版記念式典などの関係先への案内状の日付は「〇年〇月吉日」が多く使われています。
自社の祝い事に関する案内状、挨拶の文書には日付に「○月吉日」を使用しても問題ないということです。
いつ案内を出したかよりも「佳き日を選んでご案内します」という縁起をかつぐことに重点が置かれているのです。
以下の場合は「縁起をかつぐ」というより、書いた日付をぼかしたいとか、そのほうが便利がよいという場合になります。
日付が重要でない文書
- 各種ダイレクトメール
- お客様各位への「資料の送付案内」
- 株主へのご優待品贈呈のご案内
- 各種行事案内書
一度に大量にまとめて印刷をした場合に、全てをその日に発送をするとはかぎりません。
また、送付先を調べてその都度だしていると、作成日と発送の間隔が大きくなってきます。
「○月吉日」と記載をしておけば、その月のうちに発送すればよいので、事務処理上とても便利で実用的です。
作成日を明記するまでもないとか、明記することで生じる不都合とか、明記しない便利さを考え、あえて「○月吉日」というぼかした表現にしているのです。
その意味からすると「◯月某日」と記載をしてもよさそうですが、「某日」は文書の日付の代わりに使用されるのには適しません。
ですから「某日」の代わりに「吉日」を使っているのです。
つまり「作成日をはっきりさせずに、あいまいにしておきたい」と意図したものが「○月吉日」といえます。
作成日が明記されている文書だと、人によっては「なんでこんなに遅く届くんだ」と不快に感じることもありますし。
案内状の場合、案内をしたい日付と作成日を勘違いしてしまうケースもあります。だからその対応策として、あえて「◯月吉日」として作成日をぼかすのです。
また、「吉日」の代わりの言葉としては、次のような言葉があります。
「佳日(かじつ)」「嘉日(かじつ)」です。
どちらの言葉にも、「吉日」と同様に「縁起がよくおめでたい日」という意味があります。
○月吉日を使用するときの注意点は2つ!
○月吉日を使用するときには、次のような注意点があります。
吉日を使用する場合は、日にちを書かない
「吉日」を使用する場合は、「令和○年○月吉日」と表記をし、「令和○年○月 ○日吉日」と日にちまでは書かないようにしましょう。
実際に文書を作成した日が吉日であったとしても、それを前提としてあえて日にちの代わりに縁起を担ぎ「吉日」と書いているからです。
また、現在は縁起の良い言葉として「吉日」を用いる場合が多いので、必ずしも「吉日」を選んで文書を送付したり、記入したりする必要はありません。
お祝いごとの案内文書の送付の際には消印が「吉日」と同日となるように出すのが無難と言えるでしょう。
縦書き・横書きの場合で数字の表記を変える
通常の文書でも同じですが、縦書きの文書の場合は「漢数字」にて数字を記入し、横書きの文書の場合は「算用数字(アラビア数字)」にて数字を記入します。
また、日付は和暦・西暦どちらで記入しても良いですが、一般的に和暦で記入されることが多いです。
【縦書きの場合(漢数字)】
例)令和四年三月吉日・二〇二二年三月吉日
【横書きの場合(算用数字)】
例)令和4年3月吉日・2022年3月吉日
文書の書式によって日付を記入する場所が異なりますので注意しましょう。
なお、縦書きについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
吉日を使って良いのか迷う場面の裏技2つ
「日付をぼかしたいけど、特にめでたいわけでもなく、吉日を使ってもいいの?」と迷ってしまう場面があると思います。
こういう場合に吉日を使用せずに、日付をぼかせる裏ワザを2つご紹介します。
日付を書かずに月だけを書く
「日付があいまいであっても気にならない」「日付を書かなくても送付先に失礼にならない」という場合は、あえて「令和〇年〇月」だけにしてしまうのが1つの方法です。
しかし、「令和〇年3月」と記載されているのに4月に届いた、ということになると相手先にいいかげんな印象を与えてしまう可能性もあります。
そのため、文章に「令和〇年3月」と記載したのであれば、3月中に届くように注意しましょう。
「令和〇年春」という書き方をする
文章を「令和〇年3月」にて作成したけど、どうしても発送が翌月の4月になってしまう、ということもありますよね。
そういう場合は「令和〇年春」という表現をする手もあります。
それであれば、春の間ならいつ送っても相手は違和感を感じることはないでしょう。
吉日を使ってはいけないビジネス文書とは?!
契約書、納品書、請求書などに必ず「○月○日」と日付を記入しなければいけません。
なぜなら「吉日に契約いたしました」「吉日に納品させていただきました」といった気持ちを込めたつもりで○月吉日を使用しても、あとでトラブルに発展する可能性があるからです。
また、注文書、見積書、督促状、保証書などの場合も同様に、正確な日付の記入が必要になります。
さらには社内の報告書などでも、一般的に吉日は使用されません。
むしろ、吉日を使うことによって「日付をぼかしている」「日付を特定させたくないのか」という印象を先方に与えてしまう可能性もあります。
また、文書の内容が謝罪のような内容の場合にも、吉日を使うのは避けたほうがよいでしょう。
その文書を受け取った側に、悪い印象を与えてしまうことになる可能性があります。
いずれにせよ、ビジネスにおいて、吉日の使用は 基本的にNG と考えたほうがよいでしょう。
他社に記録・保管される公式文書にもなりますので、日付だけでなく、内容や言葉遣いには細心の注意が必要です。
ビジネス文書とはどんな書類?!
「ビジネス文書」とは、ビジネスにおいて情報の伝達や意志確認のために作成される文書のことを指します。
正しく文書化することにより、無用な誤解やトラブルを避けるための証拠として活用したり、同じ内容を一度に多くの相手に、正確に伝達できることができるなどのメリットがあります。
ビジネス文書では、用件を相手に素早く的確に伝え、「言った・言わない」や「伝えたつもりが伝わってない」などの行き違いが生じることを避けることが必要となります。
ビジネス文書の種類は主に3つ
社内文書
社内文書とは、社内の人に向けて発信されるビジネス文書です。
報告書、議事録、稟議書、申請書などがあります。業務を円滑に行うため社内での伝達を確実に行うために作成されます。
社外文書
社外文書とは、取引先や得意先など社外の人に向けて業務文書として発信されるビジネス文書です。
依頼書や案内状、照会状などがあり、受信者を尊重した礼儀正しい文書であることが重要になります。
社交文書
社交文書とは、あいさつ状、お礼状、見舞状、招待状などを指します。
社外の人に対し、儀礼的な役割としてお祝いやお悔やみの気持ちを伝えるためのものであり、より格式を守ることが求められます。
吉日のビジネス文書の使い方は?!代わりになる表現はあるの?!のまとめ
ビジネス文書は、ビジネスを円滑に進めるために正確な情報伝達を行うことが重要となり、とりわけ社外文書は会社として発する文書であるため企業イメージを左右しかねません。
吉日の使い方ひとつをとっても、相手に正しく気持ちよく伝わる文書に心がけ、ビジネスパーソンとして信頼されるようになりたいですね。