柔らかくてやさしい色合いの野菜染め(草木染め)。一見難しそうに見えますが、実は身近な道具で簡単に始めることができるって知ってました?
わざわざ専用の材料を買わなくても、日々のお料理の際に出てしまう皮やヘタなどの野菜クズを活用するので、今話題のSDGsにも一役買います!そんな野菜染めを今回は調べてみました。
キッチンにあるものや、スーパーや100円ショップでも簡単に手に入る道具や材料をメインに使います。どんな野菜でどんな色になるのかその理由も調べていきます!
もうすぐ始まる夏休みの自由研究にも役立つかもしれませんよ。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
Contents
野菜染めは簡単にできる【必要な道具や材料など】
野菜染めに必要な道具はこの【5つ】
- 染めるための布や毛糸
- 鍋
- 手袋
- 染液を入れるための容器
- 水洗いするためのバケツ
野菜染めに必要な材料はこの【3つ】
- 野菜の皮など色素を抽出するもの
- 豆乳
- ミョウバンやお酢(媒染)
詳しく解説していきます!
野菜染めに必要な道具
まずは野菜染めに必要な道具5つです。
必要な道具①染めるための布や毛糸
基本的には天然のもの、植物性の木綿や、動物性の絹や、ウールなどが好ましいです。
化学繊維などのポリエステルなどは色素が入りにくく染まりにくいです。
必要な道具②鍋
色素を抽出するために使います。
ホーローやステンレスの素材のものが良いです。アルミや銅などはその後の工程に影響するので控える方がベターです。
必要な道具③手袋
「染める」ので、素手で触ってしまうと手も染まるかもしれません。手袋があった方が安心です。
必要な道具④染液を入れるための容器
鍋で抽出した染液を入れ、素材をいれるための容器です。ボウルならキッチンにありそうです。
素材がしっかり入る大きさのものが良いでしょう。素材はプラスチック製(染まる可能性がありますが)や、金属ならステンレス製が良いかと思います。
必要な道具⑤水洗いするためのバケツ
バケツでなくてもしっかり水洗いできるような容器が望ましいです。バケツやボウルでよいし、なんなら洗面台や流しでもいいかと思います。
野菜染めに必要な材料
続いて材料を紹介していきます!
必要な材料①野菜の皮など色素を抽出するもの
これはそのままですね。野菜の皮などをお料理の際、ごみ箱に入れるのではなく、ビニール袋に入れ冷凍保管しておきましょう!
冷凍保管することで組織が壊れ、色素が抽出しやすくなります。
抽出したいお好みの色味のものやなどを取っておくと楽しみが増えますよ。どんなカラーが出るのかよくある野菜を調べてみたので、それは後でまとめますね。
必要な材料②豆乳
今回紹介する植物から抽出できる色素は水溶性で、植物性の素材は染まりにくいのでタンパク質をまとわることで、染まりやすくなるそうです。
綿素材や麻素材のものは豆乳を準備しましょう。
シルクやウールなどの動物性の素材はそのままで染まりやすいので準備不要です。
本来は大豆を潰して濾したものを利用するそうですが、面倒なので無調整豆乳で代用できるので、豆乳を用意しましょう。
水と豆乳を1:1で混ぜたものを用意します。
ただし後述しますが、淡く染めたい場合はかえって不要かもしれません。実際に試してみながら好みの染め具合に調整していくのも楽しいです。
必要な材料③ミョウバンやお酢(媒染)
例えばパスタなどを食べたとき白いTシャツにソースを飛ばしてしまっても、だいたいは洗えばきれいに取れます。
普段の生活ではそれでいいのですが、今回は染め物です。せっかく染めたのに洗うだけで色が落ちてしまうのは困ります。
そのために色止め(素材の中に色素を残すための工程)を行います。この素材を媒染といいます。
媒染は銅、アルミ、鉄、酸、アルカリなどで行います。用意する媒染によって発色が変わるので面白いです。
簡単に手に入るもので、キッチンでも使うので口に入っても安全なものとしては、食酢やクエン酸、重曹やミョウバンかと思います。
媒染液を酸性にするかアルカリ性にするかでも色の変化があります。
野菜染めは簡単にできる【一般的な工程紹介】
野菜染めや草木染めの一般的な工程はこの【5つ】
- 素材の下処理
- 色素の抽出
- 用意した素材を抽出液に浸ける
- 媒染液に浸けて色を発色・定着させる
- よく水洗いして乾かす
素材の下処理
基本的に無染色の白い布や毛糸を使用します。
買ったばかりの布はノリ付けされていることが多いので、一度洗ってノリを落としましょう。ノリが残ったままだと水を弾いてしまうように水溶性の色素も弾いてしまいます。水洗いで落ちないようなら中性洗剤で洗いましょう。
そのあと先述のようにタンパク質をまとわせるために豆乳に漬けます。同じタンパク質でも牛乳はニオイが残ってしまうかもしれないのでやめておく方が良いと思われます。
毛糸の場合は、工場から出荷されたものは工業用のオイル(紡績油)が残っているのでオイルを落とす必要があります。中性洗剤で洗うことで落とすことができます。
この工程をソーピング(精練)と呼びます。染色用にソーピング済みの毛糸も販売されています。
動物系のウールやシルク糸の場合は豆乳に漬ける必要はありません。次の工程に進みましょう。
色素の抽出
色素の抽出には鍋で煮出す方法と、酸に漬けこんで抽出する方法があります。お鍋で煮出して抽出する方法が一般的ですね。
鍋で色素を抽出する方法を紹介します。
①鍋に水を沸騰させる。
②野菜の皮などを細かく刻んだものを入れて煮だす。
③沸騰後20分以上煮る。
④ザルなどで皮やクズが入らないように濾す。
希望の量になるまで繰り返します。
この時1回目を1番液、2回目を2番液、3回目を3番液と呼びます。
少し工程が多く、火も使うのでお子さん1人では危険なので、大人と一緒に行いましょう。
用意した素材を抽出液に浸ける
- 予洗いした素材を抽出液に浸けこむ。
- この際、抽出液の温度が高い方が良く染まるので火にかける方法もあります。
- ムラになりやすいので時々箸で混ぜる。
媒染液に浸けて色を発色・定着させる
媒染液を用意して抽出液から出した素材を浸けます。
銅や鉄の金属由来の媒染液はネットで購入可能ですが、一般家庭ではなかなか用意できないかと思います。
お漬物に使う焼きミョウバンが手に入りやすく、口に入っても安心です。
1Lのお湯に対して2gのミョウバンを溶かして用意します。ミョウバンは水温が低いと溶けません。少量の熱湯で溶かして、水で薄めます。
ミョウバン液はアルミ金属由来の媒染液になります。
よく水洗いして乾かす
色が出なくなるまでしっかり水洗いし、干して乾燥させます。
もっと簡単!!酸で抽出して常温で染める方法
あまり知られてはいませんが常温で染められる方法もあります。
次にこちらの方法を紹介していきます。
素材の下処理
これは一般的な工程と同じです。
色素の抽出
今回は煮だしではなく、酸を用いて抽出していきます。
①ガラス瓶などに抽出したい素材を入れる
②5~10%のクエン酸水にを注ぐ。2時間ほど浸す。
③材料を取り除き抽出液を作る
こちらの方法なら火を使わず安心です。
用意した素材を抽出液に浸ける
常温で一定時間浸けこみますが、あまり長く浸けても変化はないようです。
媒染液に浸ける
実は抽出液が酸性なので媒染液の工程は飛ばしても良いです。
ただ、ミョウバン液に浸すとまた色が変わるので違いを楽しむのもアリです。
水洗いして乾燥させる
色素が出ないくらいしっかり水洗いして乾燥させると完成です!
野菜染めにはどんな野菜が使えるの?
ここまで天然の色素を抽出し素材を染める方法を紹介してきました。
では野菜染めにはどんな野菜が使えるのでしょうか。
人参
どこの家庭でもだいたい常備されていると思われる野菜の代表『人参』。
オレンジ色の色素が抽出できるのかと思えば、オレンジの抽出はできないそうです。人参で色素が抽出できる部分は葉っぱの部分でグリーン系の色素が抽出できるようです。
玉ねぎ
これもどこの家庭でも常備されている野菜ですよね。玉ねぎは皮の部分を使って色素を抽出します。茶色〜オレンジ、黄色の色素が抽出できます。
茄子
これも日々の食卓に登場する機会が多い野菜。夏は焼き茄子もいいですね!揚げ浸しも大好きです!
紫の濃い色の皮から抽出します。茄子は皮も食べますが、ヘタは切り落としてしまうので、ヘタの部分と一部の皮を取っておくのも良いかもしれません。
アボカド
数年前はあまり登場の機会はなかったかもしれませんが、ここ数年ではサラダなどではよく登場するのではないでしょうか。アボカドは通常捨ててしまう種と皮から色素が抽出できます。
そして、見た目からは想像できないピンク色に染まるそうです!
タケノコ
タケノコも本来廃棄される皮から色素を抽出します。淡いピンク色になるそうです!
残念ながら今は時期ではないので手に入れることが困難ですが、手に入ったらぜひ試してみたいですね。
野菜染めを実際にやってみました!
ここまできたらもう実際にやってみるしかない!!
準備した道具はこちらです。
・鍋
・抽出液を入れるバケツ
・クエン酸抽出に使うガラス瓶
・媒染液を作る容器(1Lのプラスティックビーカー)
・洗う時のボウル
・割りばし
すべて家にあるもので普段から使っているものです。手袋は途中でなくなってしまったので代わりに割りばしを多用しました。洗う際など少し色素が指先、爪に残りましたが、石鹸で洗ったらきれいに消えました。
実際にやってみた!【ブルーベリー】
何かで色素抽出できそうなものはないかとキッチンを漁っていたら、冷凍庫で眠っているブルーベリーを発見しました!!厳密には野菜ではないのですが、おそらく茄子と同じ紫色の色素が抽出できると思うので実験してみたいと思います。
①下処理
今回用意したのはサラシの布。真っ白で染まり具合がわかりやすそうで良いです。水洗いして、豆乳に浸け、絞って1度乾かします。
②色素抽出
まずは煮出し方法。冷凍ブルーベリーをひたひたの水から沸騰してから20分を3回繰り返しました。用意したバケツが大きかったせいか少なめの抽出液になりました。これで染まるのでしょうか?
③染色
下処理した生地を抽出液の中へ浸します。時々ひっくり返したり動かします。
④媒染液に浸ける
染色した生地を、一度水洗いしてから媒染液に浸します。
媒染液は焼きミョウバン2gに水1Lで作りました。
⑤水洗い・乾燥
媒染液に浸した布を色素が出なくなるくらいしっかり水洗いします。
⑥好みの色にならなかったので考察してみました。
媒染液に浸してるときは「キレイなTHE青紫色」だったのですが、なぜか水洗いしているとくすんでグレーっぽくなってしまいました。抽出液に浸す時間が長過ぎたかと思って、短めの時間でもう1度同じ工程してみたけどやっぱりグレーでした。
もしかして豆乳のせいで色素が入りすぎてグレーになるのかも?!
ら、なんと!好みの紫に!!…薄手の布なら豆乳処理は必要なさそうです。
実際にやってみた!【アボカド】
アボカド大好きなんです。サラダに入れてもいいし、わさび醤油でも美味しい。3個分の皮と種が溜まったので早速試してみます!
①下処理
生地は前回同様サラシで、違いを確認するため豆乳アリとナシで用意しました。
②色素抽出
排水溝用のごみ袋(ストッキングタイプ)にアボカドの種をスライスしたものと、皮を適度に切ったものを入れて、鍋で煮出しました。多めの水で沸騰後20分を2回で十分な量になりました。
③染色
準備した布を絞って抽出液に投入します。
④色止め・仕上げ
まず、ミョウバン液に浸して水洗いしたのですが、ピンクというよりベージュ。ピンクベージュと言えなくもない色になり、水洗いしてみたらかなり薄くなってしまいました。
あまり好みではなかったのでクエン酸を少量足してみるときれいなピンクに発色しました!水洗いしても特に変化がなかったのでこのまま干して完成とします。
実際にやってみた!【ブルーベリー+巨峰+酸抽出】
①下処理
今回は媒染の違いを確認したかったので洗っただけのサラシを2枚用意しました。
②色素抽出
今回の色素抽出は上記で抽出したあとの色褪せたブルーベリーと、去年食べ残してしまって冷凍保存していた巨峰の皮と一緒にクエン酸液に浸けこみました。タイミングが合わず2晩ほど放置してしまいました。
クエン酸液はクエン酸20gに水200ccで作りました。
③染色
軽く水ですすいで絞った布を入れました。
④媒染液に浸ける
片方はここで水洗いして仕上げを行い、残った方はミョウバン液に浸けました。
⑤仕上げ
媒染液に浸した布を色素が出なくなるくらいしっかり水洗い、陰干しして乾燥させます。
実際にやってみた【結果・考察】
- 豆乳は不要かもしれない…
- 今回の染色はミョウバン液が合わなかったのかもしれない。
- 染色の置き時間は長くなくてもいい。
3枚ともブルーベリーを煮出したものです。左2枚が豆乳アリ、右が豆乳ナシです。青みが飛んでしまっていますが左2枚は完全にグレーから黒に染まっています。それに比べ右が優しい藤色です。
これはアボカド抽出液で染めたものです。実物はあまり変わらないのですが左が豆乳ナシ、右が豆乳アリです。
より青みがかったピンクは豆乳ナシでした。豆乳アリは温かみのある黄味を含んだピンクになりました。
なので、しっかりと濃く染めたい場合や、厚みのある生地以外の場合は豆乳は不要かもしれません。
上の写真と似ていますが、これはアボカド染めの最中で、左がミョウバン液、右がクエン酸を足したものです。クエン酸を足したものの方が明らかに赤味が出ました。
好みの問題もあるかもしれませんが、私はピンク色になってほしかったので、クエン酸の方が合っていたようです。
1度目以外は、染色時の放置時間は数分程度です。布一枚を平坦な一色にしてしまいたくなかったのもあり、あえてムラを作りたかったためです。
均一な一色にしたい場合はたっぷりの抽出液でしっかりと浸ける方が良いかもしれません。
野菜染めは簡単?!身近な道具でできる方法を解説!!自由研究にも!(まとめ)
今回は野菜染めの方法や、色素の抽出方法、よくある野菜でどんな色が出るのか、実際に試してみた結果も交えてお伝えしてきました。
野菜染めの方法をおさらいしましょう。
- 素材の下処理
- 色素の抽出
- 用意した素材を抽出液に浸ける
- 媒染液に浸けて色を発色・定着させる
- よく水洗いして乾かす
この基本さえ押さえていれば、野菜染めは簡単にできます。
面倒くさがりでなかなか実践できない私も短時間でスムーズに簡単にできました。
放置さえすればできてしまうクエン酸抽出を使った野菜染めは火も使わないので夏休みの自由研究にもおススメです!
使う材料も道具もほぼキッチンにあるものです。染色の際に容器を準備するのが面倒で、小さめのハンカチくらいならポリ袋でも可能だと思います。
ミョウバン液を作る際の熱湯を入れる時だけは注意が必要ですが、ここも省いてしまっても元々酸を使っているので水洗いだけでも色落ちしなかったので大丈夫だと思います。
ぜひここで紹介した以外にもどんな野菜でどんな色に染まるか、逆に染まらないのか実験すれば楽しく自由研究できると思います。
実は少し手間がかかりそうだなと思っていた染め物でしたが、今回紹介した野菜クズを使っての野菜染めは簡単に材料もそろってしまうので、本当に驚くくらい簡単でした。
色が染まったことに感動すらしました。好みの色味に染めるのは少しばかり経験が必要かもしれませんが、それも楽しいので、新しい趣味にもおススメです。
興味があればぜひ1度試してみてください。簡単に出来すぎてハマってしまうかもしれません。