引用:スタジオジブリ
スタジオジブリ作品「もののけ姫」は1997年に劇場公開された、宮崎駿監督によって手掛けられた作品です。
おそらくその年代に生まれたほとんどの方は、一度は見たことがあるでしょう。
みなさんは映画内で出てくる、「黒いやつ」の正体がなにか知っていますか?
今回はその正体の謎や秘密を調べてみました!
Contents
【もののけ姫】黒いやつの正体はゴリラ!?その名前は?
引用:Twitter
もののけ姫に出てくる、このゴリラのような黒いやつの姿は、「猩々(しょうじょう、猩猩)」と言います。
初めて登場したときは、「ゴリラまで喋った…。」と私は驚いてしまいました(笑)
そもそも「猩々」とはいったい何者なのでしょうか?
猩々の基本情報
性別 | 男性 |
種族 | 猿神 |
嫌いなもの | 人間 |
通り名 | 森の賢者 |
「猩々」とはオランウータンの和名になります。
ゴリラではなかったようです!
猿のような外見をしていますが、少し大きな体格をしていることから、作中でもオランウータンとして描かれている可能性があります。
しかし、「猩々」は神格化された意味合いで使われていることが多く、古典書物に記された架空の動物として扱われることもあります。
ギリシャ語で「毛深い部族」という意味の「Γόριλλαι (gorillai)」が由来とされている。
本属の構成種の和名として大猩猩(おおしょうじょう、だいしょうじょう)が使用されたこともある。
猩猩は元は架空の動物の名前であるが、オランウータンの漢名とされていた。
過去には本属をチンパンジー属に含める説もあった
猩々の見た目や性格は?
もののけ姫の作中で描かれている猩々は二ホンザルよりも大きな霊長類として描かれ、体は闇に溶け込むほどに黒く、目だけがギラリと赤く光っていてとても不気味ですよね。
猩々は人語を理解し、片言ではありますが会話も成立します。
この状況からも、見た目的にもオランウータンに近い存在と考えることができると思います。
猩々の性格は卑屈にして卑怯、住処だった森を奪っていった人間を憎んでおり、サンに対しても人間であるという判断をし石を投げつけてきます。
そして猩々たちは、人間を倒す知恵を得るために人間を食べることを考え、サンに重傷を負って倒れているアシタカを差し出すように要求します。
しかし、エボシ御前と猪達との戦いの直後に森に入ってきたジバシリに恐れて、逃げ出していきます。
「ジバシリ」とは? 「ジバシリ」とは、ジゴ坊によって雇われた、山に詳しい男たちの事です。 通常の狩人たちよりもの山の知識に長けており、獣に人と見破られないよう乙事主の配下の猪たちの皮をはいでかぶり、猪の血を体に塗って人の匂いを消して惑わせ、近づくという特殊な技能を持っています。
猩々には秘密があった!
この「猩々」、作中では卑劣で卑屈な存在として描かれていますが、本来は森の賢者とも言われるほど知能も高く尊い存在でした。
しかし、度重なる人間たちの嫌がらせ(エボシ御前)や自然を食い荒らす人間たちの前に無力を悟り、破壊していく人間たちに嫌気がさしてしまいます。
そして賢く気高い存在の猩々たちの性格が徐々に歪んでいってしまい、
「人間を食べれば人間の知能を得ることができる」
というような浅はかな思いをもって行動してしまいます。
その結果、サンに石を投げたり、アシタカを食べようとしたシーンに繋がるのです。
サンも作中で猩々たちのことを「賢いあなた達がどうして…。」と言うシーンがあります。
サンの心の中でもここまで変わってしまった猩々たちのことが、信じられなかったようです。
本来の猩々たちは自然を愛し、自身らの生きる森を守るために木を植え続け、森を生き返らせようとする一面も見られています。
このことから猩々の本当の姿は森を守り、繁栄させる存在であり、森の住人達からも尊敬される存在であったと考えることができます。
森を壊されて、食べるものが無くなれば、人の肉を食べてでも生き長らえようとするでしょう。
人間という自然界にとっての大きな敵の前に乱暴な言葉を使用してしまったり、森を荒らす人間たちに対して荒ぶる性格へと変わっていった、一番の被害者達なのかもしれません。
そうやって追い詰められてしまったからこそ人間に敵対し、そしてどうにか生きようと知恵を絞りだし、人間を食べるということを考えたのでしょうね。
もののけ姫のキャッチコピーは「生きろ。」ですよね! もしかして、猩々たちにも通じるものがあるのじゃないかと、私は思っています。
猩々は日本の伝承でも出てくる!
猩々は、古典書物に記されている架空の動物です。
実は能の演目である五番目物の曲名「猩猩(しょうじょう)」が有名で、真っ赤な能装束で飾った猩々が、酒に浮かれながら舞い謡います。
また能の印象から転じて、大酒家や赤色のものを指すこともあります。
そして、能とは別に妖怪としても「猩々」がでてきます!
〈妖怪ステータス〉
表記・呼称 猩々(しょうじょう) 簡易解説 顔は人間、体は獣の人語を解する化け物。酒が好きで、酒樽一個飲み干すという。 危険度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 容姿 人間型 動物型 能力・特性 大酒飲み、丈夫な体 伝承地 山梨県、岩手県、和歌山県、愛知県 出現場所 山 水 記録資料 登場創作物 もののけ姫、妖怪大戦争2005年版
伝承
猩々は、顔は人間、体は獣の姿をした妖怪です。
人語を解し、顔や毛まで全身赤いと言い伝えられています。
また大酒呑みともいわれます。この妖怪については各地で様々な伝承があります。
■山梨県の伝承
猟師が山で身長2mほどもある猩々を見つけ、発砲し命中しました。ところが猩々は傷を痛がる様子もなく、傷口にそこらの草をつめたら、平気な顔で山奥へ去っていったのです。
■岩手県の伝承
猩々の噂を聞き、その姿を一目見たいと、砂浜に酒樽を仕掛けておきました。すると海から猩々が現われて樽の酒を飲みほしたのです。猩々は酔っ払い樽の中に落ちてしまいました。
中を覗くと猩々が飛び起きて海の中へ帰って行ったといいます。
■愛知県の伝承
愛知県南部の秋祭りでは、作り物の猩々の中に人が入り、祭りの中を練り歩くというパフォーマンスが行われます。これには厄除けの効果があるといわれています。
■和歌山県の伝承
ある若者が天神崎の立戸の浜で笛を吹いていました。その笛の音に聞き惚れた海に棲むメスの猩々が、笛のお礼にと自分の毛に針をつけて釣り具として与えたそうです。
それは餌がなくとも望みの魚が獲れる万能釣り具だったそうです。
以後その釣り場が「猩々」と呼ばれるようになりました。
引用:最恐妖怪絵巻
各地方によってイメージが違いますよね!
伝説の存在のために様々な説があるのでしょう。
また七福神の一人、寿老人の代わりに入れられた時代もあるそうです。
【もののけ姫】黒いドロドロの怪物は一体!?
この物語序盤に出てきて、主人公アシタカとヤックルを追いかけてくる蜘蛛のような黒いドロドロの怪物…。
初めて見た時は、「ギョッ!」としてしまう見た目ですよね。
全身を気持ち悪い触手に包まれ、その存在に触れた草木は腐ってしまい、凄まじい執着で人間に迫り来る黒いドロドロの正体も謎だらけです。
黒いドロドロの正体は神様だった!
触れた草木は腐って枯れ落ちてしまい、死の呪いをまき散らす黒いドロドロの正体は祟りの神「タタリ神」です。
作中では、タタリ神になってしまうキャラクターがいます。
ナゴの守
引用:スタジオジブリ
物語の冒頭でアシタカの村を襲うタタリ神の正体は、シシ神の森の猪神「ナゴの守」です。
森に暮らす同胞を束ねる王であるナゴの守は、エボシ御前が率いるタタラ場の周囲に陣があり、森を切り開こうとする人間たちと争いが絶えませんでした。
しかし石火矢衆の投入で劣勢となり仲間を失ってしまい、生き残った自身も重傷を負い逃亡することになります。
走り回るうちに負の感情が増えてしまい、辺りの呪いを集めながらタタリ神へなってしまいました。
最期はアシタカの村へたどり着き、仲間と村を守るため「神殺し」を決意したアシタカの手で討たれます。
本来の姿を取り戻すものの、鎮魂を願う村人に呪詛を吐きながら消滅しました。
乙事主(おっことぬし)
引用:スタジオジブリ
乙事主はシシ神の森を破壊する人間を憎み、九州からやって来た猪神の王です。
モロの君の台詞によると、乙事主がタタリ神になったのは「死を恐れた」のが原因のようです。
ナゴの守と同じく石火矢衆との戦いで同胞を失ってしまい、自身も重傷を負いました。
そして猪神の毛皮を被った人間に攻撃されたことが決定打となり、負の感情によって心を支配されます。
猪神の風格と思慮深さは見る影もなくなってしまい、血反吐を吐きながら錯乱する乙事主にサンが必死で呼びかけ、正気に戻そうとしましたが叶いませんでした。
最期は完全にタタリ神へ転じる寸前に、生と死を司るシシ神の力で命を吸収されます。
アシタカ(腕だけ)
引用:スタジオジブリ
アシタカはタタリ神とは違いますが、一時的にタタリ神の力を身に宿していたと言えます。
物語冒頭のナゴの守から村を守る戦いで、彼の右腕にタタリ神の呪いを示す痣がつきました。
あの黒いドロドロが腕につくシーンです。
村の長老のヒイ様によると、
「呪いは時間の経過で骨の髄まで達し、死に至る毒を持つ」
ようです。
怒りや憎悪、戦闘意思などに反応してしまい、命と引き換えに潜在能力を引き出す力もあります。
そして、アシタカ自身にも超人的な変化が起きています。
弓を射る際は痣周辺の筋肉が肥大化し、一矢のみで敵の腕や首を吹き飛ばしたり、素手で大太刀の刀身を曲げたりするシーンがありますよね。
最後には奪われたシシ神の首を取り戻す代わりに、タタリ神から受けた呪いが解かれますが、「過ちを繰り返さない」戒めとして、一部の痣は残されているようです!
タタリ神になる条件はなに?
自身が傷ついたとき
タタリ神になってしまった状況をみると、総じて身体に瀕死レベルの重傷を負った時であり、それによって死への恐怖を体感した時でした。
そして身体だけでなく同胞が傷付けられたことによる心のダメージも影響しているようです。
心が傷つくことによって負の感情が引き出されますよね?
ナゴの守や乙事主は自身が重傷の傷を負ってしまい、仲間を失う心のダメージの影響でタタリ神になりました。
またアシタカの呪いも、戦闘時の殺意などに反応しているため、タタリ神化に負の感情が関係することは間違いないでしょう。
怒りや憎しみの感情が心を支配されたとき
ナゴの守や乙事主は心身ともに大ダメージを負った結果、負の感情が増大してしまいタタリ神になってしまいましたね?
その時に、怒りや憎しみの感情が心を支配されてしまい、我を忘れてしまった生き物はタタリ神になってしまうのも条件の一つでしょう。
しかしヒイ様によると、
「少なくともナゴの守クラスの動物神がタタリ神になることは普通はあり得ない」
とのことです。
動物神たちは本来だと、自らの心を制御することに長けていたはずです。
そんな動物神でさえ抑えきれないほどの怒りの原因を、エボシ御前たち人間が作り出してしまった、ということでしょう。
それだけ深く自然界を傷つけてしまい、搾取し、彼らを虐げてきた人間の残酷さも読み取れてきます。
【もののけ姫】サンが口移しした黒い食べ物ってなに?
引用:スタジオジブリ
サンが手に持っている木の皮のようなものって、何だろう?と思ったことはありませんか?
この後、サンはぐったりしているアシタカに黒い食べ物を自分の口で噛みくだき、口移しで食べさせてあげるシーンになりますよね!
Yahoo!知恵袋でも質問がありました。
もののけ姫で サンがアシタカに口移しで与えてる食べ物はなんでしょうか?? ビーフジャーキーではないですよね?笑
引用:Yahoo!知恵袋
黒い食べ物は干し肉だった!
宮崎駿監督が描いたもののけ姫の絵コンテ集によると、干し肉と書いてあるそうです!
干し肉といえば赤黒くて、繊維質な感じの食べ物ですよね。
噛み切るときの音も「ブチッ」という感じで、ちょっと油分や水分を含んでいるような湿った音がしました。
これが木の皮であれば、もっと乾いた軽いカサカサとした音がすると思います。
しかも干し肉にテカりの表現が施されていますよね。
このことから、油分が含まれている証拠ではないでしょうか?
それ以外にも、実は干し肉の可能性が高いと思われる伏線的なシーンがありました。
タタラ場の民たちが、牛を引っ張って山を越えようとしているところに、山犬を率いたサンが襲撃をかけるシーンがあります。
そこで何頭かの牛と何人かの牛飼いは、がけ下へと転落してしまいます。
その後、サンがモロの傷から血を吸い出しているところに、アシタカがやってきて初めて二人が出会うシーンになります。
そのシーンの最後で、山犬は牛を口にくわえて持って帰ります。
そのことからも、サン達は牛の肉を食料としていることが考えられます。
【もののけ姫】に出てくる黒いやつはなに!?その正体は一体?のまとめ
- 黒いやつの正体は「猩々」
- 猩々はオランウータンの和名
- 猩々の見た目はオランウータンに近い存在
- 性格は、作中では卑劣で卑屈な存在だが、本来は森の賢者と言われるほど知能が高く尊い存在だった
- 猩々は能の演目にもなっている
- 妖怪として扱うこともある
- 黒いドロドロの正体は「タタリ神」
- タタリ神になる条件は、自身が傷ついたときと怒りや憎しみの負の感情が心を支配されてしまうとき
- サンがアシタカに口移しで食べさせている黒い食べ物は「干し肉」
もののけ姫には一つ一つの存在にテーマがあり、とても考えさせられる作品となっているのじゃないかと思います。
小さいころ初めて見た時は、腕が吹っ飛んだり、頭が鉄砲で撃たれたりとグロイシーンが多くてしっかりと内容が見れなかったのですが、大人になって見ると、人間と自然界の共存の仕方がまさに私たちの生きる世界にも通じるところがありますよね。
他のジブリ作品に比べて、少々重い印象のあるもののけ姫ですが、とにかく世界観は美しいのでとても見ごたえのある作品です!
ぜひテレビで放送されたときは、「黒いやつ」たちに注目して見てみてください♪