木材やアクリル板を加工する手段の一つがレーザーです。
DIYが人気になり、家庭でもレーザー加工をしようとする人もいるようです。
今回は、レーザー加工できないもの、レーザーの原理やメリット・デメリットをまとめました。
レーザー加工に興味のある方は是非参考にしてください。
Contents
レーザー加工できないものは?レーザー加工できない素材は4つ!
レーザーは素材をくり抜いたり切断したり、柄をいれたりと、素材の加工をするときに使われます。
多くのものがレーザーで加工できますが、中には加工できないものもあります。
レーザーで加工できないものにはどのようなものがあるのでしょうか。
レーザーで加工できないものは4つ!
レーザーで加工できないものは以下の4つです。
レーザー加工できないものは4つ!なぜ加工できないの?
レーザーで加工できないのはポリ塩化ビニール、鏡、テフロン、フッ素・塩素・ヨウ素・アスタチンを含むもの。
なぜレーザーで加工できないのでしょうか。
レーザーで加工できないもの①:ポリ塩化ビニル
ポリ塩化ビニルはレーザーで加工すると人体に悪影響を及ぼす有害なガスが発生します。
そのため、レーザーでの加工はできません。
レーザー加工機にも錆がつくので、機械にも人体にも悪影響です。
ポリ塩化ビニルは、プラスチックの一種です。
上下水道管や波板などの建築資材、家具のレザーなど使用されます。
レーザー加工できないもの②:鏡
鏡のようにレーザーの光を反射する素材は、レーザーの光が素材に届いても反射してしまうので加工できません。
また、反射したレーザーの光で機械自体を傷つけてしまう可能性があります。
鏡に限らず、反射するような素材のものはレーザーでは加工しないほうが良いでしょう。
レーザー加工できないもの③:テフロン
テフロンは、フライパンの表面の加工で有名ですね。熱や薬品に強く、水や油などの物質をはじき、汚れが付かないという特徴があります。
テフロンは、レーザーで加工すると有害な煙が発生しますので、加工できません。
レーザー加工できないもの④:フッ素、塩素、ヨウ素、アスタチン
フッ素、塩素、ヨウ素、アスタチンもレーザー加工すると有害な煙が発生します。
フッ素は、虫歯予防のイメージを持っている方も多いでしょうか。
海水に含まれている成分で、骨や歯を作るのに欠かせない物質です。
塩素は、ハイターなどに含まれます。
毒性が強いため、使い方を間違えると人体にとって有害です。
先に述べたポリ塩化ビニルも塩素の一種です。
ヨウ素は、主に昆布やわかめ、のりなどの海藻に含まれる成分で、人体にとってなくてはならないミネラルです。
アスタチンは不安定な元素で、科学的な性質はヨウ素に似ていると考えられています。
実験中に崩壊し、他の元素に代わってしまうため研究が進まず、まだよくわからないところも多い物質です。
レーザー加工ってどういうこと?レーザー加工の原理を調べました。
そもそもレーザー加工ってどういうものなのでしょうか。
レーザー加工の原理を見ていきましょう。
レーザー加工ってなに?どういうことをするの?
レーザー加工というのは、レーザー光線を使って素材を加工することです。
レーザー加工機を使うことで、素材を大量に加工することができます。
ゴム素材や布地にも文字を記したりすることが出来るんです。
また、加工とは違いますが、医療でもレーザーの導入が進んでいますね。
手術時に出血を抑えるためにレーザーメスを使ったり、虫歯にレーザーを当てて治療したり、美容整形の分野でも使われます。
レーザー加工の原理は?
アニメやゲームで見るレーザーは、レーザーの光で周りの建物などが切断されたりする光景が多いように思います。
そう考えると、レーザー光線はすごい威力を放っていることになりますね。
実際、金属加工用のレーザーは金属を切断したり穴をあけたり削ったりするので、人体が触れたら大変です。
とても危険なので、レーザー加工機を扱う時には、メンテナンスの時を含め、細心の注意が必要です。
レーザー加工は光の波と原子や分子の振動によって、すごい威力が出せるようになっています。
レーザーに金属を溶かすほどの威力があるのは、光の波を合わせているためです。
通常、光は太陽や電灯のようにあらゆる方面に発せられます。
太陽や電灯の光の色は白いですが、白く見えるのはいくつもの光が合わさっているためなんです。
絵具は色々な色が混ざると黒くなりますが、光は色が混ざると白く見えます。
また、太陽の光はあらゆる方向に発せられるのでそれぞれの波はバラバラです。
ですが、レーザーの光は一点集中しているので光の波がそろうのです。
一点集中して波がそろった光をレーザー加工機のレンズに通すと、さらに密度の高い光ができあがり、威力が増します。
ホースから出る水を散水ノズルやホースを指でつまんで細くすると、水が出る勢いが増すことと同じ原理になります。
ホースの水を細くして強力にする散水ノズルにあたる部分が、レーザー加工機のレンズにあたります。
加工機の中を通ってきた光をレンズで細くすることで光を一点に集中させて、威力をあげて素材を溶かしているんです。
さらに、素材にレーザーを当てることで、素材の原子や分子が振動し急激な発熱が起こります。
高熱になるので、熱で素材を溶かします。
溶かした素材をアシストエアーという空気砲のようなもので瞬時に飛ばします。
そうすることで、穴をあけた部分を綺麗にしながら素材を掘り進め、穴をあけたり文字を掘ったりしています。
レーザー加工のレーザーって1つだけ?レーザーに種類はあるの?
レーザーには、一般的に使われているもので3種類あります。
それぞれの違いを見てみましょう。
レーザーの種類①:CO2レーザー
3種類のうち最も使用されています。
二酸化炭素を利用するガスレーザーの加工機です。
値段は他2種類の加工機よりも安いです。
金属、木材、ゴム、ガラスなどほとんどの素材に適応できますが、アルミや銅など反射が強い金属には向いていません。
レーザーの種類②:ファイバーレーザー
開発されたばかりの新しいレーザー加工機です。
CO2レーザーには向かない銅やアルミなどの反射が強い金属の加工ができます。
加工機自体は高いですが、レーザーガスがいらなかったり、エネルギー効率が良かったりとコストが安く抑えられます。
レーザーの種類③:YAGレーザー
医療でも使われるレーザーです。
金属加工では主に溶接と刻印に使われ、溶接では薄い素材でも変形や歪みがなくきれいに仕上げることができ、スピードも早いです。
医療の現場では、歯や目の治療に使われています。
レーザー加工のメリットはなに?レーザー加工のメリットは5つ!
レーザーを利用して素材を加工すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
レーザー加工のメリットは以下の5つになります。
- 手間がかからない
- 仕上がりが綺麗
- 加工の自由度が高い
- 難易度の高い加工が可能
- メンテナンスに手間がかからない
レーザー加工のメリット①:手間がかからない
通常、素材を加工するためには型が必要になります。
型は、製品を早く均一に大量生産するために必要で、種類も様々なものがあります。
レーザー加工の場合は、型は必要ありません。
パソコンで型を作るため、一度作った後はデータを入力するだけで加工・生産ができます。
途中で型を交換したりする手間も省け、作業効率がよくなります。
レーザー加工のメリット②:仕上がりが綺麗
レーザー加工機を使えば加工後の処理に手間がかからず、切断面が綺麗に仕上がります。
加工の際に起こりえる歪みやひび割れのリスクも少なく、安定した品質を保つことができます。
レーザー加工のメリット③:加工の自由度が高い
加工できる素材の幅が広いので、いろいろな素材を加工することができます。
硬い金属や柔らかい布地でも、レンズや照射の出力を変えることで問題なく加工できます。
熱で変形してしまうような薄い素材でもレーザー加工なら大丈夫です。
また、穴あけや切削以外にも溶接や熱処理、刻印などの加工も可能です。
レーザー加工のメリット④:難易度の高い加工が可能
レーザーにより複雑な形でも簡単に加工できるようになりました。
レーザーの光が細いので、細かく小さな場所でも正確に穴があけられますし、曲線の切断でもレーザーなら安定して加工ができます。
複雑な絵柄や、錆にくくするなど製品の表面改善もレーザー加工で可能です。
レーザー加工のメリット⑤:メンテナンスに手間がかからない
レーザー加工では材料と工具が接触しません。
そのため、刃物や研削盤などを消耗することがなくメンテナンスに手間がかかりません。
メンテナンスで必要なのはレンズをきれいにしたり、アシストエアーを清掃したりする程度です。
また、加工時に材料を切った後の粉塵が発生しないので、除去する手間も省けます。
レーザー加工にデメリットはある?レーザー加工のデメリットは4つ!
メリットがたくさんあるレーザー加工ですが、デメリットはどのようなことでしょうか。
レーザー加工のデメリットは以下になります。
- 加工速度が遅い
- 厚い素材の加工がしにくい
- 反射率の高い素材は加工できない
- コストが高い
レーザー加工のデメリット①:加工速度が遅い
切削加工やプレス加工と比べると加工速度が劣ります。
様々な加工方法があるレーザー加工ですが、速度重視で見ると他の加工方法に比べて不利な面があるようです。
レーザー加工のデメリット②:厚板の素材は加工しにくい
レーザー加工には適切な焦点距離があります。
その焦点距離の範囲を超えてしまうと、エネルギー密度が低下して素材が溶かせなくなるのです。
レーザー加工のデメリット③:反射率の高い素材は加工できない
アルミや銅など反射率が高いとされている素材は、古いタイプのレーザー加工機だと上手く加工できないことがあります。
レーザーの光を弾いてしまい、素材に熱が伝わらないので加工できません。
最近では、反射率が高い素材でも加工できるレーザー加工機が登場していますので、レーザー加工機を購入する際は加工できる素材を確認しましょう。
レーザー加工のデメリット④:コストが高い
レーザー加工機は高いです。
電気代やガス代などの光熱費に加えて、焦点レンズやミラーも古くなると交換が必要です。
レーザー加工でできる加工方法は?レーザー加工機でできること!
レーザー加工機ではどのような加工ができるのでしょうか。
レーザー加工ではできるのは次のことです。
-
- カット(切断)
- マーキング(刻印)
- レーザー彫刻
- グラフィックイメージング(写真彫刻)
レーザー加工機でできること①:カット (切断)
幅広い素材に対して断面を綺麗に切断することができます。
カットを綺麗にするためには、加工材料により効果的なレーザーの強さを選択することが必要です。
たとえば、薄い紙などを切断するには10W程度、厚さ10ミリのアクリル板を切断するには50W以上が効果的なようです。
レーザー加工機でできること②:マーキング(刻印)
文字やロゴの刻印ができます。
金属への刻印が可能なものもあります。
レーザー加工機でできること③:レーザー彫刻
立体感のある彫刻ができます。
細かな彫刻が可能なものもあります。
レーザー加工機でできること④:グラフィックイメージング(写真彫刻)
写真の彫刻ができます。
グラフィック イメージングは、写真プリントや紙に印刷したものと違って劣化することはありません。
レーザー加工機が欲しい!!レーザー加工機の選び方は何を基準にしたらいい?
レーザー加工機を選ぶときは次の2点を確認しましょう。
- レーザー出力
- 加工できる範囲
レーザー加工機の選び方①:レーザー出力
ワット数で表示されています。
数字が大きいほど早く加工できます。
出力が1500mWであれば以下のものが加工可能です。
- 紙
- 木材
- プラスチック
- ゴム
- 竹
- 皮革
1500mWでもいろいろなものが加工できますので、1500mWを基準に加工機を探しましょう。
レーザー加工機の選び方②:加工できる範囲
加工エリアの幅が広いほど、大きな絵や文字が描けるようになります。
購入したい機種がどのくらいの範囲のもの加工できるのかを確認しておきましょう。
レーザーで加工できないものは?レーザー加工できないもの4つ!!のまとめ
- レーザー加工できないものは、ポリ塩化ビニル、鏡、テフロン、フッ素・塩素・ヨウ素・アスタチンなどである。
- レーザー加工は、レーザー光線を利用して素材を加工すること。
- レーザー加工の原理は、光の波と分子や原子の振動である。
- レーザー加工のメリットは、手間がかからない、仕上がりが綺麗、加工の自由度が高い、難易度の高い加工が可能、メンテナンスに手間がかからないこと。
- レーザー加工のデメリットは、加工速度が遅い、厚板は加工しにくい、反射率の高い素材は加工できない、コストが高いこと。
- レーザー加工機を選ぶときは、レーザーの出力と加工できる範囲を確認する。
いかがでしたか?
レーザー加工は基本的には反射するものや有害ガスが発生するものは加工できません。
機種によって金属がダメだったり厚さに制限があったりもするようです。
レーザー加工機の購入を検討している人は、加工できるものなどを確認してから購入すると良いと思います。
DIYの流行により、自分でいろいろなものが作れると楽しいし自分で作ったものに愛着が湧きますよね。
DIYを楽しむためのツールとして、安全にレーザー加工も楽しめたらいいなと思います。