秋の味覚といえば、秋に旬を迎える果物。
例えば葡萄や梨、柿や栗などいっぱいあります。
今回はその中でも柿について詳しく見ていこうと思います。
縄文時代や弥生時代の遺跡から柿の種が見つかったとされるほど歴史の古い「柿」。
現代でも秋の味覚の1つであったり、おせち料理として食べられたりと皆に愛され続ける食べ物です。
そして柿は実を食べるだけではありません。
皮は漬物、葉は寿司やお茶の代わり、柿渋は染料や防腐剤、ヘタや種は漢方として。全ての部位が様々な形に変わりながら日本人の生活に深く関わっています。
また、果実として栽培される柿は渋さによって「甘柿」と「渋柿」に分かれています。
柿とは何かを知ると共に、それぞれの代表ともいえる「刀根柿」と「富有柿」について詳しく理解していきましょう!
Contents
刀根柿と富有柿の違いと見分け方
刀根柿と富有柿は一見同じように見えますが、旬やしぶなどに違いがあります。
発祥の違いなどは後程解説しますが、まずは大まかな違いをみていきましょう。
見た目の違い
刀根柿も平たいのですが、丸みのある四角形に近い形です。種がない品種として有名です。色は濃いオレンジです。
富有柿は前から見ると、だ円のような形をしていて、丸みを帯びています。福岡県産のものは赤が強い傾向にあり、岐阜県産はオレンジに近いです。
旬の違い
刀根柿は9月下旬から10月中旬ごろ、店頭に並びます。ハウス栽培の早生だと、7月でも収穫できるものもあります。
一方富有柿は、10月中旬から12月下旬が最盛期です。年明けにも店頭で見かけることがありますが、それは収穫後に一度冷蔵保存されたものです。
しぶの違い
刀根柿は、実の中で種が育つにつれて種のまわりのみしぶが抜けてゆく「不完全渋柿」です。アルコールなどでしぶを抜いてから出荷されます。
富有柿は、種が育つ前から渋が抜けている「完全甘柿」です。
食感の違い
刀根柿は実は硬めで、噛むとカリッと音がするような食感です。
富有柿は、硬いものと完熟した実で食感がかなり変わります。糖度は16度前後とメロンくらいあるので、とても甘いですね。
柿ってどこが発祥でどんな食べ物なの?
カキノキ(柿の木)はカキノキ科カキノキ属の1種の落葉樹で、日本・韓国・中国に多くの在来品種があり、中国の長江流域に多く自生しています。
そして、熟した果実(柿)は食用とされ、ビタミン類や食物繊維が多く含まれているため身体にとても良い食べ物として知られています。
柿の発祥はどこ⁉︎
中国から日本に伝来したと言われる当初の柿は実が渋い「渋柿」で、渋みを抜いて干し柿や熟柿にして食べていました。
実が甘い「甘柿」は鎌倉時代に突然変異によって偶然生まれたもので日本固有種のもの。江戸時代にたくさん品種が生まれ、現在では1,000種以上にまで増えています。
渋柿は寒冷地、甘柿は温暖地域で栽培されています。
食べるとどんな効果があるの⁉︎
柿は特にビタミンCとβカロテンが豊富で、栄養価の高い果物として知られています。
- ビタミンCには免疫力を高める働き
- βカロテンにはウイルスなどから身体を守る働き
その他にも多くの身体に良い成分が詰まっていて、食物繊維やカリウムは高血圧の予防に、タンニンはアルコールの吸収を妨げる働きがあります。
「柿が赤くなれば、医者は青くなる」などと言った言い伝えもあるほどです。
渋柿の代表・刀根柿(とねがき)
引用:楽天市場
渋柿とは、実が熟していても果肉が固く渋みが残っている柿のこと。代表的な品種に新潟県発祥の平核無や平核無から枝変わりした刀根早生(刀根柿)があり、この2種で渋柿生産量の55%を占めます。
渋柿はさらに「不完全渋柿」と「完全渋柿」に細分化されます。
「不完全渋柿」は種が入ると種の周辺だけ渋みが残るもの、「完全渋柿」は種が入っても渋みが抜けないものの事をいい、平核無や刀根早生(刀根柿)は不完全渋柿にあたります。
刀根柿の由来
奈良県天理市の刀根淑民氏が台風で折れた平核柿を根本から顔を出した若木に接木して育成したところ、普通の平核柿より10〜15日ほど早く実をつける柿になったそうです。
それを育成し1980年に品種登録されました。名称は育成者の刀根氏の名字に由来しています。
刀根柿の産地
1位は和歌山県、2位は奈良県、3位は新潟県で、和歌山県は生産の約半分を担っています。
刀根柿の特徴
- 大きさが240gほどで形は偏平で四角に角張っており種はありません。
- 開花期は富有柿より3日早い5月中旬で収穫時期は9月中旬〜10月上旬。
- 果皮の色は黄橙色で光沢があり、糖度は平均14度もあり日持ちします。
- 果肉が硬くなく柔らかすぎず程よい食感で、極めて多汁でさっぱりした味です。しかし収穫期の気象条件(高温)により軟果する場合があります。
刀根柿の食べ方や保存方法
くし形に切って皮を剥いて食べます。
冷やしすぎると甘さの感じ方が薄れてしまうため、食べる直前に冷やすのがオススメです。
刀根柿は日持ちしますが、常温で保管すると2、3日ほどで柔らかくなります。硬めのまま食べたい場合は、密閉して冷蔵庫の野菜室で保存すれば1週間ほど日持ちします。
柔らかめで食べたい場合は、新聞紙で包んでポリ袋に入れて常温で放置すると良いです。
甘柿の代表、富有柿(ふゆうがき)
引用:楽天市場
甘柿とは渋柿の突然変異種と考えられている。
日本初の甘柿は1214年、現在の神奈川県川崎市にある王禅寺で偶然発見された禅寺丸。代表的な品種に富有柿があり甘柿生産量の60%を占め、柿の中で最も多く生産されている品種です。
甘柿はさらに「不完全甘柿」と「完全甘柿」に細分化されます。
「不完全甘柿」は種が多く入ると渋みが抜けるもの、「完全甘柿」は種が入らなくても成熟とともに渋みが抜けていくものをいい、富有柿は完全甘柿にあたります。
富有柿の由来
富有柿は岐阜県瑞穂市居倉が発祥とされています。
1857年に小倉初衛が栽培を始めた御所系統の柿の木が起源とされ、その木を福島才治が別の木に接木して育成したものが1898年の柿品評会で一等賞となり、広く世に知られる様になりました。
富有柿の産地
1位は奈良県、2位は福岡県、3位は岐阜県となっており、3県で全国の半分以上を占めています。
富有柿の特徴
- 形が丸に近い四角で果皮はすべすべしていて光沢があります。産地により色や形が少し違い、福岡県産じゃ赤が濃く腰高、岐阜県産などはやや橙が強く比較的平たい形をしています。
- 開花期は5月中旬で収穫時期は11月中旬〜下旬。糖度は平均15〜16度。玉揃いが良く形が整ってます。
- 果汁がとても多くとろけるような柔らかさがあり、渋抜けがよく地域に適応しやすいです。しかしヘタヌキ性が少しあるのでスムーズに大きくさせる水管理が重要になってきます。
富有柿の食べ方や保存方法
甘柿は種子の周辺やお尻の部分が甘みが強いです。そのため縦にくし形にして切って食べると甘味をバランスよく感じられます。
果肉が柔らかくなりすぎた場合は、凍らせてシャーベットにして食べるのも良いでしょう。
少し硬めのものは果物でなく料理に加えるのもオススメです。千切りにして大根と柿のなますにしたり、ほうれん草や人参や椎茸などと一緒に白和えにしても美味しく食べられます。
富有柿は常温保存だと2日前後で柔らかくなります。硬い食感が好みであったり日持ちさせたい場合は、密閉して冷蔵庫の野菜室で保存します。
柔らかくなっているものはヘタを下に置いて冷蔵庫保存をして、早めに食べ切りましょう。
刀根柿と富有柿の違いを知りたい!柿の中で最も代表の品種‼︎ まとめ
中国から日本にやってきた渋柿は、日本で突然変異し甘柿が誕生しました!
柿は栄養満点でいろんな効果があり、現在では1,000種以上もの品種があります。
【刀根柿の特徴】
- 刀根柿は渋柿(不完全渋柿)。
- 開花期:富有柿より3日早い5月中旬。収穫時期:9月中旬〜10月上旬。
- 果皮色:黄橙色で光沢がある
- 果肉が程よい硬さ
【富有柿の特徴】
- 富有柿は甘柿(完全甘柿)
- 開花期:5月中旬。
- 収穫時期:11月中旬〜下旬。
- 果皮色:地域によってさまざま
- 果肉がとろけるような柔らかさ
様々な柿の特徴を知り、自分にピッタリの好みの柿を見つけてみてくださいね。