リフォームや新築を検討する際によく聞く「サイディング」。
サイディングとは外壁に張る板材のことですが、丈夫そうに見えてやはり寿命はあります。
しかし、それはメンテナンス次第!メンテナンスを怠れば大変なことに! 安心安全な長持ちする家にするには!?
Contents
サイディングの寿命は約40年!
建物の外壁に使用する薄い板状の外壁材のことを「サイディング」と言いますが、日本の家屋の実に89.1%がサイディングを使用しています。
そのサイディングの寿命…、つまりサイディングの耐用年数はどれくらいかご存じですか?
サイディングの寿命は【約40年】と言われています。
サイディングは経年劣化の影響を受けやすいため、年数が経つことにより、徐々に塗装が剥がれてきます。
外壁の種類 | 寿命 |
---|---|
サイディング | 40年 |
モルタル | 30年 |
ALC | 60年 |
コンクリート | 60~100年 |
タイル | 40年 |
しかもこの「寿命」は、
定期的に適切なメンテナンスを行った上でのサイディング自体の寿命です!
つまり、メンテナンスを怠ると寿命は縮みます。
サイディングの寿命のためにはメンテナンスが大事!
外壁仕上げは、「窯業サイディング」が76.8(80.4)、さらに「サイディング合計」で89.1(90.9)を占める。「モル タル」は7.6(5.4)となっている。
*数値表記:今回%(前回%)
引用 一般社団法人日本サッシ協会(2022年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要)
現在使用されている外壁のほとんどはサイディングとモルタルですが、その二つの違いは以下のようになっています。
サイディングとモルタルの違い
- サイディング外壁⇒「サイディングボード」と呼ばれるパネルを適切なサイズにカットし、壁に沿って張り合わせる外壁
- モルタル外壁⇒セメント・水・砂を混ぜ合わせて作られる建築材料を壁に塗る外壁
サイディングは初期費用や価格が安く、また耐水性・防火性に優れ、種類やデザインも豊富なため、日本家屋の約9割で使用されています。
しかし、サイディングも絶対ではないため、外壁を守る表面部分が劣化・損傷することで、内部が雨や紫外線で直接浸食され、寿命が縮んでしまいます。
この状態を放置すると、外壁自体がもろく、危険な状態になってしまうため、適切なメンテナンスを行い寿命を延ばすことが大切になってきます。
寿命を過ぎた段階でメンテナンスを行うよりも、適切な時期にメンテナンスを行えば、結果的に修繕費が安くつき、また寿命も伸びます。
そのため、メンテナンスはとても大事なんです!
【種類別】サイディングのメンテナンス時期とそれぞれの特徴は?
サイディングの種類は主に4種類あります。
それぞれ主成分が違うため、メンテナンス時期も変わってきます。
では、サイディングの寿命を長持ちさせるためのメンテナンス時期とそれぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
種類 | メンテナンス時期 |
窯業系サイディング | 7~10年 |
金属系サイディング | 10~15年 |
木質系サイディング | 8~10年 |
樹脂系サイディング | 10~20年 |
サイディングの種類①|窯業系サイディング
引用 KMEW
窯業系サイディングのメンテナンス時期:7~10年
窯業系サイディングとはセメントと木質系の繊維をおもな原料とした外壁材で、一般的にサイディングと言えば窯業系サイディングのことを言います。
耐火性・耐震性・デザイン性に優れ、施工できる業者も多く、何より安価というメリットがありとても人気です。
その反面、シーリングのメンテナンス費用が高いことや全面改修時の費用が高いことなどがデメリットとしてあげられます。窯業サイディングはかなり重く、容積があるからです。
張り替え費用に関しては他のサイディング材に比べて高額です。
サイディングの種類②|金属系サイディング
引用 KMEW
金属系サイディングのメンテナンス時期:10~15年
金属系サイディングとは、金属製の板(鋼板)を成型した外壁材で、昔はトタンが主流でした。最近では耐久性が高い「ガルバリウム鋼板」や「アルミ」「ステンレス」などが使われています。
重いイメージのある金属ですが、実際は軽量なため、家屋に負担をかける心配がなく、耐震面でも安心できます。
また、耐久性や断熱性、遮音性にも優れた外壁材として窯業系サイディングの次にシェアが高く、リフォームの際に使われる外壁としては最も人気があります。
ただ、金属ゆえに雨や潮風の影響で「サビやすい」というデメリットもあるため、海が近いエリアではあまりおすすめできません。
その他、デザインがシンプルなものしかない、少し割高などのデメリットがあります。
サイディングの種類③|木質系サイディング
引用 有限会社 瀨上製材所
木質系サイディングのメンテナンス時期:8~10年
木質系のサイディングは無垢の木を用いた外壁材で、住宅だけでなくおしゃれな店舗の外壁としてもよく使用されます。
戦前の戸建て住宅では最も使用される外壁材でした。
木は水分を吸収すると腐朽や反りの原因にもなるため、他のサイディングよりも扱いが難しく、より厳格なメンテナンスが必要になります。
また、断熱性に優れてはいるのですが、木なので湿度が高い場所ではおすすめできません。
サイディングの中では最も金額が高く、メンテナンスコストもかかります。
サイディングの種類④|樹脂系サイディング
引用 旭トステム外装株式会社
樹脂系サイディングのメンテナンス時期:10~20年
樹脂系サイディングは、塩化ビニール樹脂を主原料とした米国生まれの外壁材です。
米国では外壁材の中では約半数を占め、一番普及していている外壁材です。
しかし、日本での普及はまだまだで、全体のシェアは1~2%程度です。今後シェアが拡大する可能性がある注目の外壁材です。
耐久性が非常に高めで、雨や塩害にも強く、メンテナンス周期も他のサイディングに比べると長めです。商品によっては30年の保証がついているものもあります。
シーリングを用いず施工できるといった特徴があります。
サイディングのメンテナンスを要する劣化サイン7つ!
種類別でサイディングの特徴・メンテナンス時期をみてきましたが、通常のメンテナンス時期よりも早めに対処が必要となる場合もあります。
以下のような劣化症状が出た場合は、サイディングのメンテナンス時期が来ていなくても早めに対処しましょう。
そうしないと、サイディングの寿命に影響が出てきますよ。
サイディングの劣化サイン①|塗装のひび割れ・剥がれ・膨れ
塗装の劣化により、塗装自体がひび割れしたり、剥がれたり、また隙間から水分が侵入して膨れてきたりします。すると、外壁に紫外線や雨が直接当たるようになるので、サイディング本体が劣化します。
防水性が低下し、雨漏りなどにつながる恐れがあるため、早急なメンテナンスが必要です。
サイディングの劣化サイン②|サイディングのひび割れ
サイディングのひび割れは、地震などによる建物の揺れや塗装の劣化、また、窓サッシなどの重みによって起こります。
そのまま放置すると外壁の内部に水が侵入し、雨漏りや(内側の)木材の腐食、シロアリ被害につながるため、早急なメンテナンスが必要になってきます。
サイディングの劣化サイン③|サイディングの浮きや反り
劣化したサイディングは雨水を吸水して膨張し、反対に乾くと浮いて反ってしまいます。
一度サイディングは反ってしまうと元に戻せず、反りの状態によっては交換が必要になってきます。そのため、外壁を横から見て少しでも反りを見つけたら、早急にメンテナンスをしましょう。
サイディングの劣化サイン④|目地のひび割れ
サイディングとサイディングの継ぎ目の目地部分が、紫外線によって劣化し、ひび割れを起こすことがよくあります。
最初は弾力のある素材ですが、年月が経つと徐々に固くなり、ひび割れが起こります。
目地がひび割れてしまうと、地震などの揺れを緩和する「緩衝材」としての役目を果たせなくなり危険です。また、ひび割れの隙間から水が侵入して建物内部が傷む可能性があります。
目地のひび割れを見つけた場合は、早めにメンテナンスをしましょう。
サイディングの劣化サイン⑤|チョーキング
チョーキングは、外壁に塗った塗料に含まれている顔料が、紫外線などの影響で劣化し、白い粉となって浮き出てくる現象です。サイディングの表面を手で触ると粉がつくので分かります。
チョーキングが発生している外壁は、サイディングを保護している塗料が劣化している証拠なので、早めのメンテナンスが必要です。
放置すると建物内部に水が侵入しやすくなります。
サイディングの劣化サイン⑥|サイディングの色あせ
外壁の劣化症状で最も多いのがサイディングの色あせです。色あせは紫外線や雨風の影響で、外壁の塗装が劣化しているときに発生します。
外壁が色あせてしまうため見た目は悪いですが、機能性が全て損なわれているわけではないため、メンテナンスの緊急性は比較的低いです。しかし、サイディングの寿命を延ばすためにもメンテナンスを検討しましょう。
サイディングの劣化サイン⑦|サイディングのカビ・こけ
外壁が水分を含むようになると、カビやコケが繁殖します。表面にだけ付着している場合は水洗いでも落とせるので、早急なメンテナンスは必要ないです。
しかし長い間放置するとカビやコケが根を張り、サイディングの寿命が早まってしまいます。定期的にチェックしましょう。
サイディングの寿命を延ばすためのやり方と費用は?
サイディングの寿命を延ばすためには劣化症状が見られたら、そのまま放置せずに適切なメンテナンスを行うことが必要になります。
では、サイディングのメンテナンスとは「どんなやり方」で「どれくらいの費用がかかるのか」詳しくみていきましょう。
※メンテナンス費用に関しては材料費だけではなく足場代や職人費用なども含めて計算しています。
メンテナンスのやり方と費用①|シーリング工事
シーリングとは、サイディングとサイディングの継ぎ目の目地や、サイディングと窓枠のサッシなどの間に詰められている「ペースト状」の詰め物のことです。
ボードの隙間からの雨水の浸入を防止し、外部からの振動を吸収する役割を持っています。
外壁の塗装工事と一緒のタイミングで行う場合がほとんどですが、高耐久のサイディングの場合は、先にシーリングの交換工事だけを行うこともあります。
家の造りによっては交換できない場所もあり、その場合は交換ではなく「増し打ち」というやり方で既存のシーリングの上から新規のシーリングを打つことを行ないます。
シーリング工事の費用相場
延床面積30坪の場合で20~45万円程
メンテナンスのやり方と費用②|塗装工事
サイディング表面の塗装が劣化すると、サイディング自体が水を吸い、吸水と乾燥を何度も繰り返すうちに反りや浮きが発生してきます。
サイディング自体が傷んでしまう前に表面の汚れを落とし、新しく塗装します。
使われる塗料の種類によって「メンテナンス時期」や「費用」が変わります。
サイディング自体のメンテナンス時期が長くても、使われている塗料の寿命が短ければ、早めの塗替えが必要となります。
費用相場は塗料の種類によって変わってきます。
塗料の種類 | 寿命 | 費用相場(延床面積30坪の場合) |
---|---|---|
ウレタン | 8~10年 | 70~110万円 |
シリコン | 10~15年 | 80~125万円 |
フッ素 | 15~20年 | 90~135万円 |
無機 | 20~25年 | 110~165万円 |
サイディングの「寿命が過ぎた」場合のやり方と費用
サイディングに寿命が来たら、塗装ではなく「カバー工法」か「張り替え工事」を行います。
カバー工法
既存の外壁に新しいサイディングを重ね張りする工事のことで、基本的には、軽量な金属サイディングを上から張りつけて行います。
延床面積30坪の場合で150~200万円程かかります。
張り替え工事
既存の外壁を剥がし、新しいサイディングを張り付ける工事のことです。他の工事に比べるとかなり大がかりな作業になります。
延床面積30坪の場合で200~250万円程かかります。
サイディングは寿命が来ると、表面が剥がれてきたり、常に水を吸っている状態になってもろくなってしまいます。
そのままにしておくと、雨漏りや内部の腐朽へつながり、最終的にシロアリの被害に遭います。
そのため、サイディングに寿命が来たら迷うことなくカバー工法か張り替え工事を行いましょう。
サイディングも永久ではないため、将来を見据えてメンテナンス費を確保しておくことはとても大事です!
サイディングの寿命を延ばすために自分でやれること3つ
サイディングの寿命は、適切なメンテナンスをしなければ短くなってしまいます。
できるだけ寿命を長持ちさせるために、自分で普段からできることはあるのでしょうか?
サイディングの汚れを落とすため水洗いをする
サイディングは紫外線や雨風だけでなく「土汚れ」や「水垢」、「鳥のフン」などの汚れでも劣化を進行させる原因になります。
これらの汚れはサイディングの水洗いで取れるため、年に数回は掃除をするように心がけましょう。
海の近くにお住まいの方は「塩害対策」にもなるので、月1のペースで水洗いをするのが理想です。
なるべく高圧洗浄機の使用は控えましょう。
どうしても高圧洗浄機を使う場合は、表面の塗膜に悪影響が出る可能性もあるため、水圧に気を付け、塗膜を傷つけないように注意しましょう。
定期的に点検をする
サイディングの小さな変化にすぐ気づけるよう、定期的にサイディングをチェックする癖をつけましょう。
劣化症状の判断が難しい場合は、専門業者に依頼すれば無料で点検をしてくれることが多いです。
その場合は、複数の業者に点検を依頼し、見比べてより良い業者を選ぶようにしましょう。
寿命の長い塗料を選ぶ
上で説明した、メンテナンスのための塗装工事での塗料を、寿命の長いものを使うようにすることも大切です。
寿命の長い塗料は、メンテナンスの回数が減らせるというメリットがある反面、コストは高めです。
今後、何年くらい持たせたいか、予算はどれくらいか、選んだ塗料を扱える業者はいるのかなどを考慮して選びましょう。
サイディングの寿命は約40年!安心安全な長持ちする家にしよう!のまとめ
- 定期的に適切なメンテナンスを行った上でのサイディング自体の寿命は約40年である。
- サイディングは初期費用や価格が安く、また耐水性・防火性に優れ、種類やデザインも豊富なため、日本家屋の約9割で使用されている。
- サイディングの種類は主に4種類あり、それぞれ主成分が違うためメンテナンス時期が異なってくる。
- 窯業系サイディング→7~10年
- 金属系サイディング→10~15年
- 木質系サイディング→8~10年
- 樹脂系サイディング→10~20年
- サイディングの劣化症状(ひび割れや浮き反り、チョーキングなど)が出た場合は、メンテナンス時期が来ていなくても早めに対処すること。
- サイディングのメンテナンスのやり方や費用相場(延床面積30坪の場合)。
- シーリング工事→20~45万円程
- 塗装工事(塗料の種類によって変わる)→70~165万円程
- カバー工法→150~200万円程
- 張り替え工事→200~250万円程
家をリフォームしたり新築にしたりする際に、ほとんどの方がサイディングのことは気にしてないと思います。
かく言う私も、現在実家のリフォームで頭を悩ませておりますがサイディングのことは全く考えてませんでした。。
最初の見積もり金額だけを考えて契約するのではなく、今後のメンテナンスのことも考えて…長期的な目で外壁も選んでいかないとだめですね!
そして、メンテナンスを怠らず、安心安全な長持ちする家にしていきます!
最後まで読んでいただきありがとうございました。