新鮮という理由で、しいたけを生で食べてみようかなと思った経験ありませんか?
それには、危険が潜んでいます。
この記事では、生しいたけを食べる危険性と対処法、さらに調理ポイントを詳しく解説します。
安全に食べるために、ぜひ読んで参考にして下さい。
Contents
しいたけを生で食べてしまったらどうしたら良いの?
しいたけは十分加熱してから食べるようにと、内閣府食品安全委員会でも注意喚起されています。
その理由は、とても特殊な皮膚の中毒である しいたけ皮膚炎を引き起こす場合があるからです。
また、下痢や腹痛、嘔吐などといった食中毒症状が起こることもあります。
そのため、しいたけを生で食べてしまい、なんらかの症状が出ているならば、医療機関の受診をおすすめします。
しいたけ皮膚炎とはどんな症状が出るの?
しいたけ皮膚炎は、生のしいたけを食べた時に起こることがあります。
しいたけ皮膚炎の症状
症状は、生のしいたけを食べてから1~4日以内に起こることが多いです。
この症状は、通常はアナフィラキシーショックなどの重大なアレルギー反応を引き起こすものではありません。
しかし、かゆみが非常に強いため、発症してしまうと治癒するまで、とても辛いと言われています。完治までには1~2週間程度かかります。
生焼けのしいたけに注意し、発症した場合は早めに医師の診察を受けることが大切です。
しいたけ皮膚炎の治療方法は?
しいたけ皮膚炎の治療は、特効薬がないため、自然治癒を待つしかありません。
しかし、かゆみが非常に強いため、症状を緩和するための対処療法となります。
主な治療方法は、ステロイドの塗り薬とかゆみ止めの抗アレルギー剤の内服です。
しかし、かゆみの激しい重症例では、ステロイドの短期内服が必要となります。
ステロイドによる治療について かゆみと発疹を和らげるために、処方されます。 ステロイドの塗り薬を患部に塗ることで、炎症を抑えることができ、かゆみを軽減させることができます。
抗アレルギー剤による治療について 強いかゆみを和らげるために、抗アレルギー剤を飲みます。 抗アレルギー剤を服用することにより、体内のヒスタミンの放出を抑え、かゆみを緩和することができます。
しいたけを摂取した後にかゆみや発疹が出てきたら、早めに医療機関を受診しましょう。
しいたけ皮膚炎の原因物質は?
しいたけ皮膚炎の原因は、完全には解明されていません。
しかし、同じような症状が、レンチナンという物質を含む抗がん剤を使用した場合にも見られることから、しいたけにも含まれているレンチナンが原因ではないかと考えられています。
しいたけは、加熱して完全に火が通っていれば安全です。
しかし、生焼けの状態のしいたけを食べると発症してしまうことがあります。
また、乾燥しいたけを戻しただし汁を加熱せずに使用したり、しいたけチップスを食べた場合でも発症することがあるので、注意して下さい。
しいたけを生で食べてしまうと食中毒になる?
しいたけを生で食べてしまうと、食中毒になる可能性があります。
しいたけに含まれるホルムアルデヒドの影響により、胃腸障害が起こるのです。この胃腸障害により、腹痛や吐き気、嘔吐、下痢といった症状が出てしまうのです。
しいたけを食べるのが怖くなってきたな。
ホルムアルデヒドは自然界にも存在しています。
そのため、人為的に添加をしていなくても、玉ねぎや鱈、しいたけといった食品等から検出される場合があります。
これらの食品から検出される濃度のホルムアルデヒドは、人の健康に害を及ぼさないとされています。
その理由として、ホルムアルデヒドは、水に溶ける水溶性のため、分解されて尿として排出されるからです。
また、ホルムアルデヒドの毒成分は、加熱によって分解されるので、しっかりと火を通して食べるならば影響はありません。
しいたけは、しいたけ皮膚炎になる可能性もあるため、しっかり加熱して食べるようにしましょう。
しいたけを安全に食べるための調理ポイントはあるの?
しいたけに火が通っているかどうかを見分けるには、4つのポイントがあります。
今回は、しいたけを切らずに丸焼きにした場合の見分け方になります。
しいたけの傘をよく見て、見分け方のポイントを確認してみて下さい。
ポイント
〈 しいたけの傘にシワができている 〉
火がしっかり通っているしいたけは、傘にシワができています。
焦げ目ではなく、傘にシワがあることが重要なポイントです。調理した後、シワがついていない場合は再加熱して下さい。
〈 しいたけの傘が小さくなっている 〉
しいたけにしっかり火が通っていると、しいたけの傘は調理前よりも小さくなります。
その理由は、しいたけから水分が出てきて、傘が縮むからです。
しいたけの大きさが変わらない場合は、再加熱が必要です。
〈 しいたけの傘がしんなりしている 〉
しいたけは、しっかり火が通ると、しいたけの傘の部分がしんなりしてきます。
しいたけを箸でつかんでみて、柔らかく感じられたら、火が通っているサインです。
〈 しいたけの傘の裏側に水分が浮き出ている 〉
しいたけにしっかりと火が通ると、しいたけの傘の裏側に水分が出てきます。
傘の白い部分に水滴がついているかどうかを確認して下さい。
だたし、味付けする前に確認をする必要があります。しいたけから水分が出てきたことを確認してから、味付けをするようにして下さい。
しいたけをしっかり加熱するための調理時間の目安は?
しいたけにしっかり火を通すために、調理時間も目安になります。
ただし、しいたけの大きさによって異なるため、大きめのしいたけの場合は、目安とする時間より少し長めに加熱するなどの工夫が必要になります。
その場合は、加熱時間を少しずつ調整しながら、先ほど紹介した見分け方のポイントをもとに確認してみて下さい。
フライパンに蓋をして焼く場合
蓋をして約3分程度
フライパンに蓋をせず焼く場合
約6分程度
電子レンジの場合
ラップをして約2分程度
電子レンジを使用して加熱する場合は、短時間で簡単に火を通すことができるため、とても便利です。
しかし、レンジを使用する調理方法は、蒸ししいたけとなるため、焼きしいたけを食べたい場合にはおすすめしません。
また、電子レンジで加熱調理する場合は、しいたけの軸を取り除き、傘の茶色い部分を下にして耐熱容器に入れて下さい。
しいたけ以外のきのこも生では食べられないの?
きのこは、原則加熱して食べることが推奨されています。
その理由は、食べることが可能とされているきのこに含まれる毒性がある成分は、熱に弱いため加熱すると無害化されるためです。
ただし、毒きのこと言われるきのこに含まれている毒性のある成分は、加熱しても無害化されないため注意が必要です。
今回は、食べることが可能なきのこの代表的なものであるえのきや舞茸、なめこ、そして高級食材で知られる松茸に含まれる毒性がある成分についてまとめてみました。
〈 えのき 〉
えのきには、フラムトキシンというたんぱく質が含まれています。
フラムトキシンは、溶血作用があります。
そのため、えのきを生で食べると、貧血や中毒症状を起こす可能性があります。
〈 舞茸 〉
舞茸は、シアン化合物生産きのこと言われています。
シアン化合物とは、青酸を含む天然の有害物質の総称のことです。
舞茸の中に、青酸配糖体という形で蓄積されていますが、極微量であると言われています。
また、しっかり加熱調理することで、体内の酵素で分解することが可能とされています。
しかし、舞茸を食べすぎると、しっかり加熱していたとしても、シアン化合物の摂取量が増えるため、体内で分解しきれず、中毒症状を起こすことがあります。症状としては、腹痛や嘔吐、下痢などです。
舞茸の1日の摂取量目安は、30g程度とされていますので、食べ過ぎには注意して下さい。
さらに、舞茸にはプロテアーゼという酵素を含んでいます。プロテアーゼは、タンパク質を分解する働きがあります。
これにより、舞茸を生で食べると、口内の粘膜が荒れてしまうことがあります。
いずれにしても、しっかり加熱調理して食べることが重要です。
〈 なめこ 〉
なめこは、真空パックに入った状態で販売されていることが多いです。
そのため調理済みのように思ってしまいますが、加熱処理はされていないため注意が必要です。
加熱処理されていないなめこをそのまま使ってしまうと、下痢や腹痛、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
なめこの場合、原因物質は、未だ解明されていません。
しかし、加熱調理することで、毒性が失われるものとされているため、しっかりと加熱して食べるようにしましょう。
〈 松茸 〉
松茸は、アレルゲンを含むため、生で食べてしまうと、吐き気や嘔吐、下痢などを引き起こすことがあります。
アレルゲンとは、アレルギーの原因となる抗原のことです。
松茸の場合は、未だはっきりとした原因抗原は分かっていません。
しかし、しっかり加熱することで、安全に食べることができます。
ただし、松茸アレルギーと診断されている人は、注意が必要です。
また、松茸は収穫してから時間が経つと、ヒスタミンが発生してしまいます。
ヒスタミンは、熱に強いため、加熱しても分解されません。
そのため、一度ヒスタミンが発生すると、中毒症状を防ぐことができないため、破棄するしかありません。
ヒスタミンによる中毒症状は、食べた直後〜1時間以内に、吐き気や嘔吐、頭痛、じんましんなどが起こります。
治療としては、抗ヒスタミン剤が効果的ですので、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
松茸は新鮮なものをしっかり火を通して、食べるようにしましょう。
生で食べることができるきのこがある!
生で食べることができるきのこは、新鮮なマッシュルームだけです。マッシュルームは、フランス料理の定番食材の1つです。
そのためフランスでは、きのこは生で食べることができるという認識があります。
ここ最近、フランスでしいたけが販売されるようになりました。
しかし、マッシュルームと同じようにしいたけを生で食べてしまい、しいたけ皮膚炎になる人が増加してしまいました。
そのため、フランス食品環境労働衛生安全庁は、しいたけをしっかり加熱して食べるように注意を呼びかけています。
なぜマッシュルームは生で食べることができるの?
マッシュルームを生で食べることができる理由は、マッシュルームには毒素や有害物質が含まれていないためだと言われています。
また、生で食べるとシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
薄くスライスし、サラダに使うのがおすすめだそうです。
生で食べることができるのはどんなマッシュルームなの?
マッシュルームを安全に生で食べるには、鮮度がとても重要です。
そのため、生でマッシュルームを食べることができる期間は、収穫してから冷蔵保存で3~4日以内とされています。
その他にもポイントがいくつかあるので、まとめてみました。
ポイント
- 国産である。(外国産の場合は、輸送時間がかかるため。)
- 丸く、表面がすべすべしている。
- 傘が締まって開いていない。
マッシュルームは傷みやすいため、加熱調理の有無に限らず、購入後は早めに食べるようにして下さい。
しいたけを生で食べてしまったら危険!対処法と調理ポイントを解説!のまとめ
しいたけは、とても身近な食材でありながら、意外と知らないことが多いです。
しいたけ皮膚炎は、バーベキューシーズンの夏に患者数が増加するそうです。
しいたけに限らず、きのこ類は、しっかり焼いて食べるようにして下さい。
その際には、ぜひこの記事の調理ポイントを参考にして下さい。